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オルトが相談事があると言ったので僕の部屋に来てもらった。
オルトを部屋に呼んだのは初めてだったかなあ。
はじめ定食屋に行こうかと言ったらちょっとそこではというので僕の部屋になった。
僕の部屋はいたってシンプルでイチローさんのようにグッズを飾ったりしていない。
しおみさんの写真とか置いてないんですかと聞かれたけど、そういうこともしない。
オルトは、720mlの日本酒を持ってきた。
そんな気を使うことないのに。
日本酒はめったに飲まない。
純米吟醸の甘いお酒だった。
イチローさんじゃなくて僕ということは、もしかして彼女でも出来たのかと思った。
「彼女でも出来たとか?」
「ああ、そういう話だったらまあ確かにサブローさんに聞くのが一番ですね。」
と言って本題をなかなか切り出さない。
くうちゃんの話をしだすから、何かアイドルに関することかと思ったら違った。
少し沈黙があってしゃべりだした。
「会社を辞めようかと思ってるんです。」とうつむいて言った。
オルトらしくない。
「何かあったの?」
「いえそういうんじゃないです。ただやりたいことがやってることとずれてきたいうか。」
なるほど、仕事にある程度慣れてくるとそういうこともあった気がする。
もっと自分には何か出来ると思い出すんだ。
「一時的なこととかはない?」
「それは考えてます。でもなんか違うんです。」
思い悩んでいる様子がよくわかった。
「僕もそういう時期があった気がする。」
「どうしたんですか。」
「オルトとほどではないにしても別の会社をネットで調べたりしてこっちの会社に行けたらなあと思ったり、先輩にその会社のことを聞いたり、転職サイトで転職するにはどうすればいいのかとか見たり。。」
「でもしなかったんですね。」
「そう。まだこれからそういう気持ちになることはあるかもしれないけど、その時はなんとなくいろいろ調べているうちに仕事が忙しくなって仕事で少し認められるようになってそんな気持ちもおさまっていったというか。」
「そうですかあ。」
そう言って日本酒を少し飲む。なんかこれフルーティって感じですね。と言って日本酒掲げて見ている。
お酒をあまり飲まないオルトにとって日本酒はかなりめずらしいんだろう。
酒屋に行っておすすめの日本酒はどれですかと言ったらこれを推薦されたという。
女子に人気ということだった。
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