第15話 魔法(物理)
移動を開始した訳だが、中々魔物に出会えない。理由としては、俺が周囲の全てを殲滅してしまったからだ。辺り一面焼け野原。範囲外だった魔物も逃げてしまったので、近くに魔物がいなくなってしまったのだ。ちょっと焦ってる俺の様子に呆れた表情を夏美さんがしているように見えるが気にしてはいけない。きっと気のせいだよね。
とりあえず無言もあれだし、移動中はお互いの話をした。勿論、配信で話してもいい範囲だったが。まぁそうは言ってもそもそも登録チャンネルの名前の最初が本名だったので、身バレという意味では最初からバレているようなもんだが。だが、だからといって必要以上に自分の事を話すのは違うと思う。より情報を得る事で人って魔が差す事もあるし、欲が絡んでトラブルに巻き込まれる可能性だってあるからだ。あと、俺の場合は男だし、ぶっちゃけると、そこらへんの人に負ける事はないからいいが、夏美さんのように綺麗な女性は何があるかわからない。リスクはなるべく回避した方がいいだろう。
そして他愛のない会話をしながら暫く歩いていると、やっと、やっと! 一匹だけグレイウルフがいるのに気付いた。
「まだ少し遠くにいますがグレイウルフが一匹います。そいつで試してみましょう」
「なぜ魔物がいる場所がわかるのでしょうか?」
なぜと言われてもなぁ……。感覚としか言いようがない。
「勘ってやつです」
‘‘メェくんの勘は侮れない‘‘
‘‘ちょうど一匹でいいね!‘‘
‘‘メェくん人外だから……笑‘‘
‘‘ナツミンってどんな戦い方するんだろうね?‘‘
「ナツミン?」
コメントにあったナツミンとは夏美さんの事だろうか?
「は、はいっ?」
独り言が聴こえてしまったようだ。
「あ、すみません。リスナーがコメントでナツミンと言ってたので思わずつぶやいてしまいました」
素直に間違って呼んでしまった事を謝罪すると、ナツミンと呼ばれたのが恥ずかしかったのか、顔が少し赤くなってしまっている。何だか申し訳ない事をしてしまったな。
「い、いえ。大丈夫ですよ」
大丈夫と言った後もボソボソと独り言を言っている。何か言うべきか迷ったが、スルーする事にした。あまり追求してもお互いにいい事がなさそうだしな。
「見えますか??」
「は、はいっ」
その後は無言で歩き続け、少ししたところでグレイウルフを発見した。風下から迫っていったのでまだ相手は気付いていない。
「それでは気付かれる前にいってみましょうか」
「が、がんばりますっ!」
ステッキを強く握って飛び出したナツミン。魔法なのになぜ走り出したのだろうか?
「ノビール・カタクナール……えいっ!」
流石に走り出したところでグレイウルフに気付かれたが、ナツミンはお構いなしにまだ遠い距離からステッキを振りかざした。
すると、ステッキが凄まじい速度で伸び、クレイウルフの頭を貫通させた。貫通したステッキの先はそのままどこまでも伸び進んだが、ナツミンが命令を出すと元に戻った。
「俺が見たかった魔法じゃないんだが」
‘‘ワイもこんな魔法見とうなかった‘‘
‘‘魔法(物理)‘‘
‘‘頭部貫通とかヤバない?‘‘
‘‘ほら、今回は詠唱の影響だから(遠い目)‘‘
「や、やりましたよっ!!」
俺達のテンションを余所に、メッチャ喜んでるナツミン。どうやら向こうのリスナーも喜んでいるようで、一緒に喜びを分かち合っているようだ。
「なぁ、これ魔法少女の意味あるんかな?」
‘‘全くない訳でもないけど……‘‘
‘‘普通はファイヤーボール! とかアイスショット! とか想像するよな‘‘
‘‘まぁここの運営ちょっと変わってるから‘‘
‘‘わかる‘‘
‘‘まぁこれも新鮮でよき‘‘
ナツミンに聴こえないようにリスナーに聞いてみるが、魔法少女が殴るパターンはあまりないようだ。だが、意外と受け入れられているので問題はないのだろう。まぁ結果的に魔物を倒せてる訳だしな。
飛び跳ねながらこちらに走ってくるその姿は中々目に毒だが(主にバルンバルンさせてる双丘が)、本人も満面の笑みだし、とても嬉しそうにしてるので野暮な事は言わないでおこう。
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最後まで読んでいただきありがとうございます!
魔法少女だって殴るんです。どうしようか迷ったんですけどね? 結果的にこうなっちゃいました。反省はしてません。まぁこれだけが魔法ではないですから今後に期待という事で、ご容赦ください。
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