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なりた供物

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小中高、ずっと教室の隅っこにいた。友達なんて作らなかったし、友達を作れた記憶もない。

そんな僕が、好きになった女の子がいた。


名前はみゆき、と言った。中学校が同じだった。彼女は、僕と同じでいつも隅っこにいた。僕と同じで背が高かったから、いつも後ろの席で同じだった。ただ、同じなのはそれだけで…彼女は社交的だったし、頭も良かった。


僕はいつも図書室に漫画を持ち込んで読んでいたが、彼女は大人が読むようななんというか物凄い長くて深い文章を読んでいた。東野幸治のホラーが好きとか言ってたかな。


そんな彼女とは、修学旅行の時に同じ班になった。


彼女は真面目な性格だったので男子がサボっていた京都散策のルートをしっかり取ってくれてたし、なんなら遅れた時どうすればいいかも書いてあった。彼女と一緒なら、修学旅行も難なく終わりそうだ。


修学旅行当日、俺はめちゃくちゃ体調を崩した。

歩いてるとクラクラするし視界もぼやけてしまった。まずいなぁ…お母さんに無理言ってお金出してもらった修学旅行が水の泡になってしまう。苦しい。

そう思っていると、誰かがやってきた。なんとなくわかった。みゆきだ。心配してきてくれたのか、嬉しいな。

「大丈夫!?ゲロ吐いたりとかしない!?」

しないよ…ただ、なんとか修学旅行に参加したい…と伝えた。すると、彼女はこう呟いた。


「実はさ、もう他の人達は散策に行っちゃったんだよね〜、私は君の介護にきたからさ、合流するのが3時間後くらいになっちゃう。」

「2人きり、になっちゃったね……」


アツい。めちゃくちゃアツい展開。ああ、なんとか修学旅行やっていけそう。というか、俺勝ち組じゃねぇか。可愛い女の子と2人きりだなんて。素晴らしい。

ああ…彼女は一体どんな人なんだろうか、本心とかあんまり知らないから、もしかしたらもっとテンション高めの人かもしれない。

よし、彼女と一緒にデート、だ。ああ、最高、最高すぎる。人生で生きてきてこんなに嬉しい事はなかなかない。あの"彼女"と…


あれ? あの子って、"なんだっけ"?というか、さっきから後ろにいるのは………


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