第13話
職員室を後にして、クーリアは帰路に着いていた。
「うぅ…図書館に行けないなんて…」
クーリアはそう言うが、ただ単に時間通りに戻ってこればいいだけの話なのだ。
「2時間なんて短過ぎるよぅ…」
だが、時間通りではクーリアは納得できないのである。なぜなら、学園がだだっ広い為に、図書館へ行って帰ってくるにも時間がかかるため、実質本を読める時間は2時間もないからである。
「裏技あるけど、あんまり使いたくないしなぁ……」
その裏技というのが、今日使ったものだ。
いきなりナイジェルの後ろへと現れたのにはしっかりとしたタネがあった。
「絶対大事になるし……」
クーリアが行った裏技。それは……
──長距離転移だ。
転移は無属性の魔法だ。そして一般的に知られている転移は、自分の目が届く範囲にしか転移ができないものだ。だが、クーリアが行った長距離転移は、目が届かない範囲でも転移が可能なものなのだ。
そもそも長距離転移は、昔から存在していた魔法だ。その当時は、長距離転移と短距離転移の2つが使われていた。だが、次第に長距離転移は衰退し、短距離転移が現代の転移と呼ばれる魔法になった。
衰退した原因は定かではないが、長距離転移の方法が載った文献は残っている。しかし、今まで誰もが復活させることが出来なかった。
それをクーリアは復活させてしまったのだ。
では何故クーリアは長距離転移の方法が分かったのか?
「だって本はあったし…」
そう。本はあったのだ。
そもそも長距離転移は最早夢物語となっており、魔法書から絵本に至るまで、かなりの本が出回っていた。そのため、方法が載った本を手に入れるのは、誰であれ容易であったのだ。そしてそのひとつをクーリアが手に入れ、成功させてしまったということだ。
しかし、クーリアにも何故自分が出来たのかは理解出来ていない。ただ感覚として出来てしまったのだ。それが簡単に使えない理由でもあった。出来た理由がハッキリしないまま魔法を行使すれば、最悪暴発する可能性があるからだ。
「うーん…また研究してみよう」
今後の研究対象が決まり、クーリアは少し機嫌が直った。最近研究することが無くなっていたからである。
「…あ!早く帰らないと」
今になってクーリアは朝の会話を思い出し、急いで家へと帰っていった。
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