第7話
気にしていない2つ目の理由が、貴族だ。
貴族は幼いときから英才教育を受けることになる。それはつまり、学園でも高いクラスに編入されるということだ。
クーリアは、自分が白というだけで虐められる結果になるのが目に見えていた。
…それ以前に、面倒だからという理由があるが。
高いクラスになれば、その分勉強は厳しくなる。そうなれば必然的に心休まる時が無くなってしまう。
それがクーリアには耐えられなかったのだ。
(ホント私に難癖つけてくれた先生に感謝だわ。)
そんな普通なら有り得ない感謝を心の中で述べながら、クーリアはサラと共に教室へと向かっていった。
このコルメリヤ学園はとんでもなくでかい。さすが王都随一の学園である。
詳しく言うと、食堂や図書館、体育館、運動場にいたるまで、全て2つ学園内に設けられてある。
その理由が、この学園が北棟と南棟に分かれていることにある。
北棟にはA~Cクラスの教室が。
南棟にはD~Gクラスの教室がある。
…つまりはそういう事だ。食堂のメニューも、図書館の蔵書数も、体育館や運動場の広さも、北棟にあるもののほうが優遇されているのだ。
まぁ気持ちは分からんでもない。高いクラスには高い身分が集まりやすい。それなりの設備が必要なのだ。それに、それを見て下のクラスが躍起になってくれればという、淡い期待もあるのだろう。
北棟と南棟では、大きさは変わらないが、設備が大きく異なるのだ。
クーリアとサラはそんな北棟には見向きもせず南棟へと入っていった。
そしてその更に奥にあるGクラスの教室へと足を運ぶ。
ガラガラと教室の扉を開けると、ザワザワと騒がしい教室が一瞬静まり、またもとの騒がしさへと戻っていった。
そんなことを気にも止めず、クーリアとサラはいつもの席へと向かった。
「よう。おはよう」
「おはよー」
すると先客が挨拶してきた。
先に挨拶したのは、ヴィクター・ルミナス。この男も、クーリアの初等部からの友人だ。
次に挨拶したのが、イルミーナ・ランペル。女の子のような喋り方と名前だが、れっきとした男である。彼もまた、クーリアの初等部からの友人だ。
「おはよう」
「おはよう…で、なんでイルミーナが私の席にいるのよ」
さもいるのが当然と言ったふうにサラの席に座っていたイルミーナは、そう言われて少し悲しそうな顔をした。
「そんな…ボクがいちゃだめなの?」
上目遣いで言ってくるが、サラ達3人は、この対応がふざけて遊んでいるだけだということをよく知っている。
「はいはい。どいてねー」
そのためサラに容赦はない。どいてねーと言いながら押しのけていく。
「分かったからおさないで!」
椅子から落ちそうになったところで、やっとイルミーナが立ち上がった。
「ほらほら。席につけー。授業を始めるぞー」
いつの間にやら入ってきていた担任の先生の言葉で、今さっきまで喋っていた人達はあっという間に自分の席へと着いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます