◇17 一体何が起こった……?
ドッカァァァァァァァァァァン!!
そんなデカすぎる音がこの洞窟に響き渡った。
俺は無事だ。まぁ【全域バリア】があるから塵一つこないんだけどさ。
お姉さんは……
瓦礫と舞い上がった塵で中々見つからない。けれど、とんでもなく大きなものは見つけられた。
「逃げてっ!!」
そんなお姉さんの声が聞こえてきて。
「早くっ!!」
凄く切羽詰まったような声。
その理由は、こいつだ。
この、俺達を凝視している赤い目の持ち主。
デカすぎる図体をした、とても硬そうな鱗を持った、尻尾の長い……
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名前:シシスゴマンダー
種類:魔獣
ランク:SS
鋭い牙と爪、自由自在の鞭のような尻尾を持った竜族の魔獣である。
皮膚は甲羅のように硬く、雷系統の攻撃を放ちます。
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……マジかよ。もうご登場かよ。もうそろそろとは言ってたけど、お姉さんは。けど、壁を破壊して登場するとは微塵も思わなかった。
デカいな、マジで。しかも、なんか……
「何よ……どうしてこんなに……」
なんか、お姉さんが焦ってるな。
いつもと違うのか?
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状態:興奮中
中毒症状中
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あぁ、これか。中毒症状か。もしかして、この甘ったるい匂いか。空気中にこの匂いが充満してる。うげぇ、俺これ嫌いだわ。
「薬草はいいからッ、貴方は早く逃げてッ!!」
「えっ、お姉さんは……」
「私が引き付けるからッ! 私達をロックオンしたら逃げられない、付いてきちゃうわ。だから私が時間を稼ぐから貴方は早くギルドに行ってこの事を報告して!!」
あ、行っちゃった。
「チェシー!!」
背にあった弓を取り出し、精霊を呼び出したお姉さん。トロワみたいな人型で背に羽根が生えた妖精だ。全体的に緑だな。
『あら、シルフじゃない』
「知ってんの?」
『そりゃ私は妖精だしね。あれは中級の風の妖精よ。あの女はエルフだから風の妖精と契約してるって事』
エルフって風の魔法とか使うって事か? お姉さん弓使うみたいだし……
おぉ、お姉さんすげぇ。何か強くないか? 妖精と連携って言うの? なんか息ピッタリ。何か踊ってるみたいな動きだな。
「お姉さん強いな」
『絆の繋がりが強いんじゃねーの?』
「繋がり?」
『精霊使いはの強さは、呼び出せる精霊の強さだけではない。精霊との繋がりが強ければ強いほど力となる』
あ、久しぶりにアグスティンが喋った。今お姉さんそっちで戦ってるしな。
「じゃあ俺はトロワ達と会ったの数日前打から繋がりが弱いって事だよな」
『何を言ってるんだ、兄弟よ。我らは家族だろう。精霊使いではないではないか』
……なんか、じーんって来た。感動的な?
そっか、家族か。精霊使いって契約してるんだろ? と言っても俺らも契約してるんだけど、でもそれは俺達の仲では関係ない事だよな。うん、嬉しいかも。
『ルアン~、ここで見てるだけ?』
『な~ぁ~、アイツ美味そうだな』
「おいお前ら何言ってんだよ」
『知らないの? 竜って美味しいのよ?』
「知ってる訳ないだろ!!」
何てこと言い出すんだよお前らは。そこにアグスティンいるんだけど!? 同じようなやつがいるんだけど!? あ、でも格が違うとかそういうのがあるのか。
『あやつは火であぶった方が美味そうだ』
アグスティーン!! お前もかぁー!!
ウチの家族は全員食い意地張ってんのかぁ、大丈夫か?
けど、あんなでかいのあぶれるのか? そもそも勝てるのか? あ、アグスティンに頼んだら一発か。
でもお姉さんはアグスティンに気付いてないからなぁ。しかも、パラウェス帝国でアグスティン見られちゃってるからバレたくない。どうしたものか。
じゃあお姉さんに何とかしてもらう? って思ったけど……やっぱりアイツ鱗が硬いのか。矢が通ってないな。
どうすっかな、と思っていたその時。
『あ』
『お!』
『あ』
「え”」
俺らの場所が、暗くなった。
そう、一応明かりは光魔法でお姉さんが照らしてくれていた。けど、暗くなったのは、俺らの上に何かが覆いかぶさっていたからだ。
そして、やってしまった。
どっかぁぁぁぁぁぁん!!
俺の手には、ハンマー。そして、洞窟が広々としてしまった。
「……ホーム、ラン?」
『あーメシ!!』
『何でご飯ふっ飛ばしてるのよルアン!!』
いや、そうじゃなくて。
おい、バリス。何巨大化して開けちった穴に突進してってんだよ。絶対シシスゴマンダー取りに行ったよな。おい、今日の飯ってか。俺は嫌だかんな。てかそいつ銅調理すればいいんだよ。絶対包丁とか入らないだろ。
やばいな、これをお姉さんにどう説明……
「えっ」
「ルアンッ!! 早く我を召喚解除しろッ!!」
「え?」
「早くッ!!」
いきなりそうアグスティンに怒鳴られて、すぐに解除。やばい、アグスティンの声聞かれちゃったかな。そう思いお姉さんの方に視線を向けたら……倒れていた。その場に。
そして、この場の空気が重くなり始めて。
一体、何が起こったんだ……?
「ちょっとぉ、私の可愛い子どこに行っちゃったの?」
そんな声が、いきなりその場に響いた。
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