第2話

【SIDE神上凛斗】

(何がどうなっているんだ?突然現れた怪物が他の大きい怪物にやられてる?)


その時はちょうどオークによってゴブリンが蹂躙されていた。そして教室はパニックなった。当然凜斗も冷静ではなかった。しかし他の同級生よりかはまだいくらか冷静だった。


(そうだ晶に相談しよう。ボクよりも晶のほうが冷静だし。)


凜斗は教室を見回すもそこに晶は居なかった。


「え?」


その瞬間凜斗の頭に嫌な想像が浮かんできた。


(いや、あるわけないか。トイレかもしれないし。いや、でも...もしかしたら...ちょっと見に行くだけ。ちょっとだけだから...)


しかし彼のその行動は実行されることはなかった。それは再度脳に声が響いてきたからだ。


<あ、あ~みんな聞こえてる〜?どうも再度登場の神だよ。あんまりゲームの説明してなかったからしようかな〜って思って今みんなに話しかけてるよ。えーっとまず君たちはこのままでは死にます。みんなは敵対生命体が見えるかな?あー見えないいるみたい。あ~視力が無いのね了解。後で障害者全員治しとくね。>


神は脳内に映像を送りつけて来た。


<それを倒してこのゲームの参加者にならないとこのゲームにおいてその人の存在が認められません。そしてこのゲームはこの地球が変容してつくられたものなので敵性生命体を倒さなければこの地球からの存在を認められません。なので死にます。ん〜説明書ってこんなに堅い文章なんだ。ちなみにこのゲームの必須参加者はその惑星の支配者になるんだって。つまり現在この惑星の支配者である人間は敵性生命体を倒さなければ死ぬけどほかの動植物は生き残るらしいよ。んで次は君たちが何をすべきかこれは何をしてくれてもいいよ。ただ君たちは怪物によってインフラやネット環境を破壊されるから生きる難易度はかなり上がるんじゃないかな?まっしばらくは大丈夫だと思うけど。そして敵性生命体は3日後には君たちを襲い始めるよ。まぁ外敵の除去つまり敵性生命体の排除から始めたほうがいいとは思うよ。ゲームの参加方法は敵性生命体を倒すこと。襲ってこない3日間なら逃げられると思うよ〜。3日を過ぎたらわかんないけど。まぁそれくらいかな?じゃあ各々準備をしてね?できるだけ多くの人が生き残ればいいなぁと思ってるから。それじゃあ頑張って生き残ってね地球の支配者達よ>


神からの言葉はこれで終わった。


「なにもしなけりゃ死ぬってどういうことだよ!もっとなんとか言えよ!」


1人がそう言うと周りも同調して文句を言い始めた。


「勝手にゲームに参加させておいて死ぬってあんまりじゃない!」

「そうだそうだ!いくら神だからといってこんな横暴が許されていいわけがない!」

「...フッフッフッハッハッハ遂に封印されし我が力を解き放つときがきたか!」


...ごく少数だがそうでもない奴がいるようだが。冷静さを欠いているという点では同じだろう。その中で1名冷静な人物がいた。それは神上凜斗だ。


(また頭に声が響いてきた。こんなことができる存在がいるなんて信じられない。でもこれができるってことはやっぱり神なのだろうか。...それは今考えることじゃないか。いま起こったことを挙げようか。

1.突然声が脳に響きゲームが始まった

2.おそらくゴブリンがオークに倒された

3.晶がいなくなっていた

4.再び脳に声が響きルールの説明をされた

まあこれくらいか。もうなにがなんだかわからない。でもとりあえずなにもしなければ死ぬんだ。まずゲームの参加者になろう。敵性生命体を倒せばよかったんだよね。みんな混乱してるしこの中ではたぶん僕が1番冷静だし僕が仕切ったほうがいいのかな?...よし僕が仕切ろう。そしていつか晶を探しだす!)


「みんな!聞いてくれ!なにもしなければ僕達は死んでしまうらしい!だったらこのゲームの参加者になったほうがいいと思う!これからみんなで逃げて強固な防壁を作ろう。できるだけ水辺に行こう!」


「そうだななにもしなけりゃ死ぬんだ」

「そうね。だって凜斗君が言うんだもの」

「確かに」


しかし集団で生活していると必ずしもみんなが同じ方向を向いて行動することは難しいものだ。


「神って奴は死ぬって言ってたけどほんとに死ぬのかよ?どうせヤラセだよヤラセw仮に死ぬとして本当にいまあの化け物達が無抵抗なのかよ?見なかったのか?二頭の豚頭の怪物が他の怪物を殺しまくってる姿を。あんなの見たら本当に安全なのか怪しいぜ。そうやって俺を唆そうとしたってそうはいかないぜ。もしかしてお前あの自称神ってやつの回し者なじゃねーのw」


1人がそう言うとその流れは少し波紋しそれに同調する者も現れた。


「そうだそうだ死ぬわけないだろー」

「あの神って奴の回し者なんだろー」

「生き物の命を奪うとか最低な行為だと思わないのかー」


(やっぱり集団で生活する以上反発は避けられないか。でもこれでクラスメイトが死んでしまったらどうする?ダメだ1人でも多くの人に生き残ってほしい)


「僕はあの超常現象を起こせる存在を全面的に信じることにした。だってあんなことができる存在だぞ僕達を殺すことなんて簡単にできると思うんだ。だから最初から殺す気なら殺せると思うんだ。だから余計にあの声に従ったほうがいいと思う」


「あっそ」


彼は仲間を集めこの窮地を脱そうとしていた。


【SIDE???】

晶のいなくなった白い空間では神が独り言を言っていた。


「は〜やっと討伐対象を転移できたぁ。まじで敵対しすぎだろ。もしかして馬鹿なのかなぁ?まぁいいか討伐対象にはなったし、能力も付与できたし問題はないよね。それにしても傑作だったなぁあいつ。あんなに好戦的で噛みついてきたのにすこし威圧したら顔が蒼白くなって冷や汗もダラダラそんでもってガタガタ震えちゃってほんと面白かったなぁ。うーんそいつの様子でも見るか」


神は空間に映像を映し出した。


「あちゃー気を失ってる。脳や身体のダメージからして起きるのは...あーまぁそれくらいはかかるか。そうだこの期間を使って何かできないかなぁ。あっ!これをこうしよう。これならいい感じじゃないかな。さてさて人類を見てみようじゃないか」


神は先ほどと同様に新たな映像を映し出した。


「へぇ〜」


神から出た声はどこか感心を含むものだった。


「うん神上凛斗がリーダーになると思ってたけど思ったより統率が取れてるこれは期待できそうだ」


神は喜色を多分に含んだ声でそういうのだった。

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