第5話 冒険者ギルドに行った
村長さん、見ず知らずの人を信用しすぎだよ。
俺が悪い奴じゃないからいいけどさ。
基本にこの世界の住人は素直なのだろうか。
それともこの村限定なのだろうか。
「アン、おはよう。」
俺はアンを見守ることにした。
ファーレンに言われたのもあるが、何となく放っておけないから。
何か自力で食料を得る方法はないだろうか。
どうやら近くに町があるらしく、村で手に入らないものはそこで購入しているようだ。
お金か。
まさかもう働くことになるとは‥少し前までは思ってなかったな。
アンに聞いてみる。
薬草を取ってきて、売りに行く。
これでお金になるらしい。
アンは薬草取りに行ってたんだっけ。
それなら出来そうだな。
「冒険者登録したほうがいい。」
アンに言われた。
隣町の冒険者ギルドに売った方が、薬草は高く買ってくれるそうだ。
そういう仕組みなのか。
アンはまだ年齢に達していないので、登録していないそうだ。
もっとも危ないことをしたくないから、登録はしないそうだけど。
年齢を聞いたら14歳だった。
てっきり小学生と思っていたのに童顔だし…。
俺はしばらくファーレンさんの家で食事をご馳走になっていた。
自立しないと。
「明日、冒険者ギルドに行こうと思ってます。」
「そうか。この村から出ていくのか?」
一瞬アンの体がびくっとした。
「いえ、薬草はギルドの方が高く買ってくれるって聞いたので。」
「あ~そうだな。依頼を受けて薬草を取りに行くって感じだけどな。まあ、無理するなよ。」
「はい。」
「ねえ。本当にこの村出ていかないよね。」
アンが俺に問いかける。
「行かないよ。」
今のところはね。
アンの事も心配だが仕方ない。
自分で克服してもらわないと。
ファーレンさんに、俺は冒険者向きと言われた。
どこが?と聞いたら見た目怖そうなところとか。
それ俺の一番の悩みなんですけど!
翌日隣町のレイト町へ移動。
冒険者ギルドに行ってみた。
地図を見ながらなので迷わない。
俺は店内をキョロキョロと見まわした。
「受付はあそこか。」
美人の女性が制服を着て座っている。
「登録ですか?」
営業スマイルで話しかけてきた。
青色のショートヘアだ。
渡された用紙に名前を書いて…不思議とこちらの世界の文字が書けるようになっていた。
少し戸惑いつつも登録完了。
ガヤガヤと人が多い所だ。
長居したくないな。
声が聞こえた。
「あれ、新人かよ?」
「でかくないか?目つきもやばそうだし。」
聞こえてますけど!
今はこの見た目に感謝だ。
聞いていた話だと新人は絡まれるのが普通なんだとか。
一応気をつけろよとは言われた。
多分大丈夫だろうとも言ってた。
こっちの世界でも俺、怖がられてるのね。
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