「ええ夢見た」手術は成功

「九時前から手術が始まって二時間前にICUに入ったようで、あと一時間ほどかかります。短い時間だったけど見送ることができました。ラインの途中、先生が上がってこられて時間はかかったけど腫瘍とまわりのリンパ腺は取りましたといわれました。今は意識が戻ったようで先生に、ええ、夢、みたと言ったそうで、そんなこと言う患者さんにあまり逢ったことがないと笑いながらおっしゃっていました。上がってくるまで待って顔をみてかえることにします」(原文まま)


2022年5月24日。

午後2時14分。


朝からそわそわが止まらず落ち着かない時間を過ごしていたけれど、母からのラインで安堵する。


手術は無事に終わったみたいで安心した。

本当は病院に付き添いたかったけどコロナ禍真っ最中で付き添うことができなかったので、母に行ってもらった。

まだこの頃は子どもも保育園に通っていなかったのでなかなか自由に動くことが出来ずやきもきしていた時期でもあった。


とにはかくにも、手術が成功したことに喜んだ。

第一関門は突破した。


これから抗がん剤を打って完全防備する。

目に見えない癌の欠片があるかもしれないのでそいつらを完全にやっつけるのだ。


手術が終わって意識が朦朧としながらも先生に「ええ夢、見た」と言った父。

本当に父らしいと笑ってしまった。

こんな時でも冗談を言っておどけて見せる父は本当にすごいなぁと改めて尊敬する。


ここから長く険しい道のりがスタートしていくことを、この時の私はまだ知らない。




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