壁の中

アラママス

平和に暮らしている偵察兵からの手紙

 今日は特に何も問題ない。平凡な一日。

 日がポカポカと照っていて、いい気分だ。

 出窓はみだしたまどのその縁で肘をついてくつろぐ。

 壁が街を囲んでいるけれど、何も不便なことはない。

 ガメラとかの怪獣はいないが、なぜあるのかは知らない。

 壊されるようなものがある争いの相手がいるのだろうか。

 さっぱりわからないけど、とりあえず

 手紙Letterは他のところに出せる。

 たぶん、壁で囲まれている街は他にもある。


 今は外に出られないけれど、いつか外に出られる

 日が来るといいな、そう思って毎日を生きる。

 ハマっている趣味もないけれど、

 寝るのもなぜか癪だ。

 ロウ細工にでも挑戦しようか。

 襲われることのない平穏な日々は、文化を育む。

 撃ち出された作品たちは、誰かのところへ届くかも。

 にているひとがいると嬉しいが、作るより先の問題がある。

 備蓄がない。働かなくては。

 えもいわれぬ焦燥感が私を常に囲っている。命の

 ロウが燃え尽きる前にどこか見つけるべき。

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