龍人島
しぎょく
第1話
山奥にまるで人目を避けるようにひっそりと建っている大きなビル。
既に廃墟となり『立ち入り禁止』と大きな字で書かれた札がビルを囲むように幾つも立っていた。
このビルは廃墟になる前はとても有名な大手会社の本拠ビルだったらしい。
どうしてそんなビルが壊される事もなく廃墟となったのかというのは、とんでもない理由があった。
今から十数年前、まだこのビルが廃墟となる前のことだった。
元々、山奥にビルが建てられたのは、ビルのオーナーでもある山の地主が、山を切り開いてこの場所をビル街にしようとし、このビルをこれから建てられるであろう他のビルの起点となるようにと建てたらしい。
そして、ビルに入る企業が決まり、次のビル建設の話も上がり、順調だと思っていた矢先、突然原因不明の爆発事故が起こった。
不運にも、爆発が起きた日、以前の仕事場から新しい仕事場に拠点を移したばかりで、多くの人がこのビルにいた。
結果は言うまでもなく、この時ビルにいた人達は誰一人助からなかったという。
こんな事故が起きたため、次のビル建設の話は一時中断となり、事故が起きたビルも、死者の魂を鎮めるためだとか言って、供養をするため、ビルを壊さずにいたらしいが、頃合を見て、建て直しの計画が上がり、供養しながらビルを建て直すためにビルを壊そうとしたらしい。
ところが、不思議なことにビルを壊そうとしても壊す事が出来なかったという。
いくらビルを壊そうとしてもビルに傷一つつけることも出来ず、ビルの建築に関わったものは原因不明の人体発火現象がおきて、皆焼け死んでしまったという。
そんな事故が何度も繰り返し起こったため、「死者の呪いだ」とか何だとか言われ、誰からも恐れられるようになり、ビルは壊される事もなく廃墟となってしまったらしい。
そしていつしかこのビルは心霊マニアの中では爆発ビルと名付けられ、有名なホームページのブログにも取り上げられ、有名な心霊スポットとなってしまった今、新たな問題が発生したらしい。
その新たな問題とは、ホームページを見てこのビルに肝試しにやって来た人たちが、たびたび帰ってこず、数日後、ビルの外に焼死体として発見されるという事件がいくつもあり、いつまでもこのままビルを放置しておけないという事で、数週間前、ビルのオーナーがどうにかして欲しいと依頼をしてきた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます