僕が中学生のとき。塾の先生から聞いた怖い話 続

 お兄ちゃんは、ずっと様子がおかしかった。


 夜。トイレに行けなくなってしまったの。


 毎日おねしょして、お父さんとお母さんに怒られてた。


 私が「どうしたの?」ってお兄ちゃんに聞いたら。


「ぜったい誰にも言わない?神さまにちかえる?」ってお兄ちゃんが言うから。


「ぜったいに言わないよ。神さまにちかえるよ」って言ったの。


 そしたらお兄ちゃん。トイレで自分そっくりの男の子を見たって言うの。


 次にその子を見たら「ぼくは、死んじゃうんだぁ」って言うの。


 変だよねぇ。


 家にそんな子いないのに……。


 「お兄ちゃんには、ぜったい言わないでね」って約束してから、その事をお母さんにお話ししたの。


 ぜったいに言わないでねって約束したのに……。


 お母さんは、お父さんにその事を話しちゃった。


 ぜったいに言わないでねって約束したのに……。


 夜。お兄ちゃんは、お父さんとお母さんとお話してた。


 家にそんな子いないよ。


 寝ぼけてただけだよ。


 怖くないよ……。


 怖くないよ……。


 怖くないよ……。


 …………


 次の朝。


 トイレの前で、お兄ちゃんが死んでた。


 怖い映画を見たときみたいに……すごくおどろいた顔をして死んでた。


 お兄ちゃんが言ったことは、全部ほんとうだった。


 …………


 机の上にお父さんとお母さんと私にあてた手紙が、三通おいてあった。


 全ての手紙に『うそつき』って書いてあった。

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