第14話 魔力素粒子(アルカナ)

【前述】

  前話に引き続き、魔法ってなんだ? のお話しです。

特に魔法のみなもと、そのエネルギー源である魔力についてです。

そしてどうして主人公は自身から半径1メートル以内でしか魔法が使えないかをおは。お話しします。

――――――――――――――


 “魔力”

 って結局なんだ? 何処どこから来てる?


〈∮ 検索及び検証考察結果を報告。

 公彦は役割を与えられた幾重の且つ、増殖しつづける同軸亜次元領域を持ちますが、続くナンバー同軸亜次元の根源発生原と憶測される“最初”の次元が存在します。公彦の真なる中心のその最奥に。


 其処そこが公彦個人固有の“真正魔力ピュアアルカナ”が生まれる場所、“第ゼロ基門・同軸亜次元領域プラント”です。

 そこでは核融合反応によく似た現象が起こっていると思われます。


 元世界あっちで代表的な核融合といえば太陽ですが、現況で人類が観測、あるいは享受出来ているとしているのは光熱と僅かな素粒子のみ、実に太陽から受容される成果物の1%に過ぎません。その他99%は未知の素粒子、あるいは神の領域と呼ばれる何か。


 元世界では核融合に必要な原子核を未だ想定段階の実験技術でありますが重水素と三重水素あるいはヘリウム3と認識しています。そして想像以上の高出力を誇り、現況で唯一ゆいいつの実際の稼働を確認されている恒星太陽内でも便ですが純水素同士の原子を主とし、それらがプラズマ化、激しく運動し、連続的に衝突融合していると推定されています。


 しかしながら、公彦の“第ゼロ基門・同軸亜次元領域プラント”では水素由来の原子は存在していないません。また、熱と光を得ますが、数多くの素粒子、主に魔力素粒子アルカナを観測します。


 何を有効原子核としているのか? 現段階では不明です。

 それでも、この現象を【恒真星型】核魔融合と仮称呼します。何故なぜならこの異世界の太陽からも公彦と同質の魔力素粒子アルカナが降り注いでいるからです。


 先ほど元世界あっち恒星太陽の核融合反応を起こす基幹原子を水素と考える根拠を“便宜上”と申し上げました。別の言い方では『たぶん』或いは『と思うけど』です。

 現世アッチでも結局のところ、想像でしか語れない事柄なのです。

 実際は、何が如何どうなっているか、まるでわかっていません。

 と結論 ∮〉


 僕は空を見上げ、太陽に手をかざす。



〈∮ 検索及び検証考察結果を報告。

 もしかしたら元世界あっちの太陽からも同じ素粒子が降り注いでいたのかもしれません。“奇跡”という名前で呼ばれていたモノとして。

 ですが、本来の私達の身体が、魔力素粒子アルカナを受容できる“仕組み”ではなかった所為で、そうとは把握できていなかった。だけだったのかもしれません。

 と結論 ∮〉


 現世で観測された核融合は水素反応のみで、その他は発見されていなかった。だから太陽も水素で満たされ、水素を基とした核融合反応であると結論付けられた。でも誰も実際には見に行ってないし確認してない。“理論上では”、が付いた憶測でしかない。

 アインシュタインは当時、“理論上”では確定されていた量子の存在を死ぬまで認めなかった。


 西暦2009年、クオーク素粒子が初めて観測され、その実在が確認されました。あまり認識されていませんが、人々の営みにおいては摂るに足らない細事だとしても、人類のリアルな手が神の領域に確実に触れた、小さな小さな、されど偉大なる歴史の真実だった。


 太陽は究明不可能な謎と理不尽な程の強大な力に満ちている。恩赦が光と熱だけとは、れだけとは申し訳なくないか?


 元々の僕らには観測できないだけ、利用できないだけで新たな、違うな、真なる力が隠されていたとしても不思議じゃない。

 姉さんが言ってた。本当に不思議でファンタスティックなのは万有引力と太陽。その両者は現代の物理科学では絶対に解き明かせない万物の基本、究極のマジック。

 ああ、だから水素由来ではない恒星型の核魔融合だから【恒真星型】か。



〈∮ 検索及び検証考察結果を報告。

 第一基門・同軸亜次元領域では、“万有間構成力グラヴィテイション制御魔技法・フィネス”を司っています。


 この技能だけは他の基門で研究開発される魔法とは異なります。魔法陣等の情報体のコピーや読込作業、その研鑚など必至な作業の必要は皆無で、その最初から『完成されたセット』で組み込まれていました。

 そして順次習得すべきわざも暗点しているものの名称は既に明記されています。お馴染みの“スキルボード”の様に。

 一度でも使えれば名称が明点し、経験値レベルが上がれば等級欄の数字が上がるが如く。


 そして第一基門が司る“自個保有特異魔系技能ユニーク・スキル”は“万有間構成力グラヴィテイション制御魔技法・フィネス”の他にも、先程お教えした魔法陣等情報源を視るだけで読取り解析可能な高高速自動読取トゥルース ・解析及び再構築付与スルー・アイ”【真魔眼】と、新たな創造を可能とする“同軸多重高速思考オールパーパス攻究編纂型疑似脳・ブレインズ”を持っています。


 未発現の“表象印契”を含めた計四つの自個保有特異魔系技能ユニーク・スキルは公彦の基本能力の正に基盤となります。続くナンバー基門は独立した機能を有した領域となっていますが、所詮、この四つの“ユニークスキル”を単に補完する意味合いしかありません。


 ”ハナ様が放った炎弾しかり、ポーションの“働き”から得た生体再生もしかり、その他の新たな創造、或いは既製品の再現・改良が出来たのも第一基門のユニークスキル”の賜物です。


 第二基門以降は第一基門の二つのスキルで得た素材を基に研究開発生産させる工場及び、生体脳を含む身体のデーターバンクでしかありません。


 そしてこの第一基門の魔法、自個保有特異魔系技能ユニーク・スキルの四つのスキルは第ゼロ基門の【恒真星型】核魔融合と大きく関わっています。


 万有間構成力と、れを司り制御する根本魔法オリジンズ

 万有=全ての物質=人間でさえも=量子・素粒子さえも、互いに引っ張り合う力=引力が働いてる。互いに弾こうとする力が斥力。

 万有引力があるが故にそれ等が集まり一つとなり惑星と呼ばれる“質量”体由来の“重力”が生まれ、“位置エネルギー”が生じる。

 重力があるが上に“速度”が生まれ。“運動エネルギー”が生じる。


 元々の世界で、その有効性・安全性が確証されているのに何故なぜに核融合が普及しないかと言えば、反応に必要な原子核を高速でぶつける行為そのものの難しさが上げられます。

 現行では原子をプラズマ状態とし、離電させ、露出した原子核を激突させる方法が考えられていますが、プラズマ化させるには簡易な重水素由来でも摂氏1億度迄の熱量と、且つそれらに耐えられる原子核を閉じ込める隔壁・フィールドの両立が困難とされているからです。


 太陽=恒星ではその膨大な自らの質量からの重力で超高圧縮されプラズマ迄に達する熱が発生し核融合が始まるのか、重力から原子間引力が静電気的斥力(クーロン力)に打勝ち融合反応が起こるのかわかっていませんが、その両方には互いを誘引する重力=万有引力がその基本として存在します。


 そして都合よく公彦様にはその“スキル”が備わっている。冗談の様に。

 第ゼロ基門で行われている核魔融合には第一基門の“万有間構成力グラヴィテイション制御魔技法・フィネス”が使用されています。あらかじめ決まっていた様に。


 万有引力は互いに引き合う力。恒真星型核魔融合は魔力アルカナムを産む。魔力素粒子アルカナは万有引力の力を得、原子核を融合させる。鶏が先か卵が先か、意味のない問題ですが、両者は鏡に映った己です。

 そしてそれらを趣旨下に置き、活用する為の魔法が高高速自動読取トゥルース ・解析及び再構築付与スルー・アイ”【真魔眼】であり、“同軸多重高速思考オールパーパス攻究編纂型疑似脳・ブレインズ”です。


 直進しか出来ないはずの光さえも曲げ得る重力の正体とは、即ち空間の歪みであるとアインシュタインは唱えています。一般相対性理論です。

 二つの質量体の間で生じる互いに引き合う力とは、“二極間の物理的な空間の距離を縮める現象”=力であるとしています。

 その間を光が通れば歪んだ空間に沿って光もまた歪んだように見える。空間を歪めた先の究極に亜次元=基門が生じる。


 そこに重力を司る“万有間構成力グラヴィテイション制御魔技法・フィネス”があります。不思議な話ですね

 と結論 ∮〉


 なんかさ、賢者様っぽくなってきたじゃん。締めは何か哲学者っぽかった。カッコよかったよ。

拍手。



〈∮ 検索及び検証考察結果を報告。

 恐縮です。

​​ と結論 ∮〉


 照れたところで最後の質問。そんな凄い恒星型核魔融合炉なら、何で射程一メートルなの? なんで一メートルで何も無いことになっちゃうの?



〈∮ 検索及び検証考察結果を報告。

 憶測に憶測を重ねた仮説ですが、公彦のゼロ基門・核魔融合炉で得た力と異世界こっちの太陽から降り注ぐ魔力粒子アルカナとは、受納される恩恵は同じで有るものの、ベクトルの方向が真逆故の反発、或いは丁度磁石の同極同士(MとM・SとS)の様な関係と申しますか……。


 自身から一メートルで両者の間で反発に似た斥力が発生し、拮抗し、最後は両方とも打ち消して霧散していると思われます。然るに同族嫌悪と申しますか……。

 覚えておられるでしょうか?魔力充填ポーションを摂取した際の御自身の様を。あの拒否感。嫌悪感。


 元々がこの異世界に生まれた訳ではない異質な存在であることが関係あるようです。

 と結論 ∮〉


 ちょっと待って、なら僕はこの世界の魔力を使っていない。いや、使えないってこと?



〈∮ 検索及び検証考察結果を報告。

 そのようです。

 因みに太陽から降り注ぐ魔力素粒子アルカナは超絶極小であり人体はおろかこの世界の大地(=地球?惑星?)さえも瞬時に透過してしまいます。

 人は透過し抜け落ちるはずの魔力を押し留め、体内に一時的に貯め込むことで魔法を行使します。留め得る量をその人の魔力量としているようです。ただ人により相対比も上下があり、維持時間にも限度があるようです。


 補足ですが、ハナ様には公彦の第ゼロ基門より魔力が常に供給されています。その為に徐々に、且つ急速にハナ様の炎弾の精度と威力が増した理由となります。他基門も制限付きではあるものの利用可能です。

 と結論 ∮〉


 ちょっと待って。ソレ狡くない? ちょっとまって、ハナの射程って一メートルより長かったよな。



〈∮ 検索及び検証考察結果を報告。

 異世界こっち側で魔力が一定力以上に高いと称される人には、無意識ながら統べからず亜次元領域を持っているようです。


 これは魔法の行使に伴う複雑且つ膨大な演算能力が求められるが故で、生体脳だけでは到底賄える量では無い為の必然と考えられます。

 しかしながら公彦とは異なり、仕様はあくまで簡易版であり同軸ではなく並列、且つ量子演算フィールド容量も狭く、多くても三列が限度のようです。


 稀に異世界人にも規模は小さいですが、魔力素粒子アルカナを生み出す核魔融合炉をその亜次元の一つの内に備えた者がおります。

 規模も威力も小さいく体外への放出には至らないですが、体内を循環させ、身体能力や肉体構造の強化に使用されることで消費されます。それも特異な事例ではありますが、本当に稀ですが、“自個保有特異魔系技能ユニーク・スキル”として顕著化させられる者が居ます。


 その者達は総じて魔法特性が高く、それら特異体を畏怖を込めて人々は【魔人・魔女】と呼んでいます。

 蛇足ですが、それらの最上級の人型を【悪魔】と、最上級の魔物を【竜】と呼びます。そしてそれらを統べる最悪を【魔王】と呼び慣わしているようです。

ハナ様は元々が亜次元領域数も多く、備えた核魔融合炉も比較的大きい、特に優れた特異体【魔女】です。


 ハナ様はこの世界の人間であり、この異世界の魔力素粒子アルカナに馴染んでいる為か、公彦様のれには装備不可能な有用なオプションが追加装備されています。


 公彦の亜次元とハナ様のそれとでパスを通じあい、常に魔力素粒子アルカナが供給されています。それを直接放出したり利用する事は勿論できますが、やはりこの異世界では異質物であり公彦と同じ射程一メートルとなってしまいます。


 そこで直接的に外に向かって利用することは控え、内部の循環に使います。自らの核魔融合炉への強力なブースターとして。或いはガソリンと電気の併用ハイブリッドエンジンの如く、正に【トルク】と【燃費】の向上に貢献させることが可能です。


 この異世界の太陽から供給される魔力はそのままで、もう簡易版とは侮れない超強力な核魔融魔合炉とのダブル出力機関はある意味公彦のそれに匹敵しています。使い勝手の良さでは射程の縛りも皆無で、|その点では完全に上位互換です。


 ハナ様はこの異世界生まれの転生者です。二つの世界の魔力に平等に愛されているのかもしれませんね。

 気づいていますか?彼女に治癒魔法を行使された際、一切痛みを感じていません。逆に心地よいとさえ感じています。

 と結論 ∮〉


 ずーるーい~。それってチートやん。



〈∮ 検索及び検証考察結果を報告。

 慰めではないですけど、この異世界全ての魔力素粒子アルカナの総量と半径一メートルながら、圧し潰され消されることなく拮抗し、且つ影響・変革を強要するに至る。そちらのほうが脅威であり、奇跡です。


 そしてハナ様についての補足です。

 ハナ様の亜次元領域数は元から多く、核魔融合炉も比較的大きい、それでも、公彦が自身の脆弱さから未だに手足を圧潰させているように。過ぎた力は時に自らを滅ぼします。規定値超えの過負荷ロード・オブ・オーバーによる内部からの膨張破裂は何時いつ起こるかも解からない爆弾です。お気をつけを。


 ああ、聞いていませんね。そうですか……。

 と、仕方なく結論 ∮〉


 そんなことはどうでもよかった。だって戻ってきたサキュバスっ娘ったら、ビキニを隠すフード付きの黒く光沢のあるロングコートを羽織っていたのだから。まだ堪能し切ってないんですけれども? どうすんのよ?



〈∮ 検索及び検証考察結果を報告。

 世界は魔力素粒子アルカナで満ち満ちています。

 個が水中で漂うのではなく、我々の中の隅々まで浸透し、含まれている。いや、我々自体が素粒子なのです。

 原子が東京ドーム程の大きさだとしたら、ホームベース上に置かれた砂粒一つが素粒子の大きさになります。


 こう、考える事は出来ないでしょうか。元々雑多な数多くの素粒子が長い長い時間を掛け、宇宙の始まりより数千万億兆京年と言う時間を掛け、万有引力の基に寄り集まります。


 世界は、

 長い長い時間を掛け“陽子”を形造り、

 やがって長い長い時間を掛け“中性子”を形造り、

 やがって長い長い時間を掛け“原子核”を形造り、

 やがて長い長い時間を掛け“電子を加えた原子”を形造り、

 やがて長い長い時間を掛け“分子”を形造り、

 やがて長い長い時間を掛け“タンパク質”と“物質”を形造り給う。 

 やがて長い長い時間を掛け“生命”と“世界”を生み出し、今に至る。


 魔力素粒子アルカナはその宇宙の始まりからの長い長い時間を一足多に超越させ、正に一瞬で寄り集まり“カタチ”を創り出す。

 炎弾然り、テルミット然り、“世界”然り。


 しかしながらあるがままの、長い年月を掛け創り上げた“世界”を捻じ曲げる事象遷移変改には当然に歪みが生じます。それを正す復元力という強制力はその持続時間を非常に短いものとしている。


 それが“魔法”なのではないでしょうか。そしてそれを“カタチ創る”技術が“想像・創造イメージという名の亜次元領域で行われる膨大な“世界”の情報を変改させる為の演算”=“真述魔術”だと考えます。


 ああ、聞いていませんね。そうですか……。

 と、投げやりに結論 ∮〉


 ロングコートって! っッて‼

 チョット待って……あれって雲が割れ、神の光が下界に慈悲を持って一直線に降りそそぐ、幻の神の梯子スリットではないでしょうか?

 動きやすい様にと裾が僅かに割れ、白い生足が覗いてる 。そうあれは正しくは福音の光芒。

 之は、これは、いい! チラいい‼

 よろしいですなダンナ⁉


 やめて、そんなクソを見るような目で見ないで。ゾクゾクしちゃう。

……違うから、M因子でもないから。違うから。


……。

〈∮ 検索及び検証考察結果を報告。

 ここで訂正と謝罪を申し上げます。先ほどお褒め頂きましたが、実は“検索”も“検証考察”も行っておりません。いや、少しはしています。だいぶしています。噓です。虚勢を張りました。


 ……ただ、ただただ第一基門が開放され、“万有間構成力グラヴィテイション制御魔技法・フィネス”がリリースされた時点でインストールされていたアーカイブが強制解凍され、“検索(観覧中位四種)”が可能となり、予め設定されていたチュートリアル説明全文を述べさせて頂いたに過ぎません。


 ここで改めて訂正と共にお詫びを申し上げさせて頂きます。


 尚、アーカイブのプロパティの作者名欄には『貴方の愛しい姉・月子』との名がある事を強制的に拒否権なしにお知らせすると共に、添付された音声データーが自動再生されます。

 なんか、すいません……。

 と結論 ∮〉


“キミちゃん、可愛い女の子達とウハウハしてる?楽しまなくっちゃね!

 パフパフよ!”



――――――――――――――

【後述】

 物理のお話しも出てきますが、端折ってますし、歪曲もあると思います。総じて『ナンチャッテ』です。すいません。自分は『雰囲気』って言葉が大好きです。所詮妄想物語です。ファンタジーです。どうぞ寛容に笑って許して下されば有り難いです。

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