いけいけ勇者様34

最上司叉

第1話

そして俺とドラゴンの女は街に帰ってきた。


退治した魔物を引渡し金を受け取るとドラゴンの女が俺に頼みたいことがあると言った。


俺はボロボロの鎧を脱ぎカフェの席に座る。


ドラゴンの女も座る。


俺はドラゴンの女に話を聞いた。


「頼みたいことってなんだ?」


「なに簡単なことじゃ、あるドラゴンの男を倒して欲しいのじゃ」


「は?!」


「なにを驚いておる?」


「俺一人でか?」


「もちろんそうじゃ」


「勝てるか分からないぞ」


「なに、今のお主なら大丈夫じゃ」


「…知り合いなのか?」


「まぁ昔のな」


「何があったか知らないがソイツは悪いヤツなのか?」


「妾を捨てたヤツじゃ」


「…そうか」


「なに、居場所はだいたい掴んでおる」


「今からか?」


「明日で良いかのう」


「そうか、じゃぁ鎧を新しくしないとな」


「そうじゃのう」


「知り合いの掘り出し物の店に行くか」


「妾はちとやることがあるのでのう」


「そうか、じゃぁ家でな」


「うむ」


そう言いお茶の代金を払い俺は店を後にした。


「これでようやく終わるのう」


ドラゴンの女は1人呟いていた。



掘り出し物の店に俺はやってきた。


【カラーン】


「おやいらっしゃい」


「久しぶりだな」


「そうだね、何ヶ月ぶりだろうね」


「何かいいものはあるか?」


「何をお探しで?」


「鎧だ」


「待ってください、とっておきのが昨日入ったばかりでして」


「見せてもらおうか」


「ただいまお持ちします」


「これは…」


「どうです?」


「貰おうか」


「毎度ありがとうございます」


俺は早速買った鎧をつける。


「軽いな」


「そうでしょう」


「あぁ、今までより動きやすい」


「強度はバッチシです」


「あぁ、そうみたいだな」


「ところで勇者様、そちらと対の剣もございますが?」


「見せてもらおう」


「ありがとうございます、今お持ちします」


俺は剣を受け取るとすぐに買うことを決めた。


手に持った瞬間に俺はこの鎧と剣に出会うためにここに来たと言っても過言じゃないくらいシックリきたのだ。


代金を払い店を出る。


「ありがとうございました」


俺は街の外に急いだ。


早くこの剣を使いたくてたまらなかったからだ。


適当な魔物で剣の切れ味を試す。


「これは凄い!!」


「何してるの?」


「!!」


俺は振り返った。


「魔王今帰りか?」


「うん、ところで何してたの?」


「あぁ、剣を新しく買ったから試しにな」


「ふーん、そうなんだ」


「帰るか」


「そうだね」


俺は魔王と一緒に家に帰ってきた。


「ほう、その装備は見たことがあるのう」


「!!」


俺は驚き振り向く。


「かつて妾を倒した主が着けておったのう」


「そうなのか?!」


「間違いないのう」


「それは心強いな」


「では明日頼むのう」


「あぁ分かった」


「明日何かあるの?」


「内緒じゃのう」


「むー」


魔王は自分だけ仲間はずれにされてちょっとむくれている。


「魔王ごめんな」


「良いよ、無理しないでね」


「あぁありがとう」


そして夜が更けていった。

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