ぼっちを貫く陰キャ高校生もとい最強の冒険者が同じクラスの大人気の美少女配信者を助けた結果、超絶バズってしまう

リヒト

史上最強の冒険者

「はぁ……はぁ……はぁ……」

 

 硬い石畳の床を叩く音が狭い道の中に響く。


「……んっ、はぁ……はぁ……」

 

 青く光り輝く瞳を焦りの色に染め上げる可愛らしい一人の少女が金髪ツインテールをなびかせながら

 そんな彼女を一つの高性能小型カメラが自動追従して追いかけていく。


「ぶもぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」


 そんな少女とカメラのすぐ後ろに。

 狭い石畳の道いっぱいに体を広げる一体の怪物が少女を追いかけていた。

 一体の怪物。

 巨大な巨躯を持ち、白い美しい毛並みに立派な二本の角を持つ雄牛がどんどんと少女との距離を詰めていく。


コメント

・逃げてぇー!!!

・やばい、やばい、マジでヤバい!!!

・誰か助けられないの!?

・これはもう終わったwディスターカウは無理すぎw

・マジで逃げて!!!


 少女の前に表示されている半透明のディスプレイに表示されているコメント欄ではコメントが爆速で動き、阿鼻叫喚の地獄とかしていた。


「はぁ……はぁ……はぁ……もう、む、りぃ」

 

 ずっと全力疾走していた少女の体力は既に限界であり、そんな中でも未だに少女は白い雄牛を撒くどころか徐々に距離を詰められていた。


「はい、どっきゅーん!」

 

 絶体絶命。

 まさにどうしようもない状況であった中、一人の少年の声が響くと共に何かが倒れる音が響き渡る。


「……へ?」


 自分のすぐ後ろを追いかけてきた白い雄牛が倒れたという事実を前に少女は困惑の声をあげると共に振り返り、そのまま自分の命が助かったという事実から腰が抜けて座り込む。


「流石は僕、魔石をワンショット……あぁ、魔石落としてくれたら壊さないものを。うぅ、金が欲しい」

 

 ゆっくりと体を倒した一体の白い雄牛はそのままいくつもの光の粒子となってその姿を消す。

 そして、消えゆく白い雄牛の後ろから一人の少年が。

 

 フード付きの黒いローブに身を包み、どこか泣いているような模様が描かれた仮面で顔を隠し、黄金の装飾が施された少女が初めて見るタイプの電気銃を構えて一人の少年がそこに立っていた。


「……って、ひ、人!?な、なんでこんなところに人がいるの!?」

 

 座り込む少女が少年の姿を捉えると同じくして少年も少女の姿を捉えたようで、少女の姿を見た少年が動揺の声を上げる。


「……いっ」


「と、と、とぉ……?だ、大丈夫?怪我していない?痛いところあったら治すよ?」

 

 急にあたふたとしだしたその少年は動揺しながらも地面に尻もちをつく少女へと手を伸ばすのだった。

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