深まる絆、解かれていく謎。
彼らは呪いを解くという目的での旅先で互いの過去を知り様々人と出会い、問題を解決していく。果たして彼らの行きつく先とは?
【物語は】
主人公の一人、ゼロが『悪魔の呪い』にかけられるところから物語は展開されていく。このことにより、同居人でもあり仲間そして友人でもあるセキヤとヴィルトの二人と『呪いを解くため』旅へ出ることになるのである。
彼らは住んでいる街を出て目的地を目指す際、住んでいた街についての真実も知ることになるのだ。
彼らは旅先で目的を果たし、無事に呪いを解くことはできるのだろうか?
【物語の特徴】
この物語は群像劇。
もちろん主人公三人の視点からも物語は展開されるが、その場所での主要人物なども含め多角的な視点から紡がれている。
その為、主人公たちの視点からだけではわからなかったことも別の視点により明かされ、より深くこの世界や物語を楽しめることが大きな特徴の一つでもある。
たくさんの伏線が敷かれ、それが繋がった時、更に物語への理解を深めることができる。
謎となる部分が多いものの、それは物語の中で自然な成り行きによって明かされていくのである。そのことからも、自分のようにファンタジーはオリジナルの世界観を理解することが苦手という人であっても、読みやすく分かりやすい。
【この物語に含まれる要素】
この物語はジャンルがファンタジーであり、冒険譚、ヒューマンドラマであるが、ミステリー要素も含まれているので気づけば夢中でページを繰ってしまう。
読んでいるうちに感じるのは、この物語のテーマの一つには『愛のカタチ』というものがあるのではないかということ。
事実、彼らは旅先で様々な『愛のカタチ』を目にしていくことになる。
現在なろうとカクヨムで公開されており、なろうの方のタグでは『ボーイズラブ、ガールズラブ』というタグはついているものの『愛の方向性』を指し示しているに過ぎない。
異性への恋慕もあれば、それが同性へ向かうこともある。パートナーへの愛もあれば家族愛もあり、宗教的な愛もある。決して恋愛物語が描かれている物語ではないのである。
【物語の見どころ】
主人公の三人はそれぞれ問題を抱えている。そして三人とも全く性格が異なる。問題と言うものは誰しも、いつかは解決しなければならない時が来ると思う。彼らもまた旅先でその問題と向き合い、新たなる一歩を歩き出すのである。それは必ずしもハッピーエンディングになるとは限らない。その代わり、三人の絆はより深まっているように感じるだろう。
そんな彼らが旅先で出会うのは、様々な問題を抱えている人々。
感動的な展開になることもあれば、悲惨な結末になることもある。
しかし物語に触れ考えさせられることは多く、心を震わす作品であると感じた。
彼らの旅の目的は『世界各地に散らばる神官から特殊な魔力を得て、願いが叶う地へ辿り着くこと』(あらすじより一文引用)である。
しかし主人公のゼロが実の兄と再会することで、新たな問題を抱えてしまう。彼がその問題にどのように決着をつけるのか、それも見どころの一つだと思う。
【物語の方向性など】
タグにもあるように、恋愛に重点を置いた物語ではなく『愛のカタチ』を含んだヒューマンドラマである。行く先々で彼らは問題を解決していくこととなる。その解決法も様々。時には究極の選択を迫られることもあるし、危険に遭遇することもある。過去の傷に触れることもあるし、素敵な結末になることもある。
そんな彼らがどんな結末を辿るのか、ぜひその目で確かめてみませんか?
この物語の中ではたくさんの愛のカタチに出逢うことができます。
何もかもが上手くいくとは限らないけれど、きっと心に残る一冊となるでしょう。ぜひ、お手に取られてみてくださいね。
備考(なろう版では第62話まで拝読済み)