兄の兄による弟(半分兄)のための恋愛プロデュース
宇治抹茶ラテ
運命の日
運命の日はふさわしくない程の嵐だった。
部屋の前で父さんと二人長椅子に座り待っていた。
本当は父さんは立ち会いたかったんだろうけど、僕を放っておくことができなかったんだろう。
祈るように、けれどワクワクしてるような父さんの顔は不思議だった。
どのくらい待っただろう。父さんがポツリと僕に聞いた。
「一誠はどんなお兄ちゃんになりたいんだい?」
一瞬何を言ってるかわからなくてキョトンとした顔になる。
「お兄ちゃん?」
父さんはふふっと小さく笑うと僕の頭をくしゃくしゃと撫でた。
「そうだよ、お兄ちゃんだ。今日から一誠はお兄ちゃんになるんだ。」
「お兄ちゃん!なんかカッコいい!」
「ははっ!そうだぞ、お兄ちゃんは格好いいんだ。」
父さんの言葉がなんとなく僕に響いて『お兄ちゃん』って言葉が特別なんだって感じた。
「お父さんもお兄ちゃんだったの?」
僕の中で一番カッコいい人に問いかける。
「父さんはお兄ちゃんじゃなかったんだ。でも父さんにもお兄ちゃんがいてね。すごい格好良くていつもお兄ちゃんみたいになりたいって思ってたもんだよ。」
「じゃあ僕もカッコいいお兄ちゃんになる!」
子供の発想だったと思う。
一番カッコいい父さんがカッコいいって言う存在。
そんな存在に憧れた。
「そうだな、じゃあ一誠は弟のお手本になれるように頑張らないとな。」
「うん!頑張る!」
「はははっ、じゃあピーマンもしっかり食べるんだぞ〜。」
「うっ、ピーマン...食べれるもん!」
「おっ、言ったなぁ〜!」
そんな他愛もないことを話しながらいると、扉が開いた。
「おとうと〜!」
「あっおい!それはないだろ」
扉の向こうへ駆けていく僕を笑いながら父さんが追いかける。
久しぶりに会ったはずの母さんにおとうと!と叫ぶと微笑みながら腕の中から差し出してきた。
「おとうと!」
「そうだよ〜、一誠の弟だよ。さ、挨拶して」
「こんにちは!おとうと!僕はお兄ちゃんだよ!」
運命の瞬間だった。
この時僕は、結城一誠から『お兄ちゃん
いや、『スーパーお兄ちゃん四阿一誠』だったけな?
まぁ、いいや。
これは弟のを愛する弟のスーパーなお兄ちゃんの弟に幸せになってもらうための物語である。
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