第32話 マレ熊の豪運ガチャ配信??
四十連目のガチャが終了した。成果は——
コメント:SSR三枚か
コメント:ちょっと落ち着いてきた感じ?
コメント:いや三枚って十分すごいから。みんな麻痺してきてる
コメント:きたのはワスレナグサ、百合、朝顔ちゃんか。
コメント:今度は見事に花キャラばっかり。おまじない効いてるな
「ハァ、よかったぁー来てくれて……刺身たんぽぽに引かれたらどうしようかと。ワスレナグサちゃん以外は初めての子だね、百合ちゃんはまさに清楚お嬢様って感じだね。朝顔ちゃんは小さい子なんだね~小学生ぐらいかな?」
コメント:てかワスレナグサちゃんのSSR、レオタードってエロくね?
コメント:レオタードってほぼ水着よな
コメント:またワスレナグサちゃんみたいな大人しい子が着てるとさらにやばい
クッチャマ:お前ら、マレ熊の教育に悪いからそういうコメントは心の中で言え!
「クッチャマさんはわたしのお父さんですか? 別にこの程度のコメントなら大丈夫ですよ~BANされるような過激なコメントだけ気を付けてね。ワスレナグサちゃんは新体操の選手みたいな綺麗さがあるね、なんか手に持ってる植物のツタもリボンみたいだし」
コメント:マレ熊の感想はきれいだな、自分が恥ずかしくなるわ
コメント:しょうがない、オタクだもの
コメント:てかこれで花キャラは残り四人か
コメント:SSRの多さに注目しちゃうけど、被りが一回も出てないことの方がやばい
コメント:それ! SSR十五人いて一人も被りいないって豪運すぎ
「だよねー。わたしが見た動画でも配信者の方が『被ったー!』って言ったりしてリスナーが盛り上がってて……あぁ! 今全然爆死配信になってない!」
コメント:いや、爆死配信よりもすごいもん見せてもらってるが
コメント:こんな豪運ガチャ見たことないよ
コメント:てかマレ熊、気づいてる? 五万人突発してるよ
「え!」
配信画面左上の登録者数カウンターは五万人を超えた数字を示していた。
「あ~! 五万人突破したら盛大にお祝いしようと思ってたのにー! い、今からでも……五万人登録ありがとうございます~!!」
パーンと破裂音が鳴った。恐らくマレ熊が用意していたクラッカーを鳴らしたのだろう。
「えへへ、なんかしまらない感じでゴメン。でも五万人は本当に嬉しいです! こんなゆるい配信いつも見てくれてありがとうね。これからもゆるいけど面白いと思ってもらえるような配信を心がけていきます!」
コメント:五万人突破したから、ガチャ耐久はここでストップ?
コメント:それはもったいない!
コメント:マレ熊のガチャまだ見たい~あと六十連分はすでに課金してるし、そこまではやらないか?
コメント:てかマレ熊! このガチャ配信、SNSのトレンドに入ってるよ!
「え、本当!? ちょっとチェック……ほ、ほんとだ。#マレ熊のガチャ配信でトレンド入ってる。よく見たらなんか同接も今までにない数字だし……よかった~皆ガチャ配信楽しんでくれてるんだね! よーし、次またいい結果出たら、タイトルを豪運ガチャ配信に変えます。五十連目いくよー!」
————五十連目終了。
「はい、今からこの配信はマレ熊の豪運ガチャ配信に変わります。SSRキャラは現在十九人。被りなし! 残るキャラは一人、エメラルドちゃんね」
コメント:トレンド入っているから来てみたけどSSR四枚とかすごすぎ
コメント:もっと前からリアタイしたかったー
コメント:被りナシってマジ? それどんな確率?
クッチャマ:二十人SSR当てるって言い出した時はどうなることかと……あと一人サクッと当ててガチャ配信完走してくれ
「よーし、じゃ緑の宝石が付いたアクセサリーを握りしめてっと。エメラルドちゃんおいで~」
ニッコニコでマレ熊は六十連目のガチャを回した……が、そこから彼女はガチャの恐ろしさを知ることになる。
ピタッとSSRが出なくなってしまった。六十連目も七十連目も八十連目も最低保証のSR一枚のみという寂しい結果だ。本来ならば、その方が自然で今までのSSRが平均三~四枚という状況が異常なのだが、ここにはその異常な状況に慣れてしまったリスナーと豪運ガチャを期待して集まってきた視聴者しかいない。
コメント:全然こないな
コメント:あーあ、さすがに運も続かないか。豪運ガチャ終わっちゃったよ
シベチャチャ:マレ熊、頑張れ。あと二十連残ってる
「う、うん。エメラルドちゃーん……仲間みんな待ってるよー……」
九十連目を回す。結果は——SR一枚。
「あーだめだこない。ウグー……これがガチャの苦しみなんだね。百九十連目にしてマレ熊知りました。おまじないももう効果なしか……」
コメント:もう一回課金することになりそうだな
コメント:次の十連は天井だからSSR確定だけど……二十分の一当てなきゃいけないのか
コメント:あまりの豪運ぶりに忘れてたけど、やっぱりこの挑戦あまりに過酷
クッチャマ:五万人は突破したんだし、次の十連で終わりにしていいんじゃないか? SSR十九人は十分な結果だと思うぞ
「ううん、ここまできたら二十人達成したいよ! なんか別のおまじない試してみようかな……」
コメントを確認してみる。そこにはリスナーそれぞれのガチャの時のゲン担ぎが書き込まれている。今の自分に実行可能で効果がありそうなもの……一つの書き込みが目に飛び込んできた。
「最後の十連回す前に……」
パソコンでソフトを起動する。マウスを動かす。
コメント:マレ熊ー? なんか作業してる?
「あ、ごめん。無言になってた。いや、最後の十連の前にマレ熊に最後のあがきをさせてください!」
シベチャチャ:なんか思いついたのか?
「うん……。コメント見返してこれならできるんじゃ、と思ってね」
マレ熊は今自分が起動したソフトを、配信に写るよう操作した。
マレ熊が作業していたのはお絵描きソフト。画面にはアタリの線が描かれている。
「描けば出るっ!てやつを試させて!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます