第20話 告白
「それ、研究してみない?」
案の定、カモミールさんに言われる。
そんな気がしていたんだよね。
「こちらの世界の魔法とも違うようだし、興味あるなぁ。」
カモミールさんの顔はにこここしている。
普段クールなだけにちょっと怖い。
「ごめんなさい、姉は研究者のせいか興味を持ち出すと止まらなくて…。普段は魔法薬を売って生活しているみたいなんですけどね。」
ミントさんに謝られる。
その後、俺とカモミールさんは旅から帰るのだが…何故かカモミールさんが俺から離れなくなってしまった。
****
「久々に帰ってきたと思ったのに、何これ??」
カモミールさんは離れることなく、何故か俺の腕にしがみついていた。
ていうか、柔らかいものが腕に当たっているんですけど!
彼女はまったく気にしていない様子だ。
「一日中様子を見ていたい!」
と言って、ずっとそばにいる。
ファーレンさんの家にもついてきて…というか離れないのでやむを得ない。
アンが凄く
「ミライは私の物なんだからね!」
「へ?」
どういう意味だ?
アンは急に俺に抱き着いてきた。
訳が分からず固まる。
「私も渡さんぞ!こんな面白いもの一人占めにされてたまるか!」
アンとカモミールさんは
バチバチと火花が飛んでるみたいだ。
「私は、前からミライの事好きだったんだから!」
顔を真っ赤にさせて叫ぶアン。
え?えええ?
「…………。」
カモミールさんは無言でアンを見つめる。
急に俺の腕を離す。
「何を勘違いしてるんだか。私は実験対象として気に入っただけだ。そういうのは2人でやってくれ。」
「帰る。」
カモミールさんはそういうと本当に帰ってしまった。
どうすんのこれ…。
アンって俺の事好きだったのか。
女の子にそんな事言われたの初めてで…ていうか妹みたいにしか思ってなかったから意識してなかった。
バタン
アンは急に恥ずかしくなったのか、俺から離れて…慌てて自分の部屋に入っていった。
「俺も帰ります…。」
「ああ、そうしてくれ…。」
ファーレンさんに挨拶だけして俺は家に戻った。
椅子に座り、ため息をつく。
「アンって俺の事好きだったのか…。知らなかった。」
他人から怖がられる事はよくあったが、好かれたことはほぼ無いと思う。
告白されてもまだ信じられない。
これ現実か?
初めての出来事に戸惑いを隠せない。
そういえば、アンは最初から俺を受け入れてくれていたっけ。
怖がらないでくれた。
好きとかよく解らないけど、俺はアンを大事にしようと思った。
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