第26話 努力の天才、究極の下剋上へ

 こんにちは、magasです。


 突然ですがすいません。今日は、ひとりのプロ野球選手のお話をさせてください。


 本来ならこういう話は、私が別で持っている野球ブログででもやるべきなのかもしれませんが、今日はその選手にとって特別な一日になったんです。


 その理由も含めて、語らせてください。

 野球に詳しくない人にもわかるように書きますから!



 男の名は、仲田なかた慶介けいすけ


 彼は、いわゆる野球エリートではありません。

 野球エリートは推薦や特待生で野球強豪校に進学しますが、彼は一般受験で福岡の強豪校へ入学しました。


 野球エリートではない彼ですが、誰にも負けない才能をひとつ、持っています。

 それは、努力する才能。


 実力で劣る推薦組に追い付け追い越せと、彼は人の倍練習しました。人が寝ている時に練習しました。

 その結果、野球のレギュラーポジション9つのうち8つまでを推薦組が占める中、ただひとり一般受験組からレギュラーを勝ち取ったのです。


 彼の努力は大学でも続きました。

 大学も、推薦や特待生でなく一般受験で入学。もちろん最初は試合にも出られない日々でしたが、最終学年に上がる頃にはチームに欠かせない選手に。


 そして、ドラフト会議を迎えます。


 さて、日本のプロ野球というのは12の球団がありまして、各球団が最大70名までの選手を抱えることができます。

 これを支配下選手と呼びます。


 しかし、各球団はこの70名の支配下選手のほかに選手を抱えることができます。

 これを育成選手と呼び、人数は無制限。

 ただ、一般的に育成選手は支配下選手より実力が劣るか、怪我から復帰を目指している選手の集まりです。支配下選手を正社員とするなら、育成選手は契約社員のようなもの。

 当然、待遇も支配下選手より様々な面で劣ります。一軍の試合にだって出られません。



 さて、2021年のドラフト会議。

 仲田選手は、支配下選手として指名されることはありませんでした。


 それどころか育成選手を指名する育成ドラフトまで進んでも、名前が呼ばれない。

 ようやく彼の名が呼ばれたのは、福岡ソフトバンクホークスの育成14巡目でした。


 その年、プロ野球チームから指名を受けた選手は支配下・育成合わせて128名。

 その中で、仲田選手が呼ばれたのは128番目でした。

 わかりやすく言えば、その年プロに指名された128名の中で、仲田選手は最も低い評価を受けていた、といっても過言ではないわけです。


 高校でも大学でも下から這い上がってきた男は、プロでも一番下からのスタートとなりました。



 育成選手は、二軍以下の試合で結果を出すなどして実力が認められれば、支配下選手へ昇格することができます。

 しかし逆に、3年以内に支配下選手になれなければ自動的に戦力外、つまりクビになります。

 球団に再契約してもらえたり他球団からオファーが来てプロ野球に残れる選手もいますが、大半はそのままプロ野球を離れることになります。

 そんな厳しい競争の世界で、育成選手から支配下選手に上がれるのは、1球団あたり毎年せいぜい1人か2人。

 もちろん支配下選手70人に空きがある限り昇格させることができますので3人4人上がることも無いわけではないですが、あくまで実力次第、チーム事情次第なのでどのみち狭き門です。



 あれから約二年半の月日が経ち、2024年。

 今年、ホークスの育成選手はなんと56人もいます。そして支配下選手は62人。まだ8人分の空きがあります。

 そして今日、ホークスは新たに3人の育成選手を支配下登録すると発表しました。その3人の中に、仲田選手の名前もあったのです。

 冒頭で今日が特別な一日と言ったのは、そういうことです。


 ホークスでは昨今、若手選手が育っていない、世代交代が進んでいないとの声がよく聞かれます。

 一人でも多く若い才能を見つけるために56人もの育成選手を抱えているわけですが、競争原理が働いていない、なんて声もありました。

 そこへ、128人中128番目にプロ入りした仲田選手が人並外れた努力で何人もの選手を追い抜き、ついに支配下選手になってしまったのです。

 実は彼の努力ぶりは一軍の主力選手たちさえも認めるほどで、チームの大ベテランである和田投手が名指しで褒めたことがあるほど。


 私は仲田選手が練習の虫で努力の天才であることを知って以来、いつか支配下選手になって、一軍の舞台で活躍して欲しいとずっと思ってきました。

 こういう、「野球の天才ではない選手」が這い上がって夢を掴むのって、ものすごくロマンじゃありませんか? 努力が才能を超える瞬間を見てみたくないですか?

 仲田選手は端的に言って、私のような野球ファンにとって応援したくなる、応援しがいのある選手なんだと思います。と同時に、彼の努力する姿がチームに良い影響を与え、他の選手たちも仲田選手に続けとばかりに目の色を変えてくれたら、もっと良いチームになっていきますよね。


 とはいえ、仲田選手はまだ、プロ野球選手としてのスタートラインに立ったばかり。

 ここから一軍選手になるには、29人の枠に入らなければなりません。支配下選手になっても、まだまだ競争は続くのです。

 サクセスストーリーはまだまだこれから。くれぐれも怪我にだけは気をつけて、いつか仲田慶介選手が一軍の舞台で大活躍することを夢見て、今回はここまでとさせていただきます。

 いつになく長々と語ってしまいましたが、ご清聴ありがとうございました。



 皆様は応援しているスポーツ選手や芸能人などいますでしょうか?

 ちなみに私の地元にはプロサッカーチームとプロバスケットボールチームがあります。

 どちらも取り立てて応援はしていないのですが、地元にプロチームがあると時々試合結果が目に入ってきますね。どうせだから強くなってより上のカテゴリーに上がっていって欲しいと思うのはやはり地元贔屓ですかね。

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