裏 義姉 2
マリウス様の研究室から出てくる
「全く、あの子もマリウス様狙いって事だったら、どうしてくれよう」
「落ち着きなさいよ。本当に資料を頼まれただけかもしれないでしょ」
部屋で、憤然と話をする私をなだめるようにカロ様が言う。
「そりゃ、そうだけど」
「彼女、貴方が転生者だって気がついていないんでしょう」
「ええ、そうね。私は直ぐ分かったけど、あの子は全く気がついてないと思う。私が転生者だと疑うような情報は与えていないはずよ」
「なら大丈夫じゃない。幾らでもこちらが先手を取れるわよ。
取り敢えずは、彼女についての情報を色々と仕入れてるけど。お友達がいるのが意外よね。ゲームだとボッチかなっと思ってたけど。
女友達といるシーンとか無かった気がするわ。
でも、友達のうち二人が攻略対象者の婚約者っていうのも笑っちゃったけど。攻略対象者の情報でも仕入れているのかしら。
それなら、逆ハー狙いじゃない限りはこちらには手を出してこないことになるけど。聞いた彼女のステイタスや成績を考え合わせると、狙い目は宰相の息子かな。まだ、判断するのは早計ね。
どちらにせよ、お友達のお陰で、情報も手に入りやすいけどね」
「マルチエンディングだから、気をつけているんじゃないかしら。孤立無援だと、情報が無いから、キツいとみたのかも。
まあ、こちらは3年時の下準備期間は、全て潰して廻るつもりだけど」
「貴方が詳しく覚えていてくれていて有り難いわ。私、そこまで詳しくないもの」
「任せて。あの
「今はあの
「それは確認してあるわ。学園内で見かけたときに改めて鑑定したけど。あの
子供の頃は清掃なんてなかったんだけど、何をしたんだか。笑っちゃうわよね。使用人に混じって掃除の仕事でもしたのかしら。良い子ぶって。
でも、後発で発現するのはあるのね。チェックは継続しようと思うわ。
このままならば、王太子ルートは強くないとは思う。他のも今のままだと難しいんじゃないかな。それでも、成績は上位だからそこら辺ぐらいかな、気にするのは」
「後、問題は聖魔法修得アイテムね」
「そう。その存在を知っていて、それを手にされると困るのよね。あれは聖女になるためのお助けアイテムだもん」
ゲームでは、逆ハーレムを狙うのならば最初の設定で聖魔法を持っていてはいけない。でも、聖魔法がなければ王太子は靡かない。それで、お助けアイテムとして聖魔法を獲得できる魔法具があるのだ。
これを手に入れれば、誰でも聖魔法を得ることが出来る。これについては、ゲームをヒロインサイドで何人か攻略していれば知っているはず。このアイテムは4年生になった時にダンジョンに入って、手に入れるものだ。
「マリウス様のこともあるからね。あれは手に入れないと」
「ゲームでは隠れキャラだけど、学園の先生パターンならば出会うのは簡単よね。そう言う意味じゃ、ヒロインにも手を出しやすくさせちゃったかな」
彼女はちょっと眉をひそめ、でもニンマリと笑って、
「貴方もヒドイわよね。マリウス先生にあんな大怪我をさせる依頼だと、分かってて指名依頼を態々出すように仕向けたんだから。まあ、私が手伝ったから、私も同罪かな。
マリウス先生へ至る選択肢は二つだったものね。
冒険者として活躍する彼と共にダンジョンを攻略する。もしくは依頼で左腕を失って、この学園の教師になった彼と出会う。
それで後者を選んだんだから。」
「仕方ないじゃない。彼を手に入れる一番確実な方法がそれだったんだもん。聖魔法修得のアイテムを手に入れて、彼の腕を再生できれば、好感度は爆上がり。その後のイベントで、晴れて恋人同士になれるのよ。欠損は一時だけなんだから、問題ないわ」
「でも、報告によると、彼は左足を失ったとあったわね。なにか 少しズレてる感じがするけど、大丈夫かしら」
「転生者が3人もいるからかしらねえ。そうね、気をつけたほうがいいかも。でも、大まかなところはこちらの望む結果になってるし、今のところは上手くいっているわ。やっぱり、あなたのスキルが強力なのよ」
「そう言えば、貴方のところに弟が生まれたパターンは、確か男爵が毒殺されるパターンって言ってたわよね」
「そ、あの女に裏切られてね。可哀想に、フフ」
「ヒロインの行動で、男爵家の末路が決まってたとはね」
「ホントにね。あの子が転生者で、私が虐げられないように行動してくれたおかげよ。それで私とヒロインが和解できなければ、あの女は、自分の娘を見限る。
そこで弟が生まれることになり、間男に男爵家乗っ取りを唆される。まあ、弟と男爵家乗っ取りが繋がっているなんてね。ヒロインの行動と男爵暗殺が結びつくなんて、ちょっとひどい設定よね。本当、選択って重要。
貴方には感謝してし、期待もしている。
選択肢が現れるのは、貴方だけなんだから。お陰でブレずに選択できるんだもの。本物のヒロインは貴方の方よね、カロ様。
普通に行動していて、イベントがちゃんと成り立っているかどうかを確認できるかと言われれば、無理だと思うわ」
「任せておいて。正しい選択で、正しい未来をお互いに掴みましょう」
「まずは、ダンジョン探索で、聖魔法修得のアイテムを手に入れなきゃ。待っててね、私のマリウス様。貴方の足は、私がきっと治してあげる」
後期学期の始めに行われるダンジョン探索が楽しみだわ。
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