第13話 剣豪と邪帝
夏芽が、邪帝の身を剣で突き刺し、煙が発生した直後、邪帝の身を包んでいた紫色のオーラが波動に変わり、近くにいた夏芽を吹き飛ばした。
「ぐはっ…」
その波動の力は強力で、夏芽は一瞬にして向かい側の壁に叩きつけられた。
バチンという音と、壁が凹んでいくバリバリという音が、煙の中に伝わった。
さっきの一撃で邪帝を倒しきったと確信していた夏芽は、あまりの邪帝の強さに放心状態になりかけていた。
「なんで、あれで倒せないの?!ほ、本当にやられちゃう……」
夏芽には、30分間という時間制限があり、それを超えると邪帝に殺されるという選択肢しか選べなくなってしまう。
時間への焦りが、夏芽の体をひんやりと冷やし、追い込まれた体をさらに極限状態へと導いていく。
夏芽は、次の攻撃になんとか備えようと、壁から降り、剣の先を邪帝に向けた。
しかし、邪帝の様子は意外にも弱々しかった。
先程まで着けていた紫色のオーラが、剥がされ、白骨が露出し、恥ずかしい姿となっていた。
邪帝は、骸骨の歯をガクガクと動かしながら夏芽の方を指さした。
「ろ、ローリア、なかなかやるな……。私の闇のオーラを剥ぎ取るとは、、、。私もこんなに苦しめられたのは初めてだ。ここは、一時撤退ということにしよう。今日はお前の勝ちだ!ローリア!」
すると、邪帝は、落としていた杖を拾い上げて、その場からいなくなった。
それと同時に、周りに貼られていた結界が剥げ、部屋から出られるようになった。
「か、勝った、、、!勝ったんだー!」
アキホは、そう喜ぶと夏芽の元に行き、抱きついた。
夏芽も、アキホの背中に手を回し、抱き合った。
そうして抱き合っていると、アキホはなにか違和感を覚え、夏芽の抱擁を解いて夏芽の体(主に胸)をジロジロと見た。
そして、夏芽の腕をむにむにと触って、目をキラキラとさせた。
「ろ、ローリアだ……ほ、本当のローリアだ!そうだ、そうだよ!ローリアは、こんなに巨乳で、腕もぷにぷにで、太もももむっちりとしてて、、、しかも、スタイル抜群!ん~~可愛い!!」
アキホはそう言って、夏芽の胸に顔を埋めてきた。
夏芽の胸が、ポフっとなり、さらに、擦り付けてきて、くすぐったい。
「あは、は、はは、やめ、やめてよ、アハハハハハ」
二人はこうやって、笑い合っていたが、いきなり夏芽の胸が凹み、アキホの顔は、勢い余って凹んだ夏芽の胸に当たった。
コツンという感覚が広がる。
「痛ってえ……鼻打っちゃった……。いきなり香円草の効果が切れるなんて……」
「ほお、さっき食べた葉っぱは香円草って言うのか」と知り、ふぅんとしていると、アキホが、顔を上げて夏芽の顔を見た。
アキホの鼻の先は、赤く腫れ上がっていて、思わず夏芽は笑いだしてしまった。
「もうっ、笑うな!それ、髪の毛くしゃくしゃ攻撃だぁっ!」
二人は、そのまま幾時がじゃれ合っていたが、夏芽は、ずっと寝ていない疲れが溜まっていたため、ふらふらしてしまった。
「私疲れたなぁ~。家にずーっと帰ってないし、、、そろそろしっかり眠りたいなあ」
すると、アキホはニカッと歯を出して笑いながら言った。
「おぉ、私おすすめの旅館があるぞ。無料だから、ぜひ行こうじゃないか!」
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