二輪

僕の大好きな人は長い髪がきれいな人。

今日も君に会いに行くよ。

ラプンツェル、ラプンツェル。

お前の髪を垂らしておくれ。

だけど、今日はおかしいな?

いつまでたっても返事がないぞ。


私がさらった美しい髪を持つ赤子。

大きくなった。今日もお前に会いに行く。

ラプンツェル、ラプンツェル。

お前の髪を垂らしておくれ。

だけど、今日はおかしいね?

いつまでたっても返事がない。


王子さまと魔女。

塔の下で、二人して顔を見合わせた。

大きな声で歌っても、二人でハミングしてみても、ラプンツェル、まったく返事がない。


そりゃそうさ。

当の本人、ラプンツェル。

自分の長い髪をぶっつり切って、ロープの代わりにして、塔の下へと降りていった後だもの。


どんなに甘い声で呼んだって、だめ。

王子さまも魔女も、もうお呼びじゃないの。

気まぐれに来て、自分勝手に振る舞って

さっさと帰っていくなんて。

私待つのはもう嫌なの。淋しがるのにも、もう飽きた。

塔の下に下りたラプンツェル。

長い髪を放り投げて、歌を歌う。

短い髪揺らして、自由になった喜びの歌を。

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