夜明けのグットバイ

海翔

第1話

 7月の下旬に高校時代のクラスメートから盆の15日にクラス会を行うので参加してくださいとメールが来た。

祐人は高校を卒業してもう5年目になり、初めてのクラス会だった。

その間に大学を卒業して去年、都内の銀行に就職をして5年ぶりにみんなに会えるのが楽しみだった。

 特に奈々絵は祐人の初めての女性だっただけに気になっていた。

高校を卒業して会うこともなく過ごしていただけに、、、


 そして、クラス会の日を迎えた。

その日は昼頃に館山の駅に着き、夕方までは町を探索をして会場のあら磯に向かった。

入り口を抜けて会場に入ったら、クラスメートの半分位の人が来ていて奥にいた正行がこっちへと誘ってきた。

 正行は「元気だったか?」と言われ「まあまあだよ」と答えた。

お互いに近況を話しているうちに、入り口が騒がしくなったのでそちらを見たら、美人3人が入って来た。

岸まどか、浅見涼子、そして、野原奈々絵だった。

久しぶりに会う3人は高校時代よりも遥かにきれいになっていた。

奈々絵は祐人を見つけて小さく会釈をした。

祐人はそれに合わせて軽く手をあげた。みんなが集まった頃に乾杯をして、お互いの近況を話した。

 親友の正行は実家の木材屋に就職して父親の仕事を手伝っていて、結構繁盛していた。

修一郎は製薬会社に勤めていた。まどかは地元の役所に勤め、涼子は都内の化粧品会社に勤めていた。

奈々絵は去年、大学を出てから親の勧めで見合いをしていた。

現在は都内に住んでいるとのことだった。

 祐人に取ってはビックリすることだった。5年と言う短い間にいろいろと変化していくことに驚かされた。そして、みんな自分の道を見つけていた。

特に奈々絵とは、高校1年の時の同じクラスの隣に座って居たことがきっかけで3年間付き合った。

そして、高校を卒業して祐人は都内の大学に、奈々絵は千葉の大学に入った。

 その高校最後の日に奈々絵は祐人に処女をあげる約束をして、

卒業式を終えたその日の夜に奈々絵は祐人の部屋に遊びに来た。

祐人の勉強部屋は母屋から少し離れた所に建ててあり、

元々は工具などを置いてあったが、受験を前にしていたので、親が2階に勉強部屋を作ってくれてそこで勉強していた。

まさに一人部屋だった。

 部屋の中にはベッドとトイレとシャワールームが付いていて過ごしやすいところで、そこに奈々絵が入ってきた。

祐人は何も言わずに奈々絵を抱きしめて口づけをした。

二人は夕食を済ませてここに来た、ひとまず、奈々絵は「シャワーを貸してください」と祐人に言った。

祐人がバスタオルを渡したら、奈々絵は浴室に入った。

10分もしてバスタオルを巻いて出てきたので、入れ替わりに祐人が入った。

そして、ボディーシャンプーで体を流して腰にバスタオルを巻いて出てきた。

 二人はバスタオルを取ってベッドに横になった。お互い初めて見る裸だった。

3年間付き合って初めてのことだけに心臓がドキドキした。

奈々絵も恥ずかしさのあまりに顔が赤くなっていった。

祐人は奈々絵を抱きしめて、口づけをした。胸がふれあい奈々絵の温かさが感じた。

 しかし、奈々絵は今までに感じたことのない経験で困惑して泣いてしまった。

祐人はこれ以上は続けることが難しくなり、諦めることにした。

奈々絵は泣きじゃくりながら「ごめんねごめんね」と謝っていた。

 それ以来、お互いの関係がぎくしゃくして会うこともなく、祐人は東京に向い、

奈々絵とはそれ以来会っていなかったが、今回このクラス会で5年ぶりに奈々絵に再会をした。

クラス会が1時間過ぎた頃に祐人は奈々絵の隣に座った。

奈々絵は何も言わず、手で握った小さな紙を祐人に渡してから、みんなに「皆さん今日はどうもありがとうございました」

「これから実家に帰るのでお先に失礼します」と言って席を後にした。

みんなも「また会いましょう」といって別れを惜しんだ。

 祐人はそのままトイレに行き、渡された紙を見たら、今日はシティホテル月の夜の305号室にいます。

いつまでも待っています。と電話番号と一緒に書いてあった。

 クラス会はこれから1時間続いてお開きになった。

祐人は奈々絵に電話してこれからそちらに行くことを伝えた。

 車を使い20分後にそのホテルに着き、ノックをしたら奈々絵がバスローブを着て出迎えてくれた。

「先程は何も話せなくてごめんなさい」

「奈々絵、元気でいたのか?」

「気になっていたよ」

奈々絵は「見合いをしたけど、どうしても私の青春に悔いが残り、祐人のことが気になっていたの」

「祐人お願いあの時の続きをして青春に終止符を打ちたいの、、、、」それを聞いて祐人は躊躇した。

「奈々絵はもう見合いをしているんだろ」そう話したが、

奈々絵は「この事は一生誰にも話さないし、墓場まで持っていくの。だからお願い、私の青春に終止符を打たせてください」

そこまで言われ、祐人はやむなく妥協をした。

取り敢えず祐人は浴室にシャワーを浴びに行った。

 シャワーを浴び、バスタオルで拭いて、腰にバスタオルを巻いて出てきた。奈々絵は椅子に座って待っていた。

奈々絵はあの時の初々しさから比べ5年の月日は色気を増してより美しくなって現れた。

 そして、祐人もバスタオルを取ってベッドに横になった。

奈々絵に口づけをしていくとあのときに比べ、より柔らかさを増してきて、感じ方も鋭くなってきた。

5年の月日が奈々絵にここまでもSEXに対して大胆に慣れたことにビックリした。

 奈々絵は祐人に「私の青春にピリオドを打ってください」そういって、祐人を向かい入れた。

過ぎ去った日が時を超えて、今それを成しえた。

 二人は静かな時間をすごした。

祐人はあの時、奈々絵に「辛い思いをさせてごめんね」

奈々絵はそれを聞いて「とんでもないです、約束を守れずごめんなさい」

「今思えば、あの時は恐怖心が頭から離れず、怖さだけが頭をよぎったの余りにも幼すぎたのですね」

「あの時に祐人に処女を上げたら、このまま付き合って、結婚も考えたのかもしれません」

「今思えば、人生のいたずらだったんですね?」

「そんな気がしています」

「その上、祐人になかなか連絡ができなくて、だんだん気持ちが離れていくのを感じていたの、今回このクラス会がなければ、会うことがなかったかもしれません」

「人生は生きていくためにいろんないたずらをするんですね」

「私は結婚をするけど、祐人はこれから私よりもきれいな人見つけて結婚してね。そして、私のことは忘れて下さい」

 そういって、奈々絵は目頭を熱くして涙を流した。

祐人は「これはとても辛いことですが受け入れなければならないことなんですね」そういって目頭を熱くした。

こうして話しているうちに時計は朝の4時を指していた。


 祐人は浴室にシャワーを浴びに起きた。

頭からシャワーを浴びて、これで奈々絵とのすべてが終わるのかと思い涙を流した。

そして、体を拭いて、帰り支度をした。

 最後に祐人は「もう会うことはないが元気で過ごしてください」そう言われ、奈々絵は目頭に涙を浮かべた。


 祐人は「グッドバイ」と言って部屋を出ていった。


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