第64話※

 クーから無属性の魔法書と手紙を受け取ったちょうどその時、担任のマンセル先生が入ってきた。


「よし。ちゃんと全員いるな」


 帳簿をみて確認しつつ、最後にクーへと目線を向けたような……なんだかんだ言って、マンセル先生もちゃんと心配していたのね。まぁ、教師なら当然なのかな。


 その後いつものように授業をした。したんだけど……授業中のクーの様子は、いつも通りだった。

 いつも通りっていうのは、寝てたってことね。

 そして、いつものようにマンセル先生に怒鳴られていた。


「また寝てんのかぁ!」

「だから寝てませんよ……くぅ」

「寝言かァァァ!!」


 もうここまでくると呆れを通り越して感心するわよ、クー……。


「ほら、クー。起きなさい」

「んふぅ……えへへ」

「「「っ!?」」」


 クーが何を考えたのか、だらしない笑みを浮かべる。その顔を見て、クラスの何人かは息を飲んでいた。まったく……無防備にも程があるわ…。


「クーリアァァァ!これ解けぇぇ!」


 ……なんかもうヤケになってない?でも指さした問題はまだ習ってないし、ましてやクーは寝て「13…」……


「……正解だァァァ!くそぉぉぉ!!」


 ちょっとちょっと!最後本音が漏れちゃってますけど?

 ……というかなんでクー解けちゃうのかしら。もしかして起きてる……?


「くぅ…」


 じーー。


「くぅ…」


 じーー。


「く…ぅ」


 ……やっぱり起きてるっ!


「(クー、どういうつもり?)」

「(……だって寝てれば全部寝言だと思ってくれるし)」


 ………それなら正解しないほうがいいと思うけどね。

 でも案外クーの思惑通り?に、みんなはたまたまだと思ってくれてるみたい。普通に考えればおかしいって気付くと思うんだけどねぇ……まぁ、いいか。


 で、座学の後、いつものように実技へ。


「せんせー」

「……はぁ」


 ちょっと先生?いきなりため息はどうかと思いますよ?


「……ほんとに帰って来れるか」

「馬鹿にしてますか。迷子になんてなりませんよ」

「そこじゃねぇ!?」

「まぁまぁ。先生、わたしもいきますから」

「なに?……まぁ、サラなら大丈夫か。クーリアのこと、頼んだぞ」

「任せてください」

「……わたしそんなに信用がない?」


 最後にクーがそんなことを呟いたけど……自分の行動をちゃんと見つめ直しなさい。そうすれば分かるわ。

 ………もっとも、それすらもクーの演技かもしれないという疑惑はあるけどね。


「ちがうよー、それは」


 ………どうやら素らしい。それはそれでどうかとおもうわよ?

 とりあえずわたしは、クーとともに教室を後にして、図書館へと向かった。







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