主人公は悪魔祓いのブラン。悪魔に滅ぼされた村の生き残りである女の子、紫苑と出会うところから物語は始まります。悪魔祓いを引退するブランはこれが最後の仕事だと、紫苑を祖父が住む島まで連れて行く事になりました。
旅の中、なりゆきで同行者が増えていき、明るく賑やかなやりとりはテンポよく楽しめます。紫苑の純粋な可愛さが微笑ましいです。
しかし世界には理不尽がありました。
人の弱さが悲劇を招き、切なくてやり切れないエピソードも少なくありません。
それでも人は善良で世界は美しいものです。
徐々に明かされていくブランの過去。
不器用な彼は自分を悪人だと思いつつも、周囲は彼が誰よりも優しいと知っています。生きてほしいと願います。
人と人が触れ合い、傷ついて、諦めて。寄り添って、救って、救われる。
登場する誰もが愛おしく思え、幸せを祈りたくなる素敵な物語です。
人間を襲う、悪魔がいる世界。
悪魔祓いのブランが見つけたのは、唯一生き残った幼い女の子、紫苑。
両親を亡くした彼女には、幸いにも祖父がいるようで。ブランは彼女を送り届けることを決める。
序盤に繰り広げられる、ほほえましい日々。
いつの間にかトラブルに巻き込まれ、たくさんの拾いものをし。
寄り道ばかりのブランが「もう仕方ないな」などと思えるのですが。
この世界は、些細な幸福が続くほど甘くはありません。
懸命に生きてきた人たちのむなしい叫び声が、胸を締め付けます。
そんな世界に向き合うブランと、ともに旅する紫苑や仲間たち。
彼の背を見てきた彼女たちが、どうか幸せになれますように、と読んでいる間ひたすら祈るばかりでした。
はじめは気軽に読むのにちょうどいい文字数。
後半に行くにつれ増えていくのですが、あまりに夢中になり、先が気になりすぎて、全く気になりません。
むしろ「もっと」とばかり思っていました。
純粋に別れを悲しみ、子どもたちの幸せを祈りたくなる物語。
紫苑が見てきたものを、貴方も一緒に見てください。