第13話 可愛いには勝てない
さて、今日も『のんびり牧場ファンタジー』やりますか。
午前中は仕事をしていたので13時を過ぎている。
ログインすると目の前にはマロンがいた。
「こんにちはマロン。今日は先に畑作業だよ」
「ぷぅ」
一鳴きしてマロンは俺の体をよじ登ってきて頭の上に乗っかる。
マロンを乗せたまま早速畑に向かう。
「おお、できてるな」
一応鑑定しておこう。
<カブ 【成長率】100%>
大丈夫そうなのでカブを引っこ抜いて収穫する。次に何を育てるかは後で決めよう。
それからじゃがいもに水を与えて作業を終える。
一旦家の中に戻りマロンにご飯を上げることにする。
「そういえばリンゴそのままあげてたけど切ったりしたほうがよかったのかな」
せっかく台所も備え付けの調理器具もある。試しにカブを食べやすく切ってあげてみるか。
まな板の上にカブを置く。カブはインベントリに入れたら付着していた土がなくなってきれいになっていた。
まずは葉とカブの白い部分に分ける。カブは食べやすい大きさに薄切りにしていく。葉はそのままでいいか。
「よし、マロンご飯だぞ~」
マロンは俺の頭から降り床に座る。
「あ、皿がない。まぁ手で直接食べさせるか」
まずはカブの葉を与える。
マロンはおいしそうにムシャムシャと食べている。
次に薄切りにしたカブを与える。
こちらもマロンはおいしそうにシャクシャクと食べている。
うん、問題はなさそうだ。
「マロン、雑貨屋にいくぞ」
ご飯も食べ終えたので次の目的を告げる。
マロンは俺の胸元に飛び込んできたのでそのまま抱え雑貨屋に向かう。
「いらっしゃーい!」
「いらっしゃいませ!」
雑貨屋に入るとアマンダさんとエミリーちゃんが迎えてくれる。
「先にいくつか物を買い取ってほしいんですけどいいですか」
今の手持ちは650Gしかない。なのでまずは資金を増やしたい。
「はい、そこにある箱に入れてください」
アマンダさんに指定された箱に向かう。すると出荷箱と同じようなUIが表示される。とりあえず釣った魚とカブをいくつか売ることにした。
カブは1つ150G、魚は30~80Gの売値になっており、カブを10個、魚を11匹売り合計で2,120Gになる。これで手持ちは2,770Gになった。
「えっと、今日はこの子に使ってもらう道具やおもちゃを探しに来たんですよ」
資金も用意できたためアマンダさんに声をかける。
「あらま、かわいい子だね。エミリーから聞いているよ。今日来るはずだからお店手伝うって楽しみにしてたしね」
「もう!お母さん言わないでよっ!」
エミリーちゃんは恥ずかしそうに頬を赤く染めてアマンダさんに怒る。
「あはは、ごめんなさいね。ペット用品ならそっちにあるよ」
「ありがとうございます」
早速ペット用品を見ていく。何を買おうか考えているとエミリーちゃんが近づいてくる。
「あのお兄さん、マロンちゃん抱っこしたいんですけど……ダメでしょうか?」
エミリーちゃんはもじもじしながら聞いてくる。
「マロン、良いかな?」
「ぷぅ」
「いいよって」
「わぁ~、ありがとうございます!」
マロンを嬉しそうに抱きかかえエミリーちゃんはお礼を言う。アマンダさんはその様子を微笑ましそうに眺めていた。
さて、何を買うか決めよう。
・
・・
・・・
買い物を終え、雑貨屋を出る。
買ったものは、ペット用ブラシ、ペット用ベッド(小)、布製のボール、皿を数枚、野菜の種を数種類である。合計で1,820Gだったので手持ちは現在950Gとなった。
それから買った野菜の種を育てるために畑に戻った。
植える種は、カブ、ニンジン、タマネギ、トウモロコシである。
このゲームに季節の概念はあるが季節によって育つ作物が変わることは基本的にないらしい。多少の成長速度に影響はあるが問題なく育つとのこと。
植える場所を確保するため、邪魔な雑草、石、枝を撤去する。あとは耕し種を植え、水をやって畑作業を終えた。
一旦家に戻り、マロンと遊びつつ次に何をするか考えることにした。
「ほら、ボール転がすぞ~」
「ぷぅ!」
布製のボールを転がすとマロンがそれを追いかける。ボールに追いついたマロンは前足でボールをペシッと叩きまたボールを追いかける。可愛いの永久機関が生まれ、スクショが捗る。
くっ、思考がマロンで埋まってしまう。
俺は次に何をするか考えることができずマロンを愛で続けるのであった。
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