富を与える座敷童を拉致監禁した村の話……、だと途中までは思っていました。
　最後まで拝読して印象が逆転しました。これは人間達の方が物の怪（座敷牢の青年）に捕獲されちゃっていますね。
　布袋を青年に被せていたのも、村人が悪魔的な美しさに魅入られないように隠したかったのかな。

　青年の正体が最後まで明確に記されなかったので、想像が搔き立てられて余計に怖くなりました。

流れるような導入にスッと物語に入り込めました。
全体を通して、老女の戯言とは一蹴できないリアル感があって、静かに狂っている空気がすごく好きです。
彼はこういう存在、と明言されず、わたしの想像や感情によって、彼や村について語られるところ、
丁寧で、一見常識側にも見える老女が殺鼠剤をまき、彼を殺すと言うところなど、
すごく良かったです。
生かさず、殺さずのところでゾクリとしました。
魅入られる。怖いですね。