第一章 『白亜』の冒険者
0 世界観
その広大な大陸には、四つの『人の国』がある。
革新と力・北東端のノイシュタイン、開放と夢・北西端のシニアコルト、神国家・北東のアクアフレグランス、悠久王家・北西のステアルージュ。
恒久平和を願った人類が、極大結界魔法『アストラルノーツ』によってすべての魔物を追い出し、魔法を封じられた四百年の繁栄の間にその恐怖を忘れた文化と秩序の国々である。
衣食住に不足はなく、誰もが法の下に権利を守られ、様々な交通網や情報網が快適な暮らしを与え、ゲーム・音楽・映画などの娯楽が日々を豊かにする。
大陸の北部には、魔法を忘れ、文明の利器に支えられ続ける人類の安寧があった。
そして――
その南部には、今もモンスターはびこる、冒険の大地『白亜』が広がっている。
未開の大地に夢を抱いた人々は、退屈な『人の国』を飛び出して、隣の異世界を旅する。
多くの冒険職から適合する職を選び――
意気投合した仲間と思い思いのパーティを組み――
力を合わせて人類の害悪・モンスターを退治し、冒険者として成長していく。
すべては、自分自身が思い描く野望と未来のために。
『ギルド』クエストや個人依頼を数多こなし、貴族越えを目指して稼ぐのもいい。
一途に力を磨き、RPG系ゲームを超える最強冒険者として名声を得るのも一つの手だ。
古に途絶えた幻の種族――魔族・妖精を求めて未開の地を拓く、というのも夢がある。
ダンジョンを攻略して幾万の財貨を得たなら、冒険者として正道を貫いたに違いない。
命を懸けて、自らの自由と未知を切り開く、第二の人生を歩む。
それが冒険者の生き様であり、今の『白亜』という世界の在り方だった。
今日も今日とて、多くの冒険者たちが自分の道を行く。
『人の国』で――貧乏だった者、自由を夢見た者、冒険に憧れた者、罪から逃げた者、窮屈を嫌った者、次の人生を求めた者、ニートだった者、貴族の落胤が――
それぞれの色の、大冒険へと進む。
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