安斎美結の1週間

雪花 涼麗

プロローグ

けたたましいサイレンの音で支配される山。

その音で目覚めた人も少なくはないだろう。

現在時刻は午前4時半。

日本の朝が間もなく明けようとしている時刻ときのことだった。

山はパトカーのサイレンの色で赤く燃えていたのだ。

それを見た彼女はただごとではないと判断し、絵を書くのを切り上げ、少し肌寒い外へ出て山へ小走りに駆けて行く。

服装は学校制服、持ち物はスマホと手帳の2つのみ。

肩上辺りまで伸びたストレートの髪を風に任せながら走ること約5分。

既に出来ている野次馬の群れを掻き分けて警察が張った立ち入り禁止、と書いてある黄色いテープをくぐる。

周辺に居た野次馬は不思議そうな顔をする人も居たが、見張り役の警察官が何も言わないのを見ると、バツが悪そうにそっぽを向いていた。

現場に近づくにつれて、警察官や鑑識の数が増えていく。

誰も彼女が入ってることに懸念の色を見せない。


なぜなら彼女、安斎あんざい美結みゆは学生である前に――――――探偵でもあるからだ。

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