2023.9.28 人魚の嘘
哲学の本を読み始めました。
不完全性定理というものを見て、私もそういえば以前そんなような事を考えてTwitterに即興の人魚の小話を書いたのを思い出しました。
その世界の人魚というのは「歌で人を呼び寄せ人を食べる」と恐れられているタイプの人魚という設定ですが、どういうわけか、ある一匹の人魚は船から飛び降りて自ら命を断とうとした男を救いました。
男は人魚に、「人魚は人を食べるのに、君は僕を救ったのか」と訪ねました。
人魚は、「害なすものとして人間に呼ばれる人魚である私が何を言ったところで、あなたの立場にしてみれば、なんの意味もありません」と言い、答えようとしないのでした。
人魚を害と捉える人間の立場からすれば、この人魚がたとえ「あなたを食べるつもりはない」と言ったとしても、そして「私は嘘は言っていない」と言ったとしても、なんの証明にもならず、故に彼女は声があっても声がないも同然なのでした。
「嘘は言っていない」が嘘かもしれないし、嘘ではなく正直なのだとしたら、そんな人魚は人魚の生態と合致せず生きられない。そもそもどちらなのか証明することができていない。
不完全性定理という概念を知らないまま書いていた時のものでしたから、厳密には少し違いもあるのかもしれませんが、そうか、私が考えていたことに近い概念があるのだな、と思ったのが今日の話。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます