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会社にも変化が訪れた。
突然名波さんが会社を辞めた。
理由は釈然としない。
一応それらしい理由は聞いたのだが、本当の理由ではない気がする。
青田の気の落ち込み様は、見ていられないほどだった。
あの青田が背を丸めて座っている。
どんな声をかけても上の空だった。
そんなにも彼女に心酔していたのか。
なんとか青田を励まそうとライブにも誘ったのだけど来なかった。
青田も辞めてしまうかもしれないと思ったけど会社には来続けた。
養田さんも様子が変わった。
というより前の養田さんに戻った。
落ち着いていて穏やかな養田さんになった。
今日も青田を飲みに誘った。
今まで断わられ続けてきたけれど、それでも誘った。
今日も断わられた。
罪作りだなあ。
名波さんは居ても辞めてもこんなにも影響を与えてしまったのだなあ。
テレワークのモルトにメールして定時後落ち合った。
「青田をなんとか元気付けたいんだけどなあ。」
「名波さんかあ。俺も落ち込んでいるよ。」
そうだ。モルトも名波さん派だった。
「また新しい子が来るよ。」
「あんな子はなかなか居ないよ。」
やれやれなんで辞めたんだろう。
「結局本当の理由はわからないよな。」
「そうだな。お前なんかしたんだろ?」
僕がか。はは、ありえなさ過ぎる。
笑ってモルトを見た。
モルトは割と真剣な顔をしている。
「あり得ないって。」
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