サマータイム
海翔
第1話
朝から蒸し暑い日が続き、やっと、お互いの休みが取れ、麗子は孝と共に八丈島でサマータイムを取ることにした。
麗子に取ってはこの島は思い出のある島で、初めての経験をしたところでもあった。あれからお互いの愛を温めて5年後に孝と結婚した。
羽田から12時15分の飛行機に乗り、1時間足らずで八丈島に着き、そこからリードパークリゾートホテルに向かった。
5年ぶりに訪れたこの島は何も代わりのない自然の姿を見せてくれた。
少し早いチェックインを済ませ、早々部屋に行ったら、エアコンの効いた涼しい部屋で窓からは海が目の前に見える部屋だった。
ひとまず二人は荷物を置いて、ラウンジに向かい、ここでコーヒーを飲みながら今日の予定を考えることにした。
都会にいると忘れていた癒しさを改めて感じた。
「孝さんこの後、プールで泳ぎませんか?」
「そうだね、せっかく来たんだから楽しまないとね」
そういってコーヒーの最後の一口を口に入れて部屋に戻り、水着に着替えた。
麗子はその日のために買っておいたビキニの水着に着替え、孝と共に部屋を出て、プールのあるところに向かった。
二人は軽い体操をしてそのままプールの中にドボーンと沈んだ。
水の中は気持ちよく久々に二人は解放された気分にさせられた。
プールから上がり、麗子はバスタオルを敷いてサマーベッドに横になった。
そして、部屋から持ってきたサマーオイルを体に塗り始め、背中は孝さんに塗ってもらい、体を伸ばして横になり休んだ。
孝は再度、プールに潜り解放感を味わった。
孝がプールから上がってから麗子は孝と共に遅い昼食をホテルのレストランで食べに出かけた。
そしてひとまず部屋に戻り、シャワーを浴びてサマーオイルを流してバスローブに着替え、涼しい部屋でのんびりしていたら、
ふっと、孝は何気ない妻のしぐさに欲情して抱き寄せた。
明るいうちに抱くなんてことはあの日以来のことのように思え、
軽い口づけをして、妻のバスローブの紐を解いて裸にした。
久々に見る妻の裸はよく締まっていて輝くような体だった。孝も裸になりそのままベッドへとなだれ込んだ。
掛け布団をどかし、貼り付けたシーツは暖かい体には気持ちいい感触だった。
孝は口づけをしながら、麗子の乳房を揉み、徐々に舌先を乳首へと移動してきた。
麗子は微かな溜め息をつきながらその快感を味わった。
落ち着いた頃に二人でシャワーを浴びて、よく冷えた部屋から海を眺めた。
孝は「久々に充実した気分になれたよ。たまには二人で旅行をするのも良いもんだね」そう言われ、
麗子もまた「二人でいけるチャンスが合ったら行きたいですね」と答えた。
窓の外を見たら、ここに着いた時は太陽は大分上にあったが、今では地平線の近くまで近づいていた。
二人にとっては滅多に見ることがない太陽が地平線に沈んで行くタイミングに巡り会えて感動した。
そして、二人は着替えて夕食の会場に出かけた。
夕食は麗子の好きな料理が並び目を輝かせて、頼んでおいたワインを飲んで今日取れた魚を食べながら楽しい時間を過ごした。
孝にとってはこんなにゆっくり過ごせた時間はここ最近には無かっただけに解放された気分だった。
ふっと、携帯を見ると着信の知らせたの点滅が光っていた。
携帯を確認したら、会社からで孝は麗子に「電話みたいなので」と言って、携帯を持ってラウンジに向かいそこで、会社に電話をしたら、
同僚の美奈さんが出て、美奈さんが課長に代わり、孝の担当している木田工業の社長が亡くなったので直ぐに帰ってくるようにとのことだった。
木田工業は孝が初めての営業で話がまとまり取れた大きな会社で、社長には随分お世話になっていた。
それゆえにこういう事態になったので、孝に連絡したとのことだった。
孝は課長に朝一番で東京に向かうことを伝えた。
妻の麗子に会い「明日朝に東京に帰るので、その間はここにいてもらいたい」と話した。
麗子も孝の話が突然だったことから心配したが仕事のことなので了解した。
孝は「せっかくの旅行だったのにごめん」と謝った。
麗子は「会社のことですから我慢します。一段落したら、ここに戻ってきて下さい」と言った。
麗子は楽しみにしていた時間が突然閉ざされてしまいショックを受けてしまった。
その後の時間は何となく過ぎていった。
翌朝、夫を見送って、麗子は一人朝シャワーを楽しんだ。
生暖かい湯を体に浴びて、弾けて行く湯のしぶきを見てまだまだ私は若いんだと確認した。
湯のしぶきが乳房に当たり、乳首の先から落ちていく、自分でもなんとも言えない色気を感じた。
身体中に湯を浴びるとまた新しい一日が始まるような気がした。
シャワーを浴び終えて、バスタオルで拭いて浴室を出るとエアコンの効いた涼しい風が体をおおい爽快な気分になれた。
軽い朝食を取り、ラウンジで涼しい風に吹かれ、コーヒーを飲みながら軽い音楽を聴いていると、
ふっと、何処かで見たような男性に気づき、その男性も私を見て、こちらに向かって歩いてきた。
その男性は「もしかして、井上麗子さんでは、、、」
麗子は「はいそうですが、貴方は、、、」
「私ですよ、朝月です。中学の同じクラスのわかりますか?」
「あぁ、、、思い出しました。私の隣に座っていた朗さんですか?お久しぶり、、、どうしてこのホテルに?」
「有給休暇でひとり旅です。麗子さんは?」
「昨日、夫とここに来たんですが夫が緊急のようで今日の朝にここを立ってしまい、一人残されている状態なんです。
仕事が一段落したらここに戻るといってました。それまでは、、、」
「そうだったんですか。それにしても久々に麗子さんに会えて嬉しい限りです。実を言うと中学時代は憧れていたんです」
「そうでしたか、実は私も、、、私も恥ずかしくて何も言えませんでした。
そのまま中学を卒業してバラバラになってしまいましたが、すごく気になって、手紙を書こうかと思いました。でもこうやって出会えるなんて運命のいたずらですね」
「どうですか、これからプールで泳ぎませんか?」
「そうですね。15分後にプールで会いましょう」そういって麗子は部屋に戻った。
麗子にとって初恋の相手にまさかここで会うなんて、中学時代の甘い思い出がよみがえった。
あの時、彼に告白したらどうなっていたのかなと思い、もしかして、朗さんの嫁になっていたかもしれないと、、、
そんなことを考えていながら、お気に入りの花柄のビキニを着てプールに現れた。
先に来た朗さんはプールの中で泳いでいた。
そこに色鮮やかなビキニで来た麗子の姿にみんなが目を奪われた。麗子は朗を見つけて、そこに向かってプールの中を泳いでいった。
麗子は「久々に泳いだけれど気持ちいいですね」
「そうですね」少し二人で泳ぎ、プールを上がった。
近くのサマーベッドに横になり、中学を卒業してからのことを朗に話した。
そして「もっと、早く朗さんに会いたかった」
「でも、今は愛してくれる夫がいて幸せです」
朗も卒業して東京の高校、大学に入り、今の会社に入って、去年までイギリスの会社の支店で働いていたことを話した。
「そこで出会った現地の女性と結婚まで話が進んだけれど、不倫だったこともあり、日本には行けないと言われやむなく諦めた。それ以来、いまだ独身です」
麗子は「そうだったんですか、日本でいい人が見つかると良いですね」
「そうですね、でもなかなか見つかるものではないですよ」麗子は朗と近況を話して時間を過ごした。
朗は「もし、今夜、都合がよければ夕食を一緒に取りませんか?」麗子も「私も一人なのでよかったら、同席したいです」
「では、その頃にお会いしましょう」と言って、二人は別れた。
麗子は部屋に戻り、水着を脱いでシャワーを浴びた。
20代後半になり始めたが肌はまだまだ張りを残してシャワーの水を弾いた。冷たいシャワーを浴びることで体がシャッキリした。
バスタオルを体に巻いて部屋に戻り、冷たい水を口にした。
朗さんから夕食に誘われ、何処か中学時代に戻った気持ちでいた。
ぼんやり窓の外を見ていると太陽が地平線に沈みかけていた。麗子はこれから始まる時間に思いを馳せていた。
夜になり、食事に行く準備をしていたら、部屋の扉をノックする音が聞こえ扉を開けたら朗さんだった。
彼にエスコートされ、ラウンジに出掛け、彼が誘ってくれたのはお酒を飲みながら食事をするところだった。
ワインを飲みながら肉料理を食べて彼の話を聞きながら時間が過ぎていった。食事が終わった頃には大分酔ってしまい、麗子の顔は赤くなっていた。
朗さんに部屋まで送りましょうと言われ、麗子はそれにしたがった。
朗さんに送られて部屋の鍵を開けて中に入った瞬間に、朗は麗子の体を抱き締めて口づけをした。
麗子は何も言わずにその口づけを受けた。
彼の口づけで唇が濡れて、指先が麗子のドレスのジッパーを緩やかに開いて行く。麗子は酔っていたが、すべてを朗に任せた。
足元にドレスが落ちて、肩先からスリップを落としたら細やかな刺繍の下着姿になり、朗は麗子を抱いてベッドに移動して、着ているものをすべて脱いだ。
そして酔いに任せて、二人は愛し合った。
麗子は「もっと早く朗さんに抱かれたかった。大好きな貴方に、、、」そういって、浴室に向かった。
麗子はシャワーを浴びながら、涙を流して朗に抱かれたことは嬉しかったが後悔もした。
浴室から出ると朗は服を着て「麗子を抱けて嬉しかった。明日は船を借りて、近くの島に行きましょう。新しい発見が生まれるかも、そして、おやすみ」と言って
口づけをしてくれた。
朗さんが出ていった後に夫から電話があり、予定よりも時間がかかりそちらには戻れそうもないので、予約してある日までそこで過ごして東京に戻るようにと言われた。
麗子はやむなくそれを理解した。
朗さんと久々に得たなんとも言えない解放感にしたった。
だが、それは踏み込んではいけないことだった。
自分には大好きな夫がいながら、不倫へと踏み出したことが、、、一時の誘惑のために、、、そして、また明日誘われている、、、。
翌日、朝から太陽がギラギラ輝いていた。シャワーを浴びてスッキリしていたところにノックの音がした扉を開けたら、朗さんだった。
「船の準備がで来たので、朝食を食べてから出掛けましょう」
そう言われ、二人は軽い食事を取って、船着場で止めてあった船に乗り込んだ。船に揺られ、身近にある八丈小島に船を近づけた。
回りには誰もいなく二人だけの楽園のようで、朗さんは「ここで少し泳ぎませんか?」「ここでですか?」そういって、朗は着ているものを脱いで海の中に飛び込んだ。
それを見て麗子もビキニの水着に着替えて朗さんの近くで泳ぎ始めた。海の中はちょうど良い温度で気持ちよかった。
30分も泳いで船に上がり、甲羅干しをしていたら、朗さんが近づいて、背中にオイルを塗るのを手伝ってくれた。
ビキニの背中の紐を解いて、手の甲を使い優しく塗ってくれた。
麗子は船の軽い揺れで眠りに付いた。1時間も寝たのだろうか?
目を覚ますと隣に朗さんが居て、軽い口づけをした。麗子はされるがままに朗に委ねた。
そして、ビキニのサイドの紐が解かれ裸になり、それを確認して、朗も裸になり、麗子を抱き締めた。
二人はその場に倒れ、船の揺れに任せ愛し合った。
どのくらい時間がたったのか、隣にいた麗子が全裸で海の中で泳いでいた。それを見て朗も裸のまま麗子のところに飛び込んだ。
二人は裸のままもつれ、海水に揉まれた。
船に上がり、朗は「明日の昼に東京に戻ります、東京で会うことはできませんか?」そう言われ、
麗子は「それはできません。私には夫がある身なので、今回のことは一時の癒しとして忘れてください」そう言われたが
「もう、貴女を忘れることができません」
麗子は「それは私も同じです。だからこそ、ここを離れたら忘れてください」そう言われ朗は、なにも言えなかった。
そして、静かにエンジンをかけて島の港に向かった。
島に着いて、二人は別々の部屋に向かった。夕方になり、朗さんから電話があり「最後の食事に付き合ってください」と言われ、
麗子は「思い出を残しましょう」といって、食事の誘いを受けた。
しばらくして扉をノックする音がしたので開けてみたら朗さんが迎えに来てくれた。麗子は朗にエスコートされ、レストランに向かった。
食事は魚介のコースでワインを飲みながら、たあいのない話をした。時間が砂時計のように下に流れて行き、短い時間のように感じられた。
食事が終わり部屋に送られて、朗さんが「元気でいてください」と言われたときに、麗子は朗の手を取って部屋に導いた。
朗の唇に口づけをした。朗はそんな麗子を強く抱き締め、ベッドの部屋に移動して麗子の着ているものを一枚づつ脱がした。
麗子も朗の着ているものを脱がしにかかった。
二人は裸になって強く抱き締めた。麗子の肌は今までに見たことのないような輝きを帯び、朗は夢中になって抱き締めた。
麗子は「朗さん私を抱いてたくさんの思い出を残して下さい」と言った。
二人は愛を確かめるように愛し合った。
しばらくして、二人は頭からシャワーを浴びてスッキリしていたところにバスタオルで体を拭いていると、
麗子は「今日は帰らないでこの部屋に居てください」そう言われ朗は「わかった」と言って、麗子を抱いてベッドに運んだ。
麗子は裸のまま朗の腕まくらで眠りに付いた。
翌朝、隣にいたはずの朗さんが居なかった。机の上を見たら、朗さんの字で
麗子さんへ
君と会えてよかった。
短い時間でしたが、あの時(中学時代に)お互いの気持ちが通じていたら、
人生が変わっていたかもしれませんね。
でも、短い思い出でした。
ありがとう、、、
朗 と書いてあった。
それを見ながら、麗子は涙を流して読み続けた。
窓の外を見ると飛行機が東京に向かって飛んでいるのが見えた。
あれから、3月が過ぎ、麗子も平凡な生活を送っていた。
そんなある日、上野の美術館でイベントがあり、従妹の美優ちゃんと出掛けたときに同じ会場で朗さんと出会った。
朗さんから声をかけられて、初めて気づき「こんにちは」と挨拶をした。
麗子は美優に「中学時代のクラスメート」と紹介をした。
「今日は従妹と来たので改めてお会いできたら、、、」と話したら、朗は名刺を渡して「改めて会いましょう」と言って二人と別れた。
麗子は、夏の日のことを思い出した。
ふっとした誘惑に誘われて彼に抱かれたことを、、、。
あれ以来、彼のことが気になっていたが、夫を裏切った負い目もあった。
翌日、どうしても気になり、朗さんに電話を入れた。
朗は「麗子さんに会いたかったです。これから会えませんか?」そう言われ麗子は悩んだが誘惑を断れず、朗に会うことを決めてしまった。
指定の時間にホテルに行くと飾り毛のない朗さんが待っていた。
朗はそのままホテルの中に入って部屋に招き入れた。
そして強く抱き締め、朗は「麗子さんから電話が来るとは思いませんでした」
麗子は「どうしてももう一度だけ会いたくてここに来ました。多分、会えるのはこれで最後になります」
「実は、夫とフランスに行くことになり、明後日、現地に向かいます。最後にもう一度会いたくて、、、。」
「そうだったんですか」
そういって、口づけをして、麗子の服を脱がし始めたら、麗子は「少し待ってください。シャワーを浴びてきたいので、、、」そう言われ、
朗は手をはずし浴室を案内した。
しばらくして、シャワーの音が聞こえ、朗は窓のカーテンを閉めて、部屋の明かりを少し暗くして、横になっていると、
麗子はバスタオルを体に巻き浴室から出てきた。
そして、朗の元に来て、バスタオルを取ってベッドの中に入ってきた。朗は麗子を抱きしめて口づけをした。
麗子も朗の誘いを受けて、口づけをしながら抱かれた。麗子の体からはボディーシャンプーの香りがした。
麗子にとっては朗との最後の思い出にしようと愛し合った。
そして、愛し合ったのち、ばったりとベッドに倒れた。
朗は仕事の疲れか、軽い眠りについた。目が覚めてみると、麗子はもうそこには居なかった。
ホテルのメモ帳に走り書きで、
貴方に会えてよかったです。
この事は私の一生の思い出になります。
そして、体に気を付けて、仕事に励んでください。
麗子
と書かれていた。
所々に涙の跡が残っていた。
明後日の昼に会社から空を見たら飛行機が飛んでいるのが見えた。
麗子はこの飛行機でフランスに旅立ったのだと思うと、これで麗子とのサマータイムも終わったんだと思った。
サマータイム 海翔 @ukon9
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