第15話 モンスターについて知ろう
次の目的であるモンスターのことを聞くためにクリスさんの家に向かい到着した。備え付けられているインターホンを押してクリスさんを呼ぶ。
すぐにドアが開かれ、青髪のインテリ系の男性が現れる。
「おや、コウタ君ではないですか。どうされました」
「村長からモンスターについて知りたいならクリスさんが詳しいと聞きまして、ご迷惑でなければ是非お話を聞かせていただけませんか」
「ほうほう、いいですよ。中に入ってください」
リビングに案内されテーブルを挟み、向かい合う形で椅子に座る。
「コウタ君はモンスターについてどれくらいの知識を持っているかな」
「魔素が薄いとモンスターが住み着かないというくらいです」
「なるほど。ではまずモンスターとは何かを知るところから始めましょう。コウタ君、モンスターと動物の違いは何かわかるかな」
「凶暴とかですかね?」
「残念ながら違いますね。凶暴性はモンスターも動物もその種によります。正解は魔素に適応しているかどうかだよ」
「魔素……正直魔素のこともあんまりわからないんですよね」
「それも含めて説明しよう。まず魔素とはエネルギーの一種だね。我々人族もこの魔素を吸収し体の中で魔力という形に変換している。魔力を使うことで魔法やスキルを使うことができる。ここまでは大丈夫かな」
「はい、大丈夫です」
「それでは先ほど魔素に適応しているといったのはつまりモンスターは魔素を吸収し魔力に変換できるということなのさ」
なるほど、魔素に適応するということは魔素をエネルギーとして吸収して魔力に変換できることなのか。あれ?じゃあそれができる人間はモンスターなのでは?
「あの、こういうことって言っていいのか分からないですけど人間はモンスターに含まれるんですか?」
ふと湧いた疑問をぶつけてみると、クリスさんは目をカッと開く。
「ほう!なかなか鋭いことをきくね!実は昔の人間、少なくとも1000年前は魔法やスキルを使う人間は存在しなかったんだ。それこそ魔法が使える人間が出始めた時はモンスター扱いされて迫害された歴史がある。しかし、徐々に魔法が使える人間が増えていき多数派になるころには差別は消えていき今では全くないどころかほとんどの人はその歴史を知らない。まあ、そこは今はどうでもいいのだが、つまり人間はモンスターといっても過言ではないと私は思っているよ。ただ世間では人間はモンスターではないという認識だから他言無用だよ」
クリスさんは早口でまくし立てる。
まとめると人間も魔素に適応したが世間的にはモンスターと一緒にするなということね。
「は、はい、わかりました」
俺は若干引きながらも返事をする。
「ふむ。では他に疑問はないかね?」
「えーと、この村周辺は魔素が薄いと聞いたんですけど、濃い場所ってどういうところなんですかね。あと薄い場所が濃くなることってあるんですか?」
「濃い場所はいくつか種類が存在するね。まずは龍脈という地下に魔素が流れているところ。龍脈が流れているところは凶暴なモンスターが集まりやすい。次に精霊が住んでいるところ。精霊は自分に適した場所に住み着きそこで魔素を生成するんだ。住んでいる精霊の種類によってその場所の環境に大きく影響を与えるため、精霊次第では生き物が住みにくいところもあるよ。最後に魔力を多く消費する生き物もしくは物があるところ。例えば魔法を使うと周囲に魔素のもととなる魔粒子というのが残る。それを精霊ほどの力のない微精霊が魔素に変換することで濃くなるよ」
……つまり、魔素の濃いところは大きく3つある。一つ目は龍脈の流れるところ。二つ目は精霊の住むところ。三つ目は魔力を大量消費する何かがあるところ。
一つ目に関してはこの村はあまり関係なさそうだな。
「この村に精霊が住むことってあるんですかね」
俺は二つ目の可能性があるのか尋ねる。
「ふむ、精霊の好む環境が整えば可能性があるだろう。精霊は基本的に自然のエネルギーを好む。例えば多くの種類の植物が群生していれば植物を好む精霊が住む可能性があるだろう」
それだと畑を充実していけばいつか精霊がやってきそうだな。
「魔力を多く消費するものってどんなのがあるんですか」
俺は三つ目のことについて尋ねる。
「ふむ。まずは生き物としてはドラゴンなどの強力なモンスターだね。あとはそう言った生き物と渡り合える人間。次に物は主に2つ。兵器かインフラの魔道具だね。大きな都市とかにはきれいな水を生成する魔道具や街灯などのインフラで常に魔力が使われる。兵器は対モンスターに使うことが主流だね」
そうなると人や設備が充実すれば自然と魔素は濃くなりそうだな。
「あ、あと製造や使用は禁止されているがモンスターをおびき寄せる道具もあるよ。これは厳密には魔素は濃くならないが一時的に濃くなったように見せかけるものだね」
うん、地雷臭がプンプンする。この村で使ったら壊滅するんじゃないかな。
「そういうのもあるんですね」
「他に聞きたいことはあるかな」
うーん、特に思いつかないな。とりあえず必要そうな情報は大体聞いたはず。
「いえ、今は思いつかないです」
「そう、また聞きたいことがあれば気軽に来てくれよ」
「はい、今日はありがとうございました」
俺はクリスさんの家をあとにし、家に帰る。
「ぷぅ!」
家の中に入ると勢いよくマロンが飛び込んできた。
「おう、マロン起きてたか」
俺に抱かれたマロンは頭をスリスリとこすりつけてくる。
もしかして目が覚めると俺がいなくて寂しい思いをしたのかもしれないな。
それからマロンを撫でたりブラシでケアをしてあげて過ごしログアウトすることにした。
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