第2話 追走
こんにちは、magasです。
第2回となる今回は、大幅に時を戻しまして私の高校時代のお話になります。
いきなりかよ! 気まぐれな作者だな! と思ったそこのあなた、その感覚は正常です。
いきなり過去語りでいいのかとは思いつつ、「書きたいことを書く」ってタイトルで言っちゃってるし、やりたいようにやっちゃえと。
ちなみに何年前かは聞かないでください(笑)
さて、私は中学受験の末、とある中高一貫校にスレスレで合格することができたのですが、この学校、ちょっとした小山の上に校舎が建っていたんです。
しかし幸いなことにスクールバスが出ており、校舎の目の前まで上ってきてくれるので通学の度にハイキングをしなくて済みました。
我が母校の体育の授業は「軍隊」と言われるほど厳しいものであり、運動会の時期などは相当しごかれたものですが、この学校には冬場の体育の授業で行われる恒例のカリキュラムがありました。
それは、学校周辺の坂を使った持久走です。
コースをご紹介しましょう。
スタート地点は校舎前。全員一斉にスタートすると、まずは校門を出て下り坂に入ります。通学の際にバスが通る道です。
坂を下りきり、ここで右に曲がると一般道に出ますが、持久走のときは直進します。そこは教職員用の通勤道路になっており、そこそこ急な上り坂を上って校舎裏の教職員用駐車場へ上がっていきます。
そして校舎裏から正面玄関に戻って、これで一周となります。
中学生は三周、高校生は四周することが求められます。女子は一周減ります。
当時の私は運動はからっきしで、特に走るのは苦手でした。
なので毎年持久走の時期は憂鬱で仕方がなかったのですが、この持久走、体育の授業のたびに行われるので体力の回復が追いつかないのです。
ですから低学年の頃は、どうしてもしんどい時には適当な嘘をついて見学していたのですが、タチが悪いことにこの持久走には生徒の逃げ場を無くす「とある制度」があったのです。
それが「追走」。追試ならぬ追走。なんだか追っかけられそうだな。
この持久走は一年あたり合計十回実施されるのですが、見学や欠席などで本来の授業中に走った回数が十回に満たない生徒は、放課後に集められて足りない回数を満たすまで同じように走らされます。
つまりサボっても無駄。毎年十回走りきるまで、誰も逃げられないわけです。それどころか、授業で消化できなければ貴重な放課後の時間を使う羽目になります。
体力と経験がついてくる高学年になるまでは、どうしてもどこかで見学を挟んでしまい、二、三回は追走をさせられていました。
さて、ここで持久走のコースを思い出して欲しいのですが、スタートして最初は下り坂なので、生徒はみんなスピードを出して下っていきます。そして教職員専用道路に入り、最初はなだらかな上り坂ですが校舎に近づくにつれ徐々に勾配がきつくなっていくので、最後の方は走って上るにはなかなか厳しいものがあります。
なので大抵の生徒は下り坂からなだらかな上り坂までは走り、急な上り坂に差し掛かると歩きだす者が多かったのですが、教師もそれを理解していて、上り坂の頂上付近に仁王立ちして歩いている生徒に発破をかけてくるんです。
ね? 軍隊でしょう?
最初は私も他の生徒と同じような走り方をしていて、人より体力が無いので上り坂はほとんど歩いていたのですが、何年も繰り返して経験がついてきたころ、ひとつ一計を案じたことがあります。
これ、逆手に取れるんじゃないか? と。
どういうことかというと、あえて他の生徒とは逆の走り方をしてみたのです。
つまり、スタートして下り坂に入ったら歩きに移行。そのまま歩いて、なだらかな上り坂まで体力を温存します。
そして教師の視界に入るあたりから走り始め、坂を上りきってまた下り坂に差し掛かるまで頑張る、といった寸法。教師は基本上り坂のてっぺんから動かないので、下り坂で歩いていてもバレません。
人より少ない体力リソースをうまく使いつつ、教師に怒られずに済む方法を模索した結果編み出した方法でしたが、これが思わぬ効果を生んだのです。
体育教師という生き物は事あるごとに「気合」「根性」という言葉を使いたがるように、一生懸命頑張る生徒に弱いようです。
そんな彼らの目の前で、運動音痴な私が必死な顔して上り坂を走ってきたら、彼らはどう思うでしょうか?
「おっ、あいつ、決して身体能力は高くないけど、出来ないなりに頑張ってるな」
という心証が得られるわけです。
勿論、これは単なる私の妄想ではなく、授業終わりにみんなの前で褒められたことがありました。
名指しで言われたか、「頑張ってる奴がいた」的な言い方だったか覚えてませんが、その発言を聞いたとき、私は自分の作戦が奏功したことを悟りました。
運動音痴だった私はそれ以外にも「出来ないなりに一生懸命頑張る戦法」でちょこちょこと体育教師のポイント稼ぎをしていたものです。ズルい奴ですね(笑)
さすがにもう時効だと思うのでここでぶっちゃけちゃいました。当時の先生方ごめんなさい。
今回は、ちょっとした昔語りをさせていただきました。
皆様も学生の頃、イヤだった行事などあったかと思います。是非いろんな話を聞かせていただけたら嬉しいです。
では、僕から以上!(わかる人にはわかるネタその2)
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