黒ずきんちゃんと青ずきんちゃんの巻
私、青ずきんちゃんのことが心配なの。
彼女は生まれつき体が弱く、いつも足元がふらついている。
なにか具体的な病名はついていないけれど、とにかく重病なんだって。
だから、いつも私たちは青ずきんちゃんのことを気遣わないといけない。
でもぜんぜん苦じゃないわ。だって私たちはかけがえのない仲間だもの。
ある日のこと。
青ずきんちゃんが壁にもたれてずりずりと崩れ落ちるのを目撃した。
「たいへん! 青ずきんちゃん大丈夫!?」
「うう……、黒ずきんちゃん。問題ないよ、いつもの事だから」
「早くお医者さんにいかないと。さあ、私の肩につかまって」
「いつもごめんね」
「いいのよ。私たちは友達じゃない」
「うう……」
「そんな大げさよ。泣かないで」
「うぅ……ウッ」
やらかした。
急いで虹ずきんちゃんが駆けつけてきて、モザイクをしてくれた。
ちょっとかかったけど、大切なお友達だからなんとかおうちまで送り届けた。
大丈夫かな、ちょっと心配。
次の日。
青ずきんちゃんが道端で苦しそうに片ひざをついていた。
「どうしたの青ずきんちゃん、お顔が真っ青じゃない!」
「防災ずきんちゃんの家で異臭騒ぎがあってね、変な匂いを吸っちゃった」
「おおごとじゃない! 早くおうちに帰って安静にして。あの子は無事なの?」
「
「なんだ、たいしたことないならよかった。青ずきんちゃんは大丈夫?」
「うん、心配してくれてありがとう」
「お大事にね」
「うんまたね……ウッ」
間に合わなかった。
また虹ずきんちゃんがたったか駆けつけてきて、モザイクをしてくれた。
酸っぱい匂いがしたけれど、大切なお友達だからおうちまで一緒に帰った。
大丈夫かな、わりと心配。
また次の日。
青ずきんちゃんがよたよたと歩いていたので、心配で声をかけた。
「どうしたの、青ずきんちゃん、大丈夫?」
「防災ずきんちゃんの家で、また異臭騒ぎがあってね。強烈な臭いを嗅いじゃった」
「また? 今度はいったい何があったの?」
「金ずきんちゃんが良かれと思ってドリアンを大量に送りつけたみたい」
「ただの嫌がらせじゃない!」
「あの子の家、このまえ
「そうだったんだ、金ずきんちゃんのことを悪く言って悪かったわ」
「ちょっとごめん、トイレ行ってくる」
「うん、お大事ね」
やっぱり間に合わなかった。
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