第96話

 次の日。クーリアがベットの上で目を覚ますと……


「……なにこの状況」


 思わずクーリアがそう呟く。

 昨夜用意された部屋は男子と無論別だったのだが、大きめのベット一つだけだったので、女子3人で並んで寝ていた。…のだが、起きると何故か両脇からクーリアは抱き抱えられていたのだ。


「……まぁ、いいか」


 サラとリーフィア、2人の寝顔を見て、クーリアが小さく微笑む。その笑みはまるで、愛しい我が子を想う母親のようであった。




「うぅん…ぁ…おふぁよう、くー…」


 クーリアが起きてから少し経って。先に目を覚ましたのはサラのほうだった。


「おはよう」

「……あ。その…ごめん」


 寝ぼけた意識が覚醒したのか、現状を理解し謝りだすサラ。


「別にいいよ。寝顔見れたし」

「…何かした?」

「何もしてないよ。見てただけ」


 …少し頬を摘んだのは内緒だ。


「ふわぁ……ぁ、おはよう…おねぇちゃん」

「おはよう、お寝坊さん」

「……え、今何時!?」


 ガバッ!とリーフィアが飛び起きる。


「ふふっ。別に大丈夫だよ」

「もうっ!はぁ…ビックリしたよ…」


 からかわれていたことに気付き、リーフィアがほっと胸をなで下ろした。


「寝苦しくなかった?」

「大丈夫だよ。別に」

「え、お姉ちゃん何かあったの?」


 サラは起きてすぐ抱きついていたことに気付き謝ってきたが、リーフィアはいきなり飛び起きたので、寝ている間にクーリアに抱きついていたことには気付かなかったようだ。

 クーリアから朝の状況を伝えられ、リーフィアが思わずベットの上に土下座する。


「ごめんなさい…」

「そこまでしなくても……別に気にしてないってば。それより早くしないと本当に遅れるよ」

「そうね。ちゃっちゃと準備しちゃいましょう」

「…うん」


 準備が終わり部屋を出ると、もう既に男子2人は起きて待っていた。


「ごめん、待った?」

「いや、さっきだ。じゃあいくか」

「ええ」


 この村では食事を皆で食べるそうで、それは朝食も例外ではない。なのでその集合場所へと向かう。


「おはようございます」

「おお。おはようございます。よく眠れましたか?」

「はい。とても」

「それは良かった。もう朝食の用意は出来ています。どうぞ席で待っていてください」

「何か手伝いはありますか?」

「そうですな……では、配膳を手伝ってくれますか?」

「分かりました」


 そこまで運ぶ数は多くないので、クーリア達だけで全ての配膳を終えることが出来た。

 その後全員で祈りを捧げてから食事に手をつける。


「今日はどうするんだ?もう帰るか?」

「ちょっと村を見てからでもいいんじゃないかなぁって」

「いいんじゃないかしら。わたしはその間村の周りでも見回りでもしておくわ」


 ナターシャとしては大して村に、というより村の特産の織物に興味は無いので、村の周りの見回りをして時間を潰すようだ。


「じゃあそれで決まり。ヴィクター達はどうするの?多分一緒に居てもつまらないわよ?」

「…なら、ナターシャさん。一緒に行ってもいいですか?」

「いいわよ。でも無理はしないでね」

「分かってます」

「ボクもそっちかなぁー。興味はちょっとあるけど、男1人だけっていうのもあれだし」

「ふふっ。確かにそうね」


 大まかな今日の予定を決めたところで食事を食べ終えた。


「じゃあまた」

「おう。昼な」


 昼食も集まることになるので、別行動は昼前までが1番丁度いいタイムリミットだろう。


「さて。じゃあ行きましょう」

「はいっ!」

「………うん」


 乗り気でないクーリアの手をサラが引っ張り、村の中を進んで行った。


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