名探偵 全問正解の選択肢。
@tamago-x-gohan
第1話 『虚ろな主人』
私、
私には人には言えない秘密がある。
それは、数ある選択肢において、私が選んだ選択は必ず正解するのだ。
小学校の時からテストの選択問題が常に全問正解だったことがきっかけで、私はこの力に気づいた。
部活選び、学校選び、旅行の行き先から飲食店でのメニュー選び、さらには恋愛に至っても、私が選んだ選択は必ず最高の結果をもたらす。
職業も『教師』か『探偵』の選択肢を私は『探偵』を選んだ。今の暮らしぶりを考えると『探偵』を選んだことに間違いはないだろう。
私は80階建ての高層マンションの最上階『全問探偵事務所』の豪華絢爛な椅子に座りながら、昨日、私が解決した事件が載った新聞を読んでいた。
「先生!昨日は大活躍でしたね!究極の選択を次々と正解する推理と決断力!感動しました!」
隣でセーラー服を着た美少女がおっぱいとスカートを大袈裟に揺らしながら飛び跳ねている。
彼女の名前は解答ハズス。探偵になりたいと押しかけ、そのまま事務所に居座るとんでもない行動力を持っている。
「先生!コーヒーをどうぞ!ミルクはまだ出ないので、すいませんが市販のものを使ってくださいね!」
ハズス君は自慢の胸の間に挟んであったプラスチックの容器に入ったコーヒーミルクを取り出し、テーブルの上に置く。
胸の大きな女性は胸の谷間にいろんなものを保管しているという都市伝説は本当だったのかと感心する。
「……ありがとう」
私は照れながらコーヒーミルクを手に取る。
おっぱいが大きくなかったら、すぐに追い出していたところだぞ。……まったく。
私はハズス君を事務所に居候させる選択をした。
この選択は正しかったのか。
選択肢を間違えたことのない私だが、不安もある。
私はコーヒーにミルクを入れ、さらに砂糖を三個入れてから飲む。うむ、甘くて旨い。
私はすぐにトイレに向かうため、席を立った。
冷蔵庫に向かって人差し指を向け「犯人はお前だ!」とエア探偵ごっこをしている無邪気なハズス君を横目で見る。
彼女の無邪気な性格は「浮気だ」「自殺だ」「復讐だ」と、暗い内容が多い探偵業に、少なからず癒しをもたらす。
ピンポーン。
トイレから出るとすぐに事務所の扉のインターホンが鳴った。
さすが私。先にトイレに行く選択肢を選んだおかげで訪問者が来ても慌てることがない。
「ハズス君、依頼人だ。通しなさい」
「はい、先生」
ハズス君は短いスカートをヒラヒラさせながら玄関へ急ぐ。
今日は青と白の縞々ショーツだ。
「100点」
私はハズス君の下着に点数をつけ、ハズス君を居候させたことに間違いがなかったことを確信する。
ガチャ。
開けられた扉から入ってきたのは容姿端麗な美人妻と、それに似つかわしくない男。髪の毛ボサボサ、目も虚ろ。美人妻に手を引っ張られながら「げへげへ」叫んでいた。
「全問先生。はじめまして。私は人妻ツマミと言います。今日、お伺いしたのはこちらの私の主人のことで……」
「うへうへ!げへげへ!」
虚ろな主人は目の焦点が合っておらず、だらだらと涎も垂らしている。
「うわっ!気持ち悪ぅ!」
ハズス君が思ったことを口にする。
「数日前からこの様子で!!先生!主人を元に戻してください!!治していただけるのであれば、私はなんでもします!!」
な……なんでも!?
よしエッチなことをして貰おう。
私は決して口に出さずに心に決めた。
「なるほど。これは……」
私は人差し指を額に当てる。こうすることで、私の頭の中に選択肢が浮かび上がるのだ。
頭の中に二つの選択肢が浮かぶ。
私はこの『頭に浮かぶ選択肢』を外したことがない!これは何かの能力か。たぶん、私が神様からいただいた特別な力なのだろう!
私が選んだ選択肢は……。
A 主人に鏡を見せる。
B いきなり主人をぶん殴る。
――――――――――――――――――――――――――――――――
A 主人に鏡を見せる。 だ!!
「この鏡を見てください!」
私は主人の顔の前に鏡を掲げる。
「うわぁ!か、鏡!!やめろ!やめてくれ!」
突然、主人が暴れだす。
「あなた!?どうしたの!?先生、主人は一体……」
ツマミは暴れる主人を心配そうに見つめる。
彼女は単色のワンピースを着ているが、これがヌーディ―カラーのクリーム色!極度な露出をしていなくても肌と同化して色っぽさを醸し出す。
私の妄想の中の彼女が「なんでもとは言いましたけど……そんなことまで……あぁ~ん」と言ったところで我に返る。
いかんいかん。まずは事件を解決せねば。
「奥様……主人の症状、これはゲシュタルト崩壊に違いない。鏡に向かって「お前は誰だ?」と問い続けると、そのうち自我を亡くして壊れてしまうのです」
「そういえば、おかしくなる前、寝室の鏡が割れていました」
やはりな。
「人妻さん。ご主人の名前は?」
「ネトラレです!あなた!しっかりして!」
美人妻が暴れる主人にしがみつきながら叫ぶ。
私は暴れる主人に執拗に鏡を見せる。
「ネトラレさん!あなたはネトラレです!」
鏡の中の主人に言い聞かせる。
「うが……うがぁぁ――!!」
「ネトラレです!あなたはネトラレ!!」
「うがぁ……ね……とら……れ」
「そうです!あなたはネトラレる!!」
私は主人の目の前に人差し指を立てながら言い聞かせる。
「うわぁ――!!あぁ……わ、私は……いったい」
主人がに正気が戻った。
「あなた!わ、私……私……」
美人妻が涙を流して喜ぶ。
「解決ですな。ハズス君、ご主人を家まで送ってきなさい」
「はい先生!……あの、奥様は一緒に帰らないのですか?」
ハズス君は主人を案内し部屋を出る寸前、私の方を向き不思議そうに尋ねる。
「彼女は事後報告書やらなんやら手続きがいっぱいあるんだよ!ね……ツマミさん」
「え……ええ」
うつむくツマミ。
「ふ~ん、じゃネトラレさん行きましょう!」
「え?ツマミ?え?」
主人はハズス君に無理やり連れられて部屋を後にした。
「では、報酬を……いただいちゃおうかな!」
「は……はい」
彼女は恥ずかしそうにワンピースをたくしあげる……解決!
――――――<キュルルル……(世界が巻き戻る)>―――――――
私が選んだ選択肢は……。
B いきなり主人をぶん殴る。 だ!
バチ――ン!!
「ぎゃ!」
倒れる主人!
あまりの衝撃で主人の口から折れた歯が吐き出される。
「あなた!!探偵さん!なんてことを……」
倒れた主人に寄り添う美人人妻ツマミ。
「先生!いきなり殴って!?どうしたの?」
ハズス君が心配そうな顔をこちらへ向ける。
「あれを見ろ!」
私は主人を指差す。
「あ、あれ?俺はいったい……」
主人に正気が戻る。
「あなた!わ、私……私…」
美人妻が涙を流して喜ぶ。
私は主人の顔が少し腫れているのを見逃さなかった。
「あれは親不知が腫れて噛み合わせが悪くなり、極度のストレスから起こる歯科心身症だ!」
「さすが先生!名推理!」
ハズス君が私を大袈裟に称える。
だが、当たり前なのだ。私は頭の中に浮かんだ選択肢を外したことがない。
故に、頭の中に選択肢が浮かんだ時点で事件は解決したも同然なのだ。
「ちゃんと帰って歯を磨いてくださいね。これで解決ですな。ハズス君、ご主人を家まで送ってきなさい」
「はい先生!あの、奥様は一緒に帰らないのですか?」
ハズス君は主人を案内し部屋を出る寸前、私の方を向き不思議そうに尋ねる。
「彼女は事後報告書やらなんやら手続きがいっぱいあるんだよ!ね……ツマミさん」
「え……ええ」
「ふ~ん、じゃネトラレさん行きましょう!」
「え?つまみ?え?」
主人はハズスに無理やり連れられて部屋を後にした。
「では、報酬を……いただいちゃおうかな!」
「は……はい」
彼女は恥ずかしそうにワンピースをたくしあげる……解決!
私は選択肢を外さない。
名探偵、全問正解!
「ツマミさん。ブラジャーを外さないとせっかくの美肌が拝めませんよ……。自分で外すか私に外してもらうか選びなさい」
「……はい。私は……」
A 自分で外す。
B 外してもらう。
私は……外さない!!
「……これで、いいですか」
ツマミは自らブラジャーのホックを外した……。
「あぁ……とってもキレイだ。やはり私の選択に間違いはなかった!私は……外さない!名探偵!全問正解!」
「探偵……さ……んぅ……」
私は額に手を当て、彼女のどこをどうすれば喜ぶかを選択した。
A キスからの○○○ ⇒年齢規制により掲載不可。
B いきなり○○○ ⇒年齢制限により掲載不可。
C ○○○させてから○○ ⇒年齢制限により掲載不可。
D ○○をしながら○○ ⇒年齢制限により掲載不可。
E 一緒に○○そのまま○○⇒年齢制限により掲載不可。
F 全部○○○○から○○ ⇒年齢制限により掲載不可。
「くっ!選択肢が多くて迷うぜ!」
「探偵さん?」
私が選んだのは……これだ!
<……いい加減、次の選択肢へ進みます>
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