第34話 弟と妹と 北の大地にて ③
「はぁ〜っ?……………………結婚?誰がっ!」
「……………………私よ……………………」
「っ、誰とっ!?」
「……………………『お見合い』で、知り合った人よ?」
「……………………聞いてねえぞっ!」
「……………………言ってないからね。全く連絡もくれないくせに、何を言ってるんだか!イレギュラーな事情が有ってね。先方の家族と、顔合わせをしたいのよ。明日、帰ってこれるかな?」
母が、とんでもない連絡をしてきた。
父が亡くなってから、十年余り。
俺が北の大地へと渡ってから全く帰省していないとはいえ、正しく寝耳に水。
しかし、ここで気付けば良かったんだが、『母さんがお見合いした』とは言わなかった事に。イレギュラーな事情と言った事に。
「………………………………ごめん、交通費の持ち合わせが無いんだ。」
歩海に贈る予定の指輪の予算確保のために、節約生活を始めたばかりだからな。
進学時に母と喧嘩別れして旅立ったせいもあって、仕送りを断って奨学金と言う名の莫大な借金と給付金と家庭教師のアルバイトで全てを賄ってきていたから、余分な金など全く無いから。
無事に卒業したとしても、研修があるから帰るつもりも全く無かったし。
「……………………頼むから!由紀の結婚も決まりそうなのよ。チケット取って送信するから。」
「へえ、俊兄貴と、やっとか〜?」
「いえ、俊君とは彼の不貞行為で破談になったのよ。」
「……………………あいつ………………ぶち殺してやるっ!母さん、チケット取って今すぐ送信してっ!」
「……………………もう、その必要は無いのよ?社会的に抹殺したから。」
※※※※※※※※※※
「はぁ〜っ?……………………結婚?誰がっ!」
「……………………私だ……………………」
「っ、誰とっ!?」
「……………………『お見合い』で、知り合った人だ?」
「……………………聞いてないわよっ!」
「……………………言ってないからな。全く連絡もくれないくせに何を言ってるんだか!イレギュラーな事情が有ってな。先方の家族と、顔合わせをしたいんだ。明日、帰って来てくれないか?」
父が、とんでもない連絡をしてきた。
母が亡くなってから、十年余り。
私が北の大地へと渡ってから全く帰省していないとはいえ、正しく寝耳に水。
しかし、ここで気付けば良かったのよね、『父さんがお見合いした』とは言わなかった事に。イレギュラーな事情と言った事に。
「………………………………ごめん、交通費の持ち合わせが無いのよ。」
真樹に贈る予定のプレゼントの予算確保のために、節約生活を始めたばかりだからね。
進学時に母と喧嘩別れして旅立ったせいもあって、仕送りを断って奨学金と言う名の莫大な借金と給付金と塾講師のアルバイトで全てを賄ってきていたから、余分なお金など全く無いから。
無事に卒業したとしても、研修があるから帰るつもりも全く無かったし。
「……………………お願いだ!聡一郎の結婚も決まりそうなんだ。チケット取って送信するから。」
「へえ、早耶姉と、やっとか〜?」
「いや、早耶さんとは彼女の不貞行為で破談になったんだ。」
「……………………あのアマっ………………ぶち殺してやるっ!父さん、チケット取って今すぐ送信してっ!」
「……………………もう、その必要は無いんだ?社会的に抹殺したからな。」
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