敷かれたレールが嫌ならば路線変更すればいい!!
@yuririn-monro
第1話 「序章」
女性のような体つきの人が僕に対して暴言を吐いている。
「なんであなたはこんな簡単な事もできないの、、。」
その女性の横に寡黙な男がこちらを睨んでいるように見える。
どんどん人が増えてきて僕に対する暴言を吐き散らかす。
ストレ「は…っ、はぁはぁ。」
どうやら、先程の光景は夢だったみたいだ。朝の支度を終わらせ自室からダイニングルームへと向かう。廊下に飾られている絵画はホコリ一つ無く窓から差し込む光に反射していた。廊下を進むと金色の手すりがある階段が見えてきた。階段から下の方に目をやると、フランスパンにバターを塗ったものやベーコンスクランブルエッグ、スープやデザートまで朝食にしては豪勢な料理の数々がテーブルクロスに並べられていた。階段を一段一段降りていくにつれて食欲をそそる香りが鼻をくすぐる。
椅子に腰を掛けると徐々に話し声がこちらに向かって来た。
ラナ「だから!お願いしたわよね!あれだけ食事のときには三人で食べさせてって。」
髪がクルッと波打っているように見えるその女性は耳元に大きめのイヤリングを付けている。この女性が僕のお母様だ。その女性の隣を歩いている小柄な女性は全身黒と白のワンピースのような服を着ており、小柄な身長のためかスカートの丈が長く感じられた。
メイド「すみません、この資料はとても重要なので、奥様に一度目を通してもらいたかったんです。」
ガタンッ
大きな音が僕が座っている左の方から聞こえた。振り向くと大柄な男が座っていた。この大柄な男は僕のお父様にあたる。
前髪をセンター分けしており、腕は僕の二、三倍あった。どうやらさっきの音は椅子を動かしたときになった音らしい。
先程まで口論していたイヤリングの女性が席に着き、僕たちは朝ごはんを食べ始めた。
ーーーお父様(ダレン)との稽古
見晴らしの良い剣技場の中心に向き合うストレとダレン。
ストレ「はぁっぁあ!(カキンッ)」
ダレン(お父様)「もっと重心を落として、剣を軽く持て。」
カキンッ…カッ…カキンッ
稽古をしている様子をテラスから見守るラナ。椅子に腰を掛け風の当たる日陰で執事と共にいるようだった。
ラナ(お母様)「今日も頑張っているわね。」
執事「ダレン様のご指導により、以前とは比べ物にならないほど力強くなりました。」
ラナ「あの子にはダレンよりも強くなってもらわなくちゃ。」
執事「楽しみでございますね。」
稽古の時間が終わり次の予定通り動く。
自室の反対側にある部屋へと駆け足で向かう。
ガラガラッ
その部屋にはたくさんの書物が置かれており図書館のような部屋だ。部屋の中には机が置かれていて人が四人座っても大丈夫な大きさだ。
ガラガラッ
僕が部屋に入った直後にメガネをかけた男性が入ってきた。その男性は長めのシャツの上からタオルケットを羽織っているような見た目をしており、大きい帽子を頭に被っている。いわゆる教祖という人らしい。
教祖兼教師「ストレ様、今日はこの世界の誕生の歴史を学びましょう。」
ストレ「幼いからと言っても、それぐらいのことは知っている。」
ストレ「この世界は、神のちからによって作られた…だろ。」
【まず、神は天と地を創造した。地は混沌としており、水面は暗闇に覆われ、聖霊がうごめいていた。神は光を生み出し、昼と夜を分けた。これが世界の始まりの一日目である。神は水を、二日目に上と下に分け、天を形作った。四日目には太陽と月と星が創造された。五日目には水中の生物と空を飛ぶ鳥が創造され、海の魚、空の鳥、地上の全ての動物を統治するために男性と女性が創造された。】
ストレ「寝る前に何度も母に聞かされたよ。」
教祖兼教師「しかし、ストレ様。それだけではないですよ。」
【神様は私達の進化を見守っていたが、神はそれだけでは満足せず、ドラゴンや珍獣などの生物を創造し、さらには空想的な植物も次々と生み出し続けた。】
ストレ「へぇ。この話には続きがあったのか。」
教祖兼教師「これで、昨日よりも賢くなりましたね。」
教祖兼教師「明日は、この国の歴史について学びましょう。」
教祖はそう言うとはにかんだ表情で笑いかけてくる。僕も思わず笑顔で返事をしてしまった。
ー夜ご飯(ダレンの部屋)
薄暗い部屋の中明かりもつけずに本を読んでいる人影が見える。人影は集中しているようで暗くなったことさえ気づいてないらしい。その部屋の扉に軽くノック音が鳴り響く。
執事「失礼します。食事の準備ができました、ダレン様。奥様とストレ様がお待ちしております。」
ダレン「すぐ行く…。」
執事「はい、お待ちしております。」
ー夜ご飯
ダレンの部屋とは対象的ににぎやかな声とともに白く光るシャンデリアの光が目に飛び込んでくる。
ラナ「ダレンはまだ来ていないの?」
執事「はい。さきほどお付きの執事が報告に向かいました。すぐに到着されることでしょう。」
ラナ「そうね。」
ストレ「ねぇ、お母様。」
ラナ「どうしたの?ストレ。」
ストレ「一度だけでも良いから自分の手で料理を作って見たいんだ。」
ラナ「ッ……。」
ストレ「お母…さま?」
ラナ「何をふざけたことを言っているの?私達貴族は料理なんてしなくてもいいの。バカなことを言わないで!」
ストレ「で…でもお母様…」
ラナ「もし私たちが料理を自分で作れば、料理人は必要ないわ。私たちが料理を作ってしまうことで、彼らの仕事が無くなってしまうのよ。ストレ、あなたなら理解してくれるはずよね?」
ストレ「…はい、母様。」
ラナ「良かったわ、理解してくれて。」
ダレン「すまない、遅くなったな。さぁ、冷めないうちにご飯を食べよう。」
ーストレの自室
外は日がもうすでに落ちていてロウソクの明かりが無ければ自分の手元すら見えない。しかし、もう夜遅くなのでロウソクの火を消しストレは眠りについた。
幼い少年「…ッ!おかあ…?」
貴婦人「あなたはあんな女とずっと関係を持つべきではないわ。」
凛々しい男性「急に仕事を辞めさせられて生活ができないだろう。」
貴婦人「あんな女食べ物にもありつけず死ねばいいわ!」
スーツ姿の老人「まぁまぁ、ラナ様、言い争いはそこまでにしておきましょう。可愛らしいお客様がいらっしゃっているようですから。」
ラナ「ストレ!ゴメンね。今お母さん達話し合いをしているから相手ができないの。執事!ストレの相手をしてくれない?」
執事「かしこまりました。では、ストレ様この爺やが相手をしましょう。」
ストレ「……。」
ー広間
ストレ「爺や、何でお母様怒っていたのかな?(トンッ)」
執事「ラナ様は、怒っているわけではありません。ただ、ダレン様を心配しているのです。(トンッ)」
ストレ「ふ〜ん。何を心配していたの?(トンッ)」
執事「そうですね。たぶんお金に関する問題があると思います。(トンッ)」
ストレ「じゃあ、頭が良くなって、剣術の腕も上がれば、心配はなくなるね。(トンッ)」
執事「そうですね。ラナ様とダレン様が安心できます。」
執事「ですが。チェスの腕はまだまだですね。(トンッ)」
ストレ「あっ…いつの間に!」
執事「フフッ」
ストレ「あ゛〜〜。もう一回、もう一回勝負だ爺や!」
執事「受けて立ちますとも。」
ー数分後
ストレ「う゛〜…。」
執事「おやおや、ストレ様。頭から湯気が出ているようですが。」
ストレ「うっ…。はぁ!」
執事「?」
ストレ「お母様!」
ラナ「ストレ!さっきはゴメンね。」
ストレ「大丈夫だよ、お母様!お母様こそちゃんと話し合いできた?」
ラナ「………。あなたが悪いのよ。そう、ストレ…。」
ストレ「お母…さ…ま?」
ストレがそう言葉を発した瞬間ラナの振り上げた手がストレの頬を叩く。
バシシッ!
ストレ「お母様?」
ラナ「はぁ…はぁ…。」
ラナは息が高ぶっており、正気ではない様子が伺えた。そのままラナはストレに少しずつ近づいていきもう一度手を高く振り上げた。
執事「いけませんラナ様。ストレ様が怖がっております。」
ラナ「フフッ。もう皆死ねばいいのよ。」
ストレ「………。」
ラナ「あははハハハッ!!」
次第に視界がぼやけていきストレは目を覚ました。
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