美少女眼鏡っ娘チートで性癖ハーレム!しごできメイドロボと共に異世界スローライフを送りたい☆
T-time
第1話 ファーストコンタクト
俺の名前は
まず最初に一言言っておきたい事がある。
「なんだこの1話のサブタイトルは!」
白く平坦な机を握りこぶしで叩いた事で、上に乗せていたビーカーやフラスコ達が一斉にカチャカチャと音を立てる。
一瞬でそれが静まると、俺の荒い鼻息の音だけが際立って聞こえた。
「何をそんなに怒っていらっしゃるのです博士──ファーストコンタクト……メタ発言になりますが今まさに読者様とは初対面ですし、間違ってはいないかと」
「そんな事はどうだっていい! なぜコンタクトなんだ! 俺の一番嫌いな言葉じゃないか!」
俺が怒髪天にも届こうとする怒鳴り声を上げても、目の前の青髪の少女は無表情のまま、ため息をひとつ落とすだけ。
「博士……このコンタクトは貴方の嫌いなコンタクトとは別の言葉です、お気を確かに」
「ええい、主人に口答えするかメイ!」
「はい、メイド型ロボにメイと名付ける程、知的センスが皆無なご主人様など尊敬に値しません」
いつもながら口の減らない奴だ。
しかし、ここで物に対して腹を立てても仕方がないので、原点に立ち戻ろう。
なぜ俺が怒っているかという話だったな。
激しく憤った事でズレていた眼鏡を指で戻す。
「俺はコンタクトなんかこの世から絶滅すれば良いと思っている!」
「いつも
「何故なら俺は──眼鏡っ娘が好きだからだぁっ!」
ドーーン! という効果音が後ろで鳴り響くほど、俺は決めポーズを取りながら叫ぶが、メイはこれっぽっちも動じない。
「いつも
等と淡々と同じ言葉を繰り返すだけだ。
「しかし、俺はいつもの俺ではない……ようやく完成したのだ……最高の……最高の眼鏡がッ!」
白衣の懐から取り出したのは、見た目はなんの変哲もない黒縁眼鏡。
「いつも持ち歩いている眼鏡と何が違うんですか?」
当然そういう反応になるだろうなとは思っていた。
完成された眼鏡に野暮な装飾は要らない。
ただそこに詰まった機能美が私を興奮させるのだ。
「ふふふ、聞いて驚くなよ? この眼鏡はかけるだけで頭が良くなる眼鏡なのだ!」
世紀の大発明にまたもや決めポーズを取るが、メイの表情は変わらない。
「はぁ、そうなんですね」
「もっと驚け!」
「聞いて驚くなと言われていましたし」
「それは慣用句だ!」
そうは言っても、眉の一つくらい動いてもいいだろう。
表情プログラムがぶっ壊れてるんじゃないのかと疑いたくなる。
「まぁ良い──お前など相手にしている暇など無い」
「私以外、誰に相手にされているんですか?」
「ええい黙れ。俺はこの眼鏡を欲しがる美女を探しに街に出る!」
ここにいても始まらない。
俺の発明を喜んでくれる女の子はこの世にごまんと居るはずだ。
俺は白衣の裾を大袈裟に
「行ってらっしゃいませ博士、お迎えは警察署でよろしいですね」
やはり無表情でメイが手を振る。
「やかましいわ! ……行ってきます」
────数時間後。
「取り調べが短く済んで良かったですね」
「まさか、頭を良くしてあげようと声を掛けただけで警察に捕まるとは」
「日本の警官は優秀ですね」
俺は警察署から帰宅して、研究所兼自宅のソファーに腰かけていた。
どうしてこうなったか全くわからん。
「頭を良くするだけで捕まるのか?」
「いえ、声を掛けただけで捕まります」
「なんと言う世知辛い世界なんだ! イケメンであれば問題ないくせに!」
メイは無表情のまま、俺の方を見て口を開いた。
「イケメンではないどころか、博士はもうすぐ50歳。そして声を掛けた相手は10代。捕まらない方がおかしいです」
そう言われてハッと気付いた事がある。
研究に没頭しすぎて、青春を棒に振り。
研究に没頭しすぎて、婚期を逃し。
研究に没頭しすぎて、眼鏡っ娘しか愛せなくなり。
「最後のは元からの性癖ですよね」
「研究に没頭しすぎて、今だ童貞のまま!」
「博士の遺伝子が世に残らなかった事だけが救いです」
メイの暴言はいつもの事なので、ダメージはこれっぽっちも無いが。
恋愛の「れ」の字も無いまま50歳を向かえるという事実に俺は完全に打ちのめされてしまった。
「なんという事だ……まさかこのような事態になっているとは!」
俺はわざわざソファーから腰を下ろして、床に膝と両手をつくと、絶望のポーズを取った。
「むしろこの瞬間までその事実に気付かなかったことに驚きですが……」
しかしその
流石に少しくらい慰めてくれても良いと思うのだが。
ちょっと悲しくなってきた。
「もう、この世界やだ!」
声をかけるだけで変質者扱い。
声だけじゃなくて、本当は眼鏡をかけたいのに!
「こんな世界やだぁ!!」
「はいはい、署から帰ってくるといつもこう」
「略す程お世話になってない!」
「普通の生活している方は8回もお世話になりませんよ」
一応全て任意同行であり、逮捕ではないことを明言しておく。
「──もういい。この世界なんかやめてやる」
「どういう意味でしょう?」
「俺は異世界へ行く!」
「これはまた、とんちんかんな事を」
俺はそんなメイにニヤリと笑みを浮かべる。
自信満々なその笑顔に、何かを感じてくれ……るわけないか。
俺が聡明に作ったはずのメイの頭脳に期待することなく……同時にその青色の瞳に期待される事もなく、世紀の大発明その2を発表した。
「頭が良くなる眼鏡を開発している段階で、偶然出来てしまったこの異世界ワームホールに入れば簡単なことだ」
指さした先には、空間に分かり易く丸い穴が開いている。
俺も何故、超音波眼鏡洗浄機の上にこれが出来たのかは謎である。
「いまいち理屈は分かりませんが……」
「だがこれはさらりと流していい情報ではないぞ?」
「ついでで出来ていい
ふむ、言い当て妙だ。
「まぁ物は試しだ、ちょっと覗いて見るが良い」
メイはいぶかしがりながらも、穴に触れないようにそこを覗き込む。
「まぁ、まるでファンタジーの町並み……猫耳にエルフ、ドワーフも居ますね!」
その表情はまるで人間のようにキラキラと輝いていた。
頬が上気し、ほんのり赤く染まって、好奇心旺盛にその街並みを眺め続けている。
というか、やっぱり表情プログラムちゃんと動いてるじゃないか!
「そうだろうそうだろう──しかしホールに触れるなよ、向こうに飛ばされてしまうぞ」
「えっ!……そういうことは先に言ってください!」
先ほどの名残なのか、こちらを向いて頬を膨らますメイを見て、表情筋の動作確認を終えると、普段虐げられている意趣返しよろしくニヤニヤと笑って見せた。
そんな俺を冷たい目で
思いのほか気に入ったのかもしれない。
等と考えていると、メイが急に驚きの声を上げる。
「あっ、異世界にも眼鏡っ娘が」
「えっ、嘘っ!」
俺は引き絞られた矢の様にワームホールへ飛びついた。
習性のようなものだ。
仕方ない。
「はい、嘘です。異世界に眼鏡っ娘なんて…………あれっ、博士?」
こうして俺はメイの冗談を真に受けて、異世界ワームホールに吸い込まれたのだった。
◇◆◇◆◇作者一言◇◆◇◆◇
カクヨムコン9に参加しております☆
強豪揃いと聞いており、賞を取れるとは思っていませんが、皆様の目に止まりやすいのではないかと思っての参加でございます。
是非この機会に皆様に読んでいただきたい!
応援よろしくお願いします♪
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