徒然花

はるむら さき

一輪

国一番の麗し姫さま。

その美しさで日の光さえ霞むとか。

誰かと誰かが誰かに言って、噂だけが一人歩き。


本当の所は、そんな噂を耳にして

浮き足立ってるあなたの横を

そ知らぬ顔で素通りしてった

雀のように目立たぬあの娘こそが

国一番の麗しい姫さま、その人なのに。

まったく誰も気づかない。


彼女は、国一番のお寝坊さんで

起き出す頃には、皆が寝ている。

そういうわけで、国中誰もが、お姫さまの顔、知らないだけ。

「見えないものは美しいもの」

国お抱えの吟遊詩人が、無責任にそんな詩を歌ったから。

それで、みんなが勘違い。今日も噂は一人歩き。


彼女がどんな思いで、みんなの話を聞いてるかなんて知らないままに。

勝手に理想を押し付ける。

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