第8話 天敵? ①
「と、言う訳で、今日も新電波塔タウンのモールに来ておりますっ!」
「……………………誰に向かって実況しているのかな?」
「…………………………つい、ノリで?」
「……………………まあ、いいわ、じゃ、それらしいデートコースと相応しいコーディネートをご指導願います。」
「まあ、最初は定番の水族館だな!」
「まぁ順当だわな。」
朝イチに砥部から突然呼び出されたと思ったら、『お見合い』だと!
まあ、コイツには恋愛結婚よりもお見合い結婚の方が幸せになれそうだから良いのかもしれないな。
また、『変な女』に引っ掛からないとも限らんしな。
「年パス、持ってるんだよな?」
「今も持ち歩いてるよ、ほらっ!」
顔写真付きのパス。
コイツは、『そういうヤツ』なんだよな。
「水族館入ったら、自分が興味有る水槽だけ見て回るんじゃ無いぞ?」
「なんで、知ってるんだよ!」
「中坊の時に、お前に紹介してデートさせた娘からの苦情を俺が貰ったのを忘れたとは言わせないぞ?」
「……………………あの時は、悪かったよ。」
「わかれば、よろしい……………………っ」
「ん?どうした?」
水族館入口前のイベント広場。
反対側のモール入口に、見つけてしまった。
無視しようとしたが、視線が、合ってしまった。
…………………………………………奴だ。
軍用レーザー光線並みの、強力な、視線。
昨日の、ビッチっぽい派手目なギャル系女子だ!
この距離から、視線が外せないだとっ!
先に逸らしたら、背後から殺られるっ!
視線を切ることが、出来ないっ!
「……………………おい、どうしたっ!」
「……………………なんでもない、行くぞっ。」
呼ばれて一瞬視線を切ると、ビッチっぽい派手目なギャル系女子は、もう見えなくなっていた。
動悸が、冷や汗が、止まらないっ!
殺されるかと、本気で、思わされた。
天敵を、見つけてしまったようだ。
「どうした?汗が、酷いぞ?」
「……………………っ何でもないっ!」
「……………………少し、休もう。」
「……………………あぁ、悪いな?」
座って、砥部が買ってきてくれたコーヒーを啜ったら、少し落ち着いてきた。
「ありがとう。ところで、お見合いの後でもいいから、『ユーちゃん』に会わなくていいのか?」
「……………………何だよ、いきなりっ?」
こいつのデビュー作のキャラ原案は俺が出したものだから、俺も初期の頃にはチャットルームに入っていたから今でも見ることは出来るんだよな。
「チャットルーム見たぞ。今彼女もフリーみたいだな。好きなんだろう?『ユーちゃん』を。」
「……………………わからないんだ。会ったこともないし、トークルームで会話して声を聞いたのも初期の頃に一度だけだしな。」
「だったら、お見合いの後でもいいから、一度は?」
「ん、考えくとくよ。今は、お見合い相手に失礼だからな。後でな。」
「……………………それで、後悔しないようになっ!」
「ん、アリガト。」
昨日までの二人のチャットと『ラーちゃん』の反応を見ただけでも、両思いにしか感じられないんだけどな。
まあ、『ラーちゃん』は、相変わらず俺は気に入らないけどな!チャットルームで会話しただけでも、相性が、悪すぎる!
「そうだ、関谷と早耶に昨日内容証明送ったから、何か言ってきても無視してくれ。弁護士通すように指定してあるから。
接触してきたら、通話は録音、直接来たらこのレコーダーで録音しておいてくれ。」
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