Desert Drive - デザートドライブ -

日生 良

01.Desert Drive

第1話 GO

 やっとバイクが空を走る時代になったようで、なにより。

 過去の夢想家は空を走る車を想像できても、携帯端末は考えつかなかったらしい。一家に一台テレビを持つ時代が過ぎ去り、一人一台『パソコン』を持つ時代すらもう古い。

 そんな今日に「とうとうバイクが空を飛ぶ」と騒ぎ立てられても、今更感は否めない。だが嘲笑する間もなく国中が歓声に湧いたのは、日本が生み出した技術によって時代の進化がもたらされたからだ。

 二十世紀の中盤頃、高度成長期の日本は、高性能コンピュータと電卓、どちらを進化させるかの二択で電卓を選んだ、らしい。その後海外作コンピュータや通信端末機の普及に伴い、電卓の需要は大幅に減ることとなった。「あの二択でコンピュータを選んでいれば、今頃違った未来となっていたかもしれないのに」と授業中に教師が嘆いていたことを、皇志真は何故か鮮明に覚えている。


「寝てないで準備しろ。シーマ」


 自身のレースネームが聞こえたので、志真は目を開ける。

 空は満天の星空、なのだろう。立体光の強い光であまり見えないことが残念だけれど。

 下から吹き付ける秋の風は、未だ夏の気配を色濃く残していた。活気を残しつつも穏やかな風の匂いが漂っている。


「準備なんかとっくに出来てる」

「なら、いい加減起きたらどうだ。瞑想中には見えなかったぞ」


 声の主であるチームリーダーのゲンに首根っこを掴まれ無理矢理起こされると、ほんの少しだけ残っていた眠気が消えていくのを感じた。


「出来てるって。コースはまた『デザートドライブ』なんでしょ。僕たち『メビウス』のお得意コースだから、いい結果を残せて当然。また僕たちが勝つだろうって書き込みが多いし、なんとかなる」

「あんまり調子に乗るなよ。勝負なんて、いつひっくり返るかわからない」

「わかってる。だからこうやって、死ぬほど走って飽き飽きしてるコースでも、最終チェックをしに来たんじゃないか」


 志真はライダースーツを着た状態ででゆっくりと準備運動をする。


「勝たなきゃ意味がない。勝つためならなんだってやる。……そういう意味も込めて、準備は出来てる」


 近くに転がっていた改造ヘルメットを手に取り、息を吐く。

 フルフェイスタイプのヘルメットの後頭部部分を外側に大きく開いたデザインで、志真のオリジナルデザインだった。

 長めの髪をオールバックにして被ると、風を受けて後ろになびくようになっている。

 当然ながら公道では使えないが、空でバイクを走らせる分にはお咎めはない。あとは自分の命とご相談、というわけだ。


「ーーあ。あとは、店の商法を変えてくれれば御の字なんだけどさ」


 志真の言葉にゲンはうんざりとした顔をした。


「またその話か」


 何度も苦言を呈しているせいか、耐性が付いたらしい。

 ゲンは顔色一つ変えずに「考えておく」と答えた。どうやら考えてくれそうにはない。

 メビウスのチームリーダーであり老舗(オンボロ)スポーツバー、『メビウスロック』の店長でもあるゲンに文句を言いつつ、志真は知らん顔で準備運動を続けた。

 廃業間近だったスポーツバーを継ぎ、その頃超がつくほどマイナーだったスカイバイクレースに目を付けて店のウリにした。そして自らもレーサーとしてメビウスを率い、たった数年で店を立て直した手腕は見事だと思う。だが、しかし、


「僕のロマンは台無しだ」


 ゲンの舵きりについては一言申さずにはいられなかった。


「僕たちメンバーを『メビウスロック』の売りにするのはいい。でもさ、僕たちはアイドルじゃないんだ。ドリンクとか写真とかグッズとかで稼ぐのはなんか違う」

「じゃあ、バイク費用やメンテナンスはどうする? お前はやりたくないかもしれないが、金はそこから出てるんだぞ」

「そう、わかってる。そこがさらに気にくわない」


 スカイバイクはきちんとしたバイク競技ではない。日本の東部に浮かぶ島――綺真島だけで行われるモータースポーツだ。

 総人口およそ二百万人ほどの綺真島は、海がきれいなことから元々観光地として有名だったが、そこに新しくメインとなる観光物を作ろう、ということで考え出されたのが、オリジナルのバイクレースだった。

 綺真出身の研究チームが十年ほど前、触れる光技術、立体光を発明し世に出した。

 その技術を空で行うバイクレースに使おう、との案が出始めたのがおよそ八年前で、実際にスカイバイクとしてレースを売り出したのが五年ほど前になる。

 恐らくその頃の島のお偉い方は、若者がゲリラで行うほどの大規模レースになると思っていなかったに違いない。

 徹底管理された小さな敷地で、監視員や指導員のサポートのもと行われる、ちょっとしたアトラクションのようなもの。または、落ちても怪我をしない程度の低空をバイクや自転車で走り、写真を撮ってハイ終わり、という和やかなものを想像していたはずだ。


「じゃあ、握手会か? でも、季節イベントやらチャリティイベントやらで握手はもうやってるしなあ」

「いやいや、客層全然違うだろ! 考えろよ」


 恐らく、若者に目を付けられたことが誤算だった。いや、若者に目を付けられるはずがない、と信じて疑わなかったこと自体が誤算だったのだ。

 二十一世紀の半分を過ぎようとしている今日、未だ世の少年少女たちは暴走気味だ。信じられないほど愚かな大人も少なからず存在しているし、夢を捨てきれずにもがいている若者も多くいる。

 ルールや法律、様々な壁のない、自由な空に希望を見出した若者も、当然ながらいたのだ。


『シーマさん、ゲンさん。下ヤバいっす。超満員!』


 別のビルの屋上にてスタンバイをしていたチームメイト、テンマの興奮した声が、ヘルメットの内蔵スピーカーから聞こえてきた。

 ヘルメットに内蔵された電光画面で外の様子を確認すると、空を見上げている多くの通行人が映し出された。

 志真たちメビウスの『一部スタート』はビル屋上からなので、顔を出すことは出来ない。

 うっかりスタート地点がバレてしまえばファンやらアンチやらが殺到する。そして無断でビル屋上を使用していたと騒ぎになり、スカイバイクの取り締まりが厳しくなってしまう。

 なので近隣の監視カメラ情報を無断で拝借し、一般人の動向をはかっているというわけだ。

 一時的な『情報のお借り』は『安全情報の共有』であるとのスカイライダーの認識は、限りなくアウトに近いアウトであると自覚はしているが、知らん顔をすることにしている。


 映像を受信した志真は、ビルの下に人だかりが出来ているのを見つける。

 通信端末機に視線を落としたまま動こうとしないことから、通行人ではない。レース目的で集まってきている人々だろう。

 本当の通行人が人だかりを避けるようにして車道へはみ出すさまを見て、志真は溜息を吐いた。


「うーわ。……警察、来そう」


 過去に数回、警察が出動する騒ぎとなっている。


「道を塞ぐことはするなって言ってるのに」


 ファンに対する規則はない。これがゲリラレースなのだ。

 ファンが増えれば増えるほど、言葉が届かなくなる。

 スカイバイクが好きだと言いつつも、自分勝手で協力的ではないファンも多い。


『いつも以上に人が多いっすよね。何かありましたっけ? 別のライブやコンサートと被ってるとか?』


 ゲンもテンマも、見当がつかないようで、むむむと唸っている。

 客が多いに越したことはないが、あまりに多いので思わず怪しんでしまう。立場の悪いマイナースポーツであるスカイバイクにとって、悪目立ちは避けたかった。

 若者が考え出したスカイバイクは、観光用の想定には収まらなかった。法律や規制などが未だ追い付いていない状況で、なんとか”存在させていただいている”状態にすぎない。

 志真は観客にしばし考えを巡らせて、「記念日?」適当なことを言ってみる。


「九月二日。祝日だったか?」

「いや?」隣のゲンに首を振ってから、「あ!」志真は一つの考えに行きついた。「僕の誕生日か」どうりで赤い服を着たファンが多いと思った。


 志真は「個人情報は非公開なんだけどな」とぼやきつつ、手にグローブを装着した。


「諦めろ。生きてる限り、情報は漏れる」

「そうだけどさ。姿や形がない方が、カミサマに近いと思わない?」

『姿も形もあるじゃないっすか』

「スカイライダーの姿は人間のそれとはまたちょっと違うんだ」

「屁理屈を」


 そろそろ時間だ。内蔵スピーカーから、開始三分前を知らせるアラームが流れる。

 志真は自身のバイクをそろりと撫でてからストッパーを外した。

 そうして跨り、グローブとハンドルの馴染みを確認してから、ヘルメットをかぶり直した。


「テンマ、『二部スタート』組はいけるか?」

『バッチリっス!』


 テンマは別のビルに待機している。余裕のある声に思わず笑う。二部側のチームメンバーも問題なくスタート出来そうだ。

 志真はゲンとヘルメット越しに視線を合わせ、親指を空へと向ける。『やるぞ』だったか『飛ぶぞ』だったか。正確な意味はもう忘れてしまったが、毎度おなじみのスタートのサインだった。

 お互いバイクにエンジンをかけ、スタート位置につく。

 空にかかる立体光コースを見て観戦客が騒ぐ声をヘルメット越しに聞きながら、志真は「九月二日、か。今日でデビュー四周年か。短すぎて逆につまんないな」と、呟いた。


『俺もスタンバイ入りますね! お二人とも、ゴールで会いましょー!』

「ああ。ヘマしてポイント取り逃さないように」

『ヘーキヘーキ。メビウスがこのコース取り逃すなんてありえないんで』


 レースの合図がヘルメットに流れた。『Ready』というオレンジ色のデジタル文字がフロント上部に映し出される。

 先ほどまで感じていた風の気配は、もう感じない。

 息を吐く。ヘルメット越しの立体光の光を脳に叩き付ける。

 そうしてゆっくり、自分だけに聞こえる音量でつぶやいた。


「僕の前を走るな」


 未来などいらない。

 真っ新な砂漠に足を踏み入れるのは、自分だ。志真たちの存在する今こそが、最新であり唯一の『道』であればいい。


 『Go!』という赤文字が映し出され、押し出されるようにしてバイクごと屋上から飛び降りる。瞬間、路上から空を見上げていた人々が歓声を上げた。


 さて、もう一度説明しよう。

 スカイバイクとは、綺真島の上空を使って行われるスリルがウリのマイナーバイクレースだ。

 夜の空に立体光コースを張り巡らせ、ビルとビルの間を高速で駆け抜ける。凄まじいアップダウン、衝突ギリギリの危険なコースは当たり前で、一つ間違えば大怪我や死に繋がる。街行く人々の上空は、ライダーたちのテリトリーだ。

 技術や流行り、商品の流通など、何もかもが本州よりも遅れている綺真島で、最新のエキサイティングなモーターレースが楽しめる。SNSや動画の配信によって話題が話題を呼び、綺真島の観光客は爆発的に増えた。日本は綺真に感謝すべきだ、とすら思う。


 音声をヘルメットの外部スピーカーへと切り替えることで、志真の音声が外へと流れる。

 コースに近い赤い服の集団目掛けて速度を落とした志真は、「シーマファン」の声援を浴びた。

 悲鳴というのか雄たけびというのか、黄色というのか汗臭いというのか。様々な叫びが路上に生まれた。

 手を振ってから速度を上げ通り過ぎると、内部スピーカーよりチームメンバーの声が聞こえる。


『今お前がやったこと、アイドルそのものだからな』ゲンが呆れていた。

『ホント、シマくんはそういうの上手いよね』ユウキが引いている。

『いやぁ、さすがっすね!』テンマのテンションがあがり、

『タイム気ィつけろな』とニイナが笑う。


 スピーカーからのチームメイトの声に、フッと笑った志真は、「今日もトップでゴールするからよろしく」と言ってのけた。


「メビウスのスピードエース張れないシーマは、『シーマ』じゃない」


 志真のプライドの全ては、スカイバイクだった。

 自分を生かすも殺すもスカイバイクであって、それ以外は許さない。


「僕は一生スカイバイクのライダーでレーサーなんだ。これしかいらない。誰にも邪魔させない」


 季節は夏の気配を残した、九月のことだった。

 本日の気温や湿度は申し分ない。澄んだ空気は街の光をどこまでも遠くに届けてくれるような気がした。

 島民の生み出す生活の光と、繁華街のネオンと、高層ビルの光と、公園で行われている花火と、若者を追いかける警察のライトが眩しい。それにプラスして、ハイテクノロジーでエコロジーな立体光コースの眩さが綺真島の光である。

 光の中心に身を投げれば、信じられないほどの快感を手に入れられる。

 日本の馬鹿な選択に感謝しよう。もし電卓よりコンピュータを選んでいたら、今の時代に立体光の発明はなかったかもしれない。

 だが、たとえ過去にイフがあったとしても、きっと人は、同じ過ちを繰り返すだろうとも思う。


 だって、人間は正しい判断が出来ないから。

 人の心の移ろいと、ヒューマンエラーは必ず起こるものだから。


『はいはい。じゃあ誕生日でエースのシーマ様、今日も相手チームを蹴散らして独走しちゃってください』


 ゲンの呆れた声を聴きながら、志真はグリップを握り直した。



◆◆◆



 歓声がうるさくて、非常に心地がいい。

 街の光を浴びながらのスリル満点のレースは、今日も最高だ。


『おっしゃ! ポイントゲットしたっす!』

『やるじゃん。今日調子いいんじゃね?』


 内部スピーカーにて、仲間の声が聞こえる。

 自分だけではなく、仲間たちの調子も良いようだ。それはなにより。


 猛スピードでコースを走りながら、志真はカーブ先の直線をどう走ろうかと考えていた。

 対戦相手のチームを蹴散らし続け、このまま走りきればメビウスは確実に勝てるだろう、というところまで来ている。

 だが、それでは少々つまらない。このまま最速を攻めるのもいいが、少々遊ぶのもいいかもしれない――

 そんなことを考えながらグリップを握り直したその時、足元が微かにぐらついた気がした。

 たまにある立体光の不具合だろうか。

 レース終盤の一番の見せどころでそれは勘弁してくれよ、と思いつつ、志真はゴールを確認した。

 このまま不具合が出続けると、後続のバイクにも影響が出る。

 メビウスのレーサーも、もしかしたら転倒などのアクシデントが起こるかもしれない。

 ならば、今最速でゴールを抜けてしまえばいい。

 後続バイクが転倒しても、不具合を重く見た運営が即刻中断したとしても、自分さえゴールしてしまえば……。

 高速で走るバイクにとって、コースの不備は致命的だ。それが空で行われる競技ならば、尚更だ。


 焦るな。

 このまま今のスピードで、ゴールを確実に抜けろ。


 志真はそう自分に言い聞かせる。

 その時、空が大きく光った。


「――っ!? なんだ!?」


 慌ててハンドルを切ると、今度は遠くのビルが爆発する。爆発はそのまま別のビルへと移り、次々に爆発していった。

 下からは観戦客の悲鳴が聞こえる。その奥で車のぶつかる音と、クラクションのけたたましい音が聞こえた。

 一体何が起きている?

 立体光が何かを引き起こしたのか。それとも偶然、不具合と事故と事件が重なっているのか。

 ここまで大事になってしまったのなら、恐らくレースは中止になるだろう。

 特にルールにはないが、事故や事件が起きた際には速やかにレースを終了して解散するというのが通例となっていた。

 志真もその通例に従おうと速度を落とそうとしたのだが――


「目、が……!」


 何故か、目が見えない。

 視界の下から徐々に、黒い靄がかかり始めた。

 爆発の煙かと思ったがそうではない。本当に目の下のほうから見えなくなり始めたのだ。

 瞬きをしても、目をこすっても治らない。そのうち目の黒い靄があがってきて、視界の半分を奪われてしまった。


「く、そ……!」


 そこで感じる、浮遊感。

 視界を失われたからこそ起こってしまった。

 コースアウトだ。

 スカイバイクの立体光コースは、どこまでもアウトロー仕様だ。コースアウトを防止するような優しい設計ではない。

 志真は視界の狭さからくる焦りにより、カーブを失念し、突き抜けてしまった。ただ、その先に偶然あったのがビルで、ガラスを突き破るかたちでビル内に入れたからまだよかった。

 そこで上手くブレーキを踏めたら――の話ではあるのだが。


「建設中かよ!」


 ブレーキをうまく踏めなくとも、会社オフィスなら障害物となりうるものがたくさん置かれている。

 障害物にぶつかれば、なんとか止まれるかもしれない。

 志真はそれを期待していたのだが、運の悪いことにビルは建設中だった。

 壁には大きな脚立が何本も立てかけられており、透明やらブルーやらのビニールシートがあたりの床を覆っている。ただの、だだっ広い空間だった。

 欲していた障害物はどこにもないし、脚立とビニールシートでは障害物にはなりはしないだろう。


 当然、志真はバイクごと転倒してしまう。そのままフロアを滑り抜け、向こう側の窓へ一直線だ。

 このままでは、ガラスを突き破って、ビルの向こう――外へと飛び出してしまう。

 ビルの向こうに何があっただろうか。

 植木などがあるならワンチャン助かるかもしれないが、コンクリートの地面が待っているのだとしたら……。

 助かるすべを考えるも、上手く思考がまとまらない。

 神に祈ればなんとかなるのかもしれないが、志真はそこまで信心深くはない。

 軽い気持ちで祈っても助けてくれる、都合のいい神様は思い浮かばなかった。


『シーマさん! 大丈夫っすか!?』


 そこで声がした。テンマの声だ。

 おそらくテンマは、志真の転倒を見て追って来てくれたのだ。

 神かもしれない。


『つかまってください!』


 テンマは手を差し出しているのだろう。

 ライダーグローブの独特の衣擦れ音がこちらに向かって聞こえてきた。

 それと同時に、体にかかる衝撃と、浮くような感覚。やけにクリアに聞こえる風の音が自分の耳へと入ってきた。どうやら自分は、ガラスを破り抜けてしまったらしい。

 テンマのほうに手は差し出した。だが、空ぶったのか、距離が足りずに掴むことが出来なかったのかはわからない。

 志真の視界は既にブラックアウトし、何も見えなくなってしまったのだから。


 ――ねぇ。こんなことって、ある?


 志真はいるのかどうかも怪しい神様に問うた。

 死ぬ瞬間の風景を見ずに死ねだなんて、あまりにひどくはないだろうか。

 もう少し、もう少しでいい。

 自分に「生きるチャンス」がほしい。


 ――僕には、スカイバイクしかないんだ。


 やっとレーサーになれたのだ。たった四年の”寿命”で死んでたまるか。

 奪われたくない。まだ、レーサーとして生きていたい。クソくらえ。


 ――だから……。


 そこからの志真の意識はぷっつりと、途切れてしまっている。

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