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抹元:「なんか聞いた事あるなあ。」
埋原:「え?知ってるの?」
抹元:「ベギさんのじゃないかもしれないけど、そんなんがあるって誰かが言ってた気がする。」
埋原:「有名人の情報が入ってるやつが売られてる?」
抹元:「そうらしい。」
埋原:「え、じゃあ、本物かな?」
抹元:「いやー、わかんないよ。詐欺かもしれないよ。」
埋原:「誰か知ってる人居ないかな?」
抹元:「そうか。ザイッツだ。私、ザイッツが言ってたの聞いたんだわ。」
罪津くんか。
あの人なんかちょっと気持ち悪いんだよね。
罪津:「知ってるよ。有名じゃん。今更だよ。」
あっそ。
学校の授業では、「知らない」・「わからない」を連発するくせに、なんか偉そうなんだよな、こいつ。
あたしみたいにビリビリされなくて済む程度にはテストで点数取れてるのが、さらにムカつく。
罪津:「ああいうのはさ、出品者が自分にイれたやつなら、中身を書いて出すはずよ。」
抹元:「あ、確かに。」
埋原:「え?どうして?」
罪津:「ウメは中身わかんなくても買うわけ?」
埋原:「わかってた方が買うね。」
罪津:「だからだよ。」
埋原:???
抹元:「自分にイれたら、中身が何かわかるから、書いて出品する。その方が売れやすいからそうするって事。」
埋原:「あ、そうか!」
罪津:「ウメさあ、おまえ、何回もデンガク食らっててそれなわけ?」
埋原:「うるせえ。バカなんだから仕方ないだろ。」
自分で言ってて悲しくなる、けど、開き直るしかない。
それが自覚あるバカの生き様。
罪津:「だからそれは出品者も中身知らないで売ってると思うね。」
抹元:「詐欺師がゴミ転売してんのかな?」
罪津:「中身がヤベーのかも。」
埋原:「どうヤバいん?」
罪津:「イれたらトぶやつ。」
埋原:「飛ぶの!?どこに?」
罪津:「頭がトぶんだよ。」
埋原:「それ妖怪じゃん!」
抹元:「意識が飛んで失くなるって事だよ、ウメちゃん。」
なるほど、それはヤバい。
妖怪になるよりはマシだけど。
埋原:「ザイッツはなんでそんなに詳しいん?」
罪津:「そういうの取引してる人が知り合いなだけ。」
埋原:「その人だったら中身を確認できる?」
罪津:「いやー、どうかな。あんまり連絡してないし、それはわからんね。」
埋原:「お金貯めて買ってみるしかないかな...。」
罪津:「そんなに欲しいん?絶対ヤバいからやめとけって。」
抹元:「第一さ、カートリッジだけ買ってもさ、デンガクが無いと使えないよ。」
埋原:「あ、そうか。」
罪津に向かって、「誰かデンガク持ってる人知らない?」と言ったその声と、始業ベルが重なった。
その質問に答えず、罪津は教室に入って行った。
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