第15話 旅の準備
俺はここ何日か、カモミールさんの家の家事をしている。
冒険者ギルドの依頼での仕事なのだが、思ったより収入がいいし、海に行くことも早めに出来るかもしれない。
なので機嫌はめちゃくちゃ良い。
鼻歌を歌いながら、掃除をしていた。
ゴミを片付け終えたところで
「私と旅に行かないか?」
カモミールが突然そんな事を言い出した。
「ちょうど、薬草が切れてしまっていてね。取りに行かないと、とは思っていたんだ。」
「君さえよければだけど。」
俺この人に事情を話したっけ?
薬草の事は言って無かったはずだけど。
「マリー花って花だけどね。白くてきれいな花なんだよ。最近はここら辺では、見かけなくなってね。」
『あ~~っ』
「どうしたの。いきなり叫んだりして。」
「それ、欲しかった花ですよ?ある場所知ってるんですか?」
「あー知ってるというか。普通に咲いてるし。一緒に行ってくれれば手に入るけど。」
あっけらかんと答えるエルフ、この人は慌てるとかないのだろうか?
「場所は内緒ね」
人差し指を口につける。
何年も見つからないって言ってたけど、あるんだな。
実は数年かかるかも…と思っていたギルドの依頼、達成出来そうだ。
でも場所は内緒か。
ギルドで何処で見つけたのか聞かれそうだよな…。
旅の準備にしばらくかかるらしくて、出発は3日後くらいになると言われた。
****
「旅に出る?また急だね。」
ファーレンさんの家に行き、旅に行くことを伝える。
「…そうか。アンには帰るまで大人しく待っててもらうとするか。」
旅は思っていたよりも危険らしい。
「森の奥とか危険な場所にさえ近づかなければ大丈夫なんだが‥。何があるかわからないからね。」
因みに薬草の話は
「アンに言ったら大騒ぎしそうだ。」
ファーレンさんは苦笑していた。
****
俺は旅の前にギルドに行くことにした。
今までの依頼料の受け取りと、地図があるのかどうか聞いてみたかったからだ。
地図があれば移動も楽に出来るだろう。
地図はギルドで無料配布されていた。
大まかな事しか書かれていない地図。
無いよりはよほどましだった。
ギルド職員のリアさんから地図を受け取る。
こんな風になってるんだ。
俺のいる場所は大きな大陸の内側らしい。
分かるのは周辺だけで、北半球とか南半球は分からないところらしかった。
ここ凄い山だな。
今現在の位置から北の方に山脈がある。
山って凄い所だと登っていけないよね。
専用の道具とか必要だったし。
まあ、多分用は無いだろうけど。
旅に行くのに数日かかるから、自分の分の食料を用意してと、カモミールさんに言われていたんだった。
パンとか、肉とかでいいのだろうか?
リアさんにそこらへんも聞いてみるか。
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