傭兵の歩み
白 黒 灰
第1話 独り言
朝、昼、夜と一日が過ぎてゆく。
この廃壊し、崩壊した都市で。一日一日がゆっくりと過ぎてゆく。
いったいいくつこの場所と同じ都市や町が残っているのだろう。物思いに更けながらこの世界が変化した日のことを思い出していた。
遠い昔、何十年前、地球から何万光年と離れた場所で一つの星の寿命が尽き莫大なエネルギーが宇宙中に広がったという。それは、地球にももたらされ存在する全てのものに影響を与えた。
植物は、まるで神話上の木々のように大きく力強く成長し瞬く間に樹海形成した。
動物は、より生存に特化するように手足は太く頑丈に変化し、その子孫はまるでおとぎ話のような生物に進化していった。
そして変化したのはそれらだけではない。昆虫や魚も含む生物も植物や動物のように進化し、大地や海、気候といったあらゆるものが変化してしまった。
そう、人にとって住みやすい場所はほとんど失われてしまったのである。都市は植物によって覆いつくされ、獣が容易に出入りし多くの人の命が失われた。
各国が混乱の渦に巻き込まれ、他の国を見る余裕はなくなったのである。
そのような状況が何十年と続き、もはや国といったまとまりゆるくなった。強盗や殺人は当たり前のように起こり、残っていた都市や町は廃墟に化していった。
この世界が変化してしまってからは大変だった。食糧などは日を追うごとに手に入らなくなり、ただ命を守ることに必死だった。食糧のために人を殺し、奪い、獣に見つからないように息を潜める。まさに地獄だった。
そんな地獄の中、なぜ今人間は生存できているのか。答えは簡単、人間も進化していたからだ。しかし、獣のような進化ではない。では、どのような進化なのか、それは適応である。しかし、その適応には2つある。1つ目は子孫を残すごとに気候や獣などに合わせ、人の形を残しながら進化していく適応。2つ目は獣を殺し、死肉をあさって生き、獣の特徴を体に発現させる進化である。
その2種の進化により人は今生存できている。
この世界が変化し、すべてが変わってしまった。獣は彷徨い、植物は建物を破壊し、気候は絶え間なく変化する。
ああ、本当にこの世界は
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます