幼馴染を追って王都に出て来たけれど…うまく行きません

@karamimi

第1話 内戦が終わった様です

「ミレイちゃん、大ニュースよ。ついに革命軍が王族を捕らえたらしいわ。凄いわよね、アレック。まさか本当に王族を討つだなんて」


「それは本当ですか?ついに…ついにアレックが」


我が国はずっと王族や貴族の横暴な振る舞いで、平民たちは苦しんできた。重い税に苦しめられ、毎日食べる事が精一杯の平民たちを横目に、贅沢三昧の王族や貴族たち。税が払えないと、強制労働施設に送られ、酷い扱いを受けるのだ。


私の両親も私の幼馴染でもあるアレックの両親も、飢えと重労働が祟り、命を落とした。そんな中でも私は、ずっと傍で寄り添ってくれた幼馴染のアレックに支えられ、何とか生きて来た。


アレックさえいてくれたら、どんな辛い状況でも耐えられる。彼と共にこの村でひっそりと生きていきたい。たとえどんなに厳しい環境でも、アレックさえいてくれたら私は幸せだから…


そう思っていた。


でも、アレックは違った。


~5年前~

「ミレイ、俺たち平民が安心して暮らせる国にするために、俺はあいつらと戦う。明日、王都に向かう事にした」


「アレック、あなた一体何を言っているの?あいつらとは、王族や貴族たちの事を言っているの?そんなの無理よ。お願い、そんな無謀な事をしないで。現に謀反を企てようとした平民たちが、あちこちで貴族たちに捕まり、酷い目にあっているという噂よ。アレック、お願い、ここにいて!あなたにもしものことがあったら、私は…」


「ミレイ、ごめん。でも俺たち平民が今日食べるものにも困っているにもかかわらず、王族や貴族は贅沢三昧。俺達平民の事を全く考えないあいつらが、許せないんだ。それに俺は、ミレイと幸せな未来を歩みたい。その為にも俺は、あいつらと戦う。必ず生きて帰って来るから、待っていて欲しい」


「嫌よ、アレック、お願い、行かないで。私を1人にしないで」


泣きじゃくる私に困った顔のアレック。必死の引き留めも空しく、アレックは翌日、王都へと旅立ってしまったのだった。


「必ず帰って来るから、待っていてくれ」


という言葉を残して…


あれから5年、アレックから一切連絡はない。ただアレックは、王都で密かに仲間たちを集め、革命軍という大きな組織を束ねる幹部になっていると風の噂で聞いた。そして理不尽な理由で強制労働施設に入れられている平民たちを解放しながら、必死に戦って来たとの事。


アレックたちの頑張りのお陰で、ある日を境に貴族たちへの重税の支払いも行われなくなった。というよりも、貴族たちは忙しすぎて、領地を取りまとめる余裕がなくなったからとの事。


そのお陰で私達平民は、人並みに暮らせるようになったのだ。


そしてついに、王族を打ち取ったとの事。


やっと…やっとアレックが帰って来る。また2人でこの村で暮らせる!この5年、アレックを忘れた事なんて1度もない。ただ彼だけを待ち続けてきたのだ。


「やっとアレックが帰って来てくれるのね…長かったわ…」


気が付くと涙が溢れていた。


「よかったわね、ミレイちゃん。あなたはずっと、アレックの事を待っていたものね。まさかこの村から英雄が誕生するだなんて。アレックが帰ってきたら、村を上げてお祝いをしましょうね」


そうだわ、アレックがいつ帰って来てもいい様に、私も準備をしないと。


早速アレックの家の掃除を行った。アレックの両親は私の両親と同じ時期に亡くなっている。この5年、ずっと空き家になっていた。定期的に掃除をしていたが、それでも汚れている。


いつアレックが帰って来てもいい様に、アレックの家を綺麗に掃除し、布団も干した。よし、これで大丈夫ね。


早くアレック、帰ってこないかしら?


毎日アレックが帰って来るのを、今か今かと待ちわびている。でも…


中々アレックは帰ってこない。一体どうしたのかしら?落ち込む私に


「アレックは革命軍の幹部だからね。きっと忙しくて、中々村に顔を出せないのだよ。きっとそのうち帰って来るだろうから、もう少し待ってあげよう。あの子の故郷は、ここなのだから」


そう言って村人たちが私を慰めてくれる。でも…


本当にアレックは帰って来てくれるのかしら?日が経つにつれて、私の不安は大きくなっていったのだった。




~あとがき~

新連載始めました。

7万文字程度のお話しです。

よろしくお願いいたしますm(__)m

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