第3話 ダマリャーノ、スイカがみたい。
臭きも眠る、もとい草木も眠る丑三つ時。
「貴様! 何故っ、なぜ奴を消した……!」
「……まだ灯りがついていると思えば、夜更けに何を騒いでいるんですか」
起きておったか
我の名はダマリャーノ。今、Vtuberのスイカゲーム実況に夢中なの。
「メイちゃんの次はメリーさんですか」
スイカゲームとは、容器の中でランダムに出てくる果物をぶつけ合って最終的にスイカ2個を作ればクリアというパズルゲームだ。今、 Vtuber界隈で大流行り。運要素も絡んで、なかなかに完全クリアは難しいようだ。
「そんなに面白そうなゲームなら、買えばいいじゃないですか。たったの240円なんでしょ?」
「ばっか! こんなもの買ったが最後、空き時間と空いてない時間も全部突っ込んで、人生溶かすに決まっている」
「……」
「我は我を一切信用しておらぬぅ」
猫代よ。
AIロボのお前と違って、人間は脳に対する新しい刺激への反応を意識的にシャットダウンできるほど、進化していない。日本人のスマホゲーの課金額を見ればわかるだろう。
国によっては規制が入っているほど、あれには人の力では対抗できぬ強力な誘引力が働いているのだよ。お前猫やんとかいうな。
「ラオウ様みたいに言ったところで、要はスイカ作りの廃猫になるからやらないと」
触らぬ神に祟りなし、遊ばぬゲームに廃人なしだ。かつて、うっかり某ゲームで人生を変えてしまった我がいうのだから説得力が違う。
「でも結局、動画を眺めて時間を浪費してません?」
「大丈夫、ちゃんとこの駄文を打っている。自分でプレイしない利点だな」
テレビ画面では、弾け飛んだ果物が容器から飛び出てゲームオーバーになったようだ。もう一回だけチャレンジだとVtuberの美少女が叫んでいた。そのもう一回、十数回は聞いた気がする。
潮時だと思った我は、気合を入れてテレビの電源をオフにした。ふぬぅ、気合いを入れんと消せぬとは、実に恐ろしい
猫代、目が白い白い。キッチンハイターで漂白でもしたのか。
「ほら、片付けて、さっさと寝てください。……なんですか、このオーバーロード」
「今日のソッカの美術解剖学の課題が、頭蓋骨だったんだ。お手本より妙にびろーんと伸びて、アインズ様みたいになった。あの骨、面長だったんだな」
「頭蓋骨描いて、ダマリャーノが描きたい美少女とか美少女とか美少女とか描けるようになるんですか?」
美少女が多すぎる。
しかしながら、確かにこの骨に綺麗な皮をのっけたところで、ゴリラーマンのお姉ちゃんみたいになりそうだ。画力が上がった感触は、今のところ0。始めて三日なのでまだ海のものとも山のものともわからぬままである。
定点観察のため、近いうちに一度、絵を描いてみようと思う。
近況ノートに唐突に骨だの筋肉の絵を上げたら、読者離れを招きかねんからな。
ははは。シリアスからのコメディ展開でブクマと評価剥がされたの、我くらいじゃね?
な、泣いてなんかいないもんっ!
今日は、昔の少女漫画のような巨大目の場合、脳の場所を巨大眼球が占領してしまっているという解剖学的説明が面白かった。
「ほほー。つかぬことを聞きますが、初めて読んだ少女漫画は?」
「里中満智子『ピアの肖像』」
「……レジェンドのデビュー作ぅ」
「いや、我があまりにも何でも読み漁るので、母親が友人から段ボール二つ分ほど子ども向けの読み物をもらってきてくれたことがあってな。そこに、古い漫画がいっぱい入っていたんだ」
後から思えば、あれらの漫画本が元の所有者の了解をちゃんと得て手放されたものだったか、非常に怪しい。
なぜなら、我も十数年後、ハッハに同じことをやられたのだ。外出先から戻れば、ごっそりと隙間が目立つ本棚。因果は巡り本も巡る。
田舎のおばちゃんたちの倫理観はやばい。
「そういうわけで、ウルトラ大百科となかよし系少女漫画とリングにかけろで、漫画遍歴が始まったわけだ。当時、家にあったのは、分厚い特撮本とドラえもんだけだったからな」
「妙な偏りが見えないでもないですが、雑食に育つべくして育ったわけですね」
ギャラクティカ⭐︎マグナムを撃ちながら、天上の虹を読んでいた謎生物ダマリャーノの濫読は続く……。
肩が激痛なので、本日フィットボクシングはお休み。
Au revoir!
0Cal
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こんなオチもない駄文が18位だと……gkbl。
ありがとうございます。
次回、ダマリャーノ、聖闘士星矢以前の車田正美について語る!(大嘘)
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