第2話

 僕の今現在は、いわゆるニート。一応たまに、フリーターとしてアルバイトをしています。多いのは、家庭教師とか本屋さんとか、教育系のアルバイトです。今はもう辞めてしまったけど、元々は高校教師だったから何となくアルバイトもそっち系に。ちなみに、生物を教えていました。


 実は、柚葉ちゃんが高校生の時、僕は柚葉ちゃんのクラスの生物を担当していたんです。理系コースではなかったから、あまり顔を合わせることがなかったけど、柚葉ちゃんは理科が得意ではなかったから、小テストの再テストを受けに、僕がいる職員室に毎週来ていました。


「失礼します。2年の大鷹です。生物の……」


「あ、大鷹さん。再テスト?」


「はい、すいません」


「じゃあ、廊下のとこで座って待っててね」


「はい」


 って返事するのに、僕が来るまで立って待っているし、先生の名前を覚えようとしないから、毎回、物理の……生物の……って言いながら眉間に皺を寄せて、何だっけなぁって顔をしてて、僕は笑いそうになっていました。


 こんなこと柚葉ちゃんに言ったら、恥ずかしがって部屋に引きこもりそうだから、内緒ですよ?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る